大きさを感じさせない軽快さ
一回り大きくなったX5であるが、走りは格段に良くなっていることをギリシャの道で確かめた。
車高が高く大きなタイヤを履いているとブヨブヨした感じが出やすくなるものだが、新型X5はダイレクトな感じでドライバーの意のままに走れる。現行のX5よりつま先までしっかりしているという感じだ。一回り大きくなったもののアルミを多用するなど軽量化技術によって重量増になっていないこともメリットだ。ホイールベースは伸び、トレッドも広くなっているから、これまでより踏ん張りは強くなっている。
高速道路を直進しているときの微小操舵の反応も、遊びがなく手応えもしっかりしている。少し切ったところからヨーと手応えが出てラインの微修正が楽である。
ワインディングロードも走った。幅の狭い道で回り込んでいるタイトターンがあったが、外に膨らむことなくグググッと内側を回ってくれる。アクセルペダルを踏み込んでいったときにもアンダーステアは弱く、予定ラインをきれいにトレースしてくれる。ハンドルを切り込んでいったときにはちゃんと追従してくれるから、あまり大きなクルマをドライブしている感覚がない。これこそSAVと自称するに値するクルマになったと思う。この良さはフロントがダブルウイッシュボーンになったことも要因になっているだろう。
走りのカギはアクティブステアとアダプティブ・ダンパー
ダイレクトで軽快に走れる要因としてアクティブ・ステアリングの装着が挙げられる。必要に応じてカウンターステアも当ててくれるアクティブ・ステアリングだが、バリアブルギヤレシオにもなっていてワインディングロードや市街地では小さなハンドル角で曲がってくれる。
アクティブ・ステアリングにプラスして、アンチロール・スタビライザーとアダプティブ・ダンパーを組み合わせたアダプティブドライブは、快適な乗り心地を確保しながらもロールさせないでコーナリングするようにセッティングしてある。ほとんどの道でボディのロール角ゼロで走れる。
見た目以上に中身は大きな変化を遂げていたニューX5である。