【スズキセルボ試乗記】軽を超えたトータルバランスをもつ新世代セルボ（除くＡＢＳ未装着グレード）

パワフルで扱いやすいDOHCターボエンジン。トルクが厚くターボラグの少ない扱いやすい設定。気持ちよく走れる理想のパワーユニットだ。19.8km/lとターボと思えない燃費もすごい。

NAにはオールアルミ製のVVTエンジンを搭載。54馬力と必要十分なパワーを確保している。燃費は21km/lと素晴らしい。

ターボモデルのタイヤは全車14インチ。上級グレードのTXになるとアルミホイールを装着する。

NAモデルは13インチの設定。スチールホイール&キャップの組み合わせ。

ターボのNAの2種類から選べます

　セルボの搭載エンジンは可変バルブタイミング機構付きの自然吸気DOHCとターボ仕様の2機種。ターボはいわゆるマイルドターボで、44kW/83N・mのパワー＆トルク。軽自動車の上限は47kWだからそれに比べるとやや抑えたチューニングである。

　ピーク時のパワーはワゴンRのRRに搭載される直噴ターボなどには及ばないが、低中速域でトルク感のある性能を発揮するエンジンなので市街地などでの扱いやすさが身上。タウンユースを中心に使われる軽自動車には十分な実力といえる。

　もちろん、アクセルを踏み込めば元気の良い加速フィールを示してくれるし、ゲート式レバーのシーケンシャルモードを使えばマニュアル車感覚の走りは可能。といっても軽自動車のエンジンだし、4速ATなのでそれほど自在な走りができるわけではないが、スポーティなフィールを味わうことはできる。

足回りの出来はしっかりと熟成

　足回りは今年スズキが発売したMRワゴンに比べるとだいぶしっかりした印象。基本的には乗り心地を重視した味付けながら、コーナーでも大きく傾くことのない安定感のある走りを見せる。

●お勧めグレード

　セルボの価格設定は100万円台から120万円台までという売れ筋となっているハイトワゴン系の軽自動車とそう変わらない水準。価格に関してはスペシャリティカーらしくない好ましい設定という印象だ。

　ただ、ベースグレードのGはABSが標準装備されていない。今どきのクルマとしてABSが付かないなんてなはあり得ない話であり、こんな設定はいい加減に止めて欲しいもの。こんな仕様を見たらスペシャリティなクルマとは思えなくなる。Gでも4WD車には標準装備されるのだから、FF車だけABSをわざわざ外すこともないのにと思う。

　なので、選ぶのはターボ仕様のエンジンを搭載したTかTXになる。TとTXの違いはエアロパーツの有無のほか、フロントフォグランプ、エアコンとオーディオの仕様、本革巻きステアリングホイールなど。機能装備も含まれるので難しいところだが、TXを選ぶのが正解だろう。

代表グレード	660 TX オーディオ装着車
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	3395×1475×1535mm
車両重量［kg］	810kg
総排気量［cc］	658cc
最高出力［ps(kw)/rpm］	60ps(44kw)/6000rpm
最大トルク［kg-m(N・m)/rpm］	8.5kg・m(83N・m)/3000rpm
ミッション	4AT
10・15モード燃焼［km/l］	19.8km/l
定員［人］	4人
税込価格［万円］	124.7万円
発売日	2006/11/07
レポート	松下宏
写真	佐藤靖彦