ザ・対決 ホンダ ストリーム VS トヨタ ウィッシュ
Mクラスミニバン編
Mクラスミニバン対決

因縁の対決とも言えるのが、ホンダのストリームとトヨタのウィッシュ。ストリームに対して後発のウィッシュが完全に勝ってしまっただけに、新型ストリームの登場によってどうなるかは大いに興味引かれるところだ。このままウィッシュの独走が続くのか、それとも巻き返せるか? 5ナンバーサイズという限られたパッケージングのなかで最大のユーティリティを引き出すのは独特のノウハウがあるだけに、王者ウィッシュに対して老舗のストリームがどう仕上げているかが気になるところ。

川口みさ
PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史
モデル/ 川口みさ

ROUND1:ファーストインプレッション

ホンダ ストリーム
ホンダ ストリーム
精悍なスタイルへと変身!
低床化で使い勝手もアップ

 乗用車ライクなドライビングとMサイズならではの扱いやすさ。それでいて3列シートを備えてしっかりと使えるというキャラクターで、ひとつのジャンルを築いた初代ストリーム。スポーツカー並みの走りを実現したグレード、アブソルートもラインナップして大ヒットとなったが、その後トヨタがウィッシュをリリースして形勢逆転してしまった。そこで挽回を計るべく、投入されたのが2代目だ。まずはボディだが、流麗なラインと塊感をうまく取り入れつつ、未来感もプラス。シャーシはもちろん新開発で、ホンダ自慢の低床プラットフォームとし、立体駐車場にも入る1545mmという低車高を実現している点に注目だ。また低床化は室内空間の確保や乗降のしやすさなどにも大いに貢献しており、5ナンバーサイズながら不満のない使い勝手を実現している。エンジンは新開発の1.8リッターと2リッターの2タイプ、i-VTECを装備することで、パワーと経済性を両立。またスポーツグレードはRSZと呼ばれ、専用サスペンションなどで武装したハードな味付けとなる。

[価格帯]
180.6〜254.1万円

トヨタ ウィッシュ
トヨタ ウィッシュ
今度は迎え撃つ側に
王者の座はいかに?

 ストリームがシビックベースなのに対して、こちらはカローラベースと真っ向から対決。後発の強みを活かして、見事ストリームを抑え、Mクラスミニバンの大ヒットモデルとして君臨してきた。その造り自体はトヨタらしい、じつにオーソドックスなものだ。まずボディは丸みをうまく取り入れたモノフォルムを採用。万人受けという点では成功しているスタイルだ。さらに車内も質感が高く、7名乗りの3列シートとしながらも、各シートのスペースは必要最小限以上のものは確保されている。とくに3列目は意外なほどの広さで、緊急用以上のサイズや質、クリアランスを誇る。シートアレンジもじつに多彩で、このあたりがヒットの理由なのではないだろうか。またエンジンは1.8リッターのみだったのが、2リッターもマイナーチェンジで追加されている。排気量も含めて2タイプのエンジンを用意するのもストリームとまったく同じだ。ちなみにミッションについては、1.8リッターが4ATで、2リッターがCVTと組み合わされ、1.8リッターではFFと4WDを選ぶことができる。

[価格帯]
172.2〜237.3万円

ストリーム G(FF)
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4570x1695x1545mm
車両重量
1380kg
エンジンタイプ
直4SOHC
総排気量
1997cc
最高出力
150ps(110kW)/6200rpm
最大トルク
19.4kg-m(190N・m)/4200rpm
ミッション
CVT
10・15モード燃費
14.6km/L
サスペンション(前/後)
ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
203.7万円
ウィッシュ Xエアロスポーツパッケージ(FF)
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4560×1695×1590mm
車両重量
1300kg
エンジンタイプ
直4DOHC
総排気量
1794cc
最高出力
132ps(97kW)/6000rpm
最大トルク
17.3kg-m(170N・m)/4200rpm
ミッション
4速AT
10・15モード燃費
14.4km/L
サスペンション(前/後)
ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
199.5万円
ホンダ ストリーム

1.8リッター/2リッターともにi-VTECを搭載。シャープなレスポンスにこだわりつつ、低燃費についても徹底的に追求している。

トヨタ ウィッシュ

実用性に優れる1ZZ-FE型を搭載。さらに1.8リッターのFFについては、マニュアルモード付きシフトでキビキビした走りが楽しめる。

205/65R15

タイヤサイズは205/65R15としている。スポーティグレードのRSZ以外はすべてスチール+キャップの組み合わせのみの設定だ。

インパネ

オデッセイのように未来感をも取り入れるかと思ったら、オーソドックスにまとめられたインパネ。シフトやスイッチ類も大ぶりで扱いやすい。

195/65R15

タイヤは195/65R15と、ストリームに比べ1サイズ細めのサイズ。ただしこちらはアルミホイールとなるのはアドバンテージか。

インパネ

質感が高いだけでなく、スポーティにまとめられているのがウィッシュの特徴でもある。操作系はコンパクトにまとめられて使い勝手もいい。

インテリア

シートも大ぶりでクッションもよく効いている。女性でも違和感なく座ることができるのは、Mクラスミニバンの利点といっていいだろう。

ラゲッジ

3列目も余裕たっぷりな分、シートを倒すとラゲッジスペースは大きく拡大できる。フロアが完全にフラットになるのもうれしいところ。

インテリア

サイズや着座姿勢はとくに問題ではないものの、座り心地については少々硬めだ。また厚み自体も、レッグスペースの余裕確保のためかかなり薄い。

ラゲッジ

3列目シートはコンパクトにできているため、畳めばこの通り、完全フラット。さらに2列目も座面を跳ね上げて畳むことができる。

インテリア

2列目シートも前席同様に大ぶりのサイズとしているので、ゆったりと座ることができる。さらにアームレストもかなりの大型だ。

インテリア

特筆すべきは3列目まわりのクリアランスだろう。各部とも余裕があり、先代のような補助席的な存在ではもはやない。

インテリア

シートの造りをコンパクトにして室内空間に余裕を持たせていることがわかるはず。ただしそのおかげで、足もとはかなり広大だ。

インテリア

3列目については、質感はうまく出しているものの、サイズやクリアランスについては最小限で、あくまでも補助席的な存在といっていい。

インテリア

さすがに全席を使用してのフルフラットは無理だが、前2列を使用してのセミフラットは可能だ。シートが肉厚なので気持ちいい。

インテリア

フラット化については、その形状やパターンなどストリームとほぼ互角。限られた空間だけに、致し方ないところではある。

ストリーム&ウィッシュ

エンジンラインナップも同じ。車格ももちろん一緒なのだが、やはり新型の分、ストリームのほうがパワフルなだけでなく、滑らかさがある。ホンダの面目躍如といったところか。