約5年ぶりのモデルチェンジとなる新型eKワゴンとeKスポーツ。先代から継承されたベーシックな魅力はそのままにライバルの同クラス他車には見られないユニークな電動スライドドア車を設定させるなど、見どころは満載だ。同社きっての個性派軽「i(アイ)」とは対極のポジションにいるeKシリーズ、その魅力に迫る!

この記事の目次 CONTENTS
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【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】軽自動車の新しいスタンダード
【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】2つに分かれるグレード構成
【eKワゴンのグレード構成】
【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】 オススメグレードは『 eKワゴン編 』
【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】 オススメグレードは『 eKスポーツ編 』
【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】 ライバル車は

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】軽自動車の新しいスタンダード

01年10月に登場して以来、シンプルでクリーンなデザインや使い勝手の良さなどから大ヒットモデルとなった三菱の軽自動車「eKワゴン」シリーズ。一連のリコール隠し騒動などの影響で三菱各車の売れ行きが落ち込む中、自社ブランドのみならず自社で軽を生産していない日産自動車へのOEM供給も行なわれるなど、同社の生産台数拡大に多大な貢献をしたモデルである。

そんな人気のeKシリーズの基本コンセプト「軽自動車の新しいスタンダード」をさらに推し進め、ユーザーが求める「便利」「安心」「気持ちいい」を追求し登場したのが新型eKワゴン、新型eKスポーツだ。

写真は初代eKワゴン。老若男女、幅広いユーザー層に支持されたのもeKの特長だった。

こちらは初代のeKスポーツ。新型に比べるとやや線の細さが感じられる。

シンプルなeKシリーズの一方で、個性派「i(アイ)」もラインナップするのが三菱の強みだ。

【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】2つに分かれるグレード構成

先代モデルではちょっと上質なイメージの「eKクラッシィ」やクロスオーバー風のスタイルの「eKアクティブ」など全部で4種類のバリエーションを用意していたが、今回の新型では今のところベーシックな「eKワゴン」、スポーティな「eKスポーツ」の2種類が発表されている。

まずはeKワゴンから順を追って紹介していこう。

新型eKワゴン「MS(電動スライドドア付き車)」。eKシリーズを代表するモデルだ。

いっぽうの新型eKスポーツのノンターボ版「X」。

四角いフォルムのおかげでインテリアはゆったりとしている。

【eKワゴンのグレード構成】

ベーシックなeKワゴンは4グレードで構成されているが、大まかに2つに分けることが出来る。
ベーシックな「M」と電動スライドドアが付いた「MS」。そしてATを4速化した「G」、電動スライドドア付きの「GS」だ。

Mにはマルチモードキーレスエントリー、1DINオーディオ(AM/FMラジオ付きCDプレーヤー)、プライバシーガラス、挟み込みを防ぐセーフティ機構付きパワーウィンドウなどベーシックカーに必要となる多彩な装備がついている。唯一ABSのみオプション設定なのが残念だ。ミッションは3ATに加え5MTが選べ、FFと4WDがそれぞれ設定出来る。価格は913,500円(FF・5MT)から1,085,700円(4WD・3AT)まで。

横一文字のグリルが印象的なフロントマスク。今だに鮮度を失わない先代のベーシックなイメージも色濃く残す。

ほのかに張りのある面構成で、スクエアながら無機質になり過ぎないサイドフォルムを形成しているのが特長だ。

ワイド感を印象付けるリアバンパーの厚みで、背高モデル車独特の不安定な印象を払拭する。

Mの装備に加え、話題の電動スライドドアや撥水シート生地を装備するのがMS。価格は1,018,500円(FF・3AT)から1,138,200円(4WD・3AT)まで。こちらは5MTを選ぶことが出来ない。

いっぽうGではABSが標準装備となるほか、オートマチックが4速となる。価格は1,050,000円(FF・4AT)から1,169,700円(4WD・4AT)まで。Mに対するMSの関係と同様に電動スライドドア・撥水シート生地付きとなるのがGSだ。

内装色はダークグレー/ベージュ色が標準。ただしMとGのAT車のみ、オプションでスポーツシート・本革巻ステアリングとセットでブラック内装も選ぶことが出来る。

白いセンターパネルが印象的なMSグレードのインパネ周り。

軽初採用となるLED式リアコンビランプを全車標準装備する。

【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】 オススメグレードは『 eKワゴン編 』

ベーシックなeKワゴンの場合、MとG、MSとGSのいずれかを選ぶかは、ミッションタイプのセレクトとイコールと言って良い。中でも近年、設定されることすら珍しくなってきた5速MTがMにのみ設定がされているところに注目したい。このMT車は国土交通省審査値の10.15モード燃費では21.5km/lを記録し、eKシリーズで唯一グリーン税制にも適合している。ベーシックなアシとして、3ペダル車でも構わないという方ならオススメ出来るセレクトだ。

いっぽうFF・3ATが19.4km/l、MSが18.4km/l。方や4ATのG・GS(FF)では、ともに19.0km/lをマークする。MとG、MSとGSとの価格差はAT車比でそれぞれ84,000円。燃費の差はあまりないとなると、3ATのM、あるいはMSがオススメとなる。ただしオプションのABS(36,750円)は必ず装備しておきたいところだ。

さて今回eKワゴン最大の注目装備である電動スライドドアは、予算が許せばオススメしたい装備だ。MとMS、GとGS、価格差はそれぞれ52,500円。子供やお年寄りの乗り降りもしやすく、また狭い駐車場で不用意に開けて隣りの車にドアをぶつけることもない。後席を多用するユーザーならメリットが大きいだろう。

以上の要件を総合して考えると、eKワゴンのNo.1オススメグレードは「MS」ということになる。

編集部オススメNo.1!「MS」グレードの電動スライドドア。

助手席シート裏にあるマルチポジションユーティリティ。オプションのアタッチメントやマルチユースフックを用いればさらに様々な活用法が生まれる。

見やすさに配慮し運転席側にオフセットしたセンターメーター。視線移動が少なく、かつ視認性が高いのがウレシイ。

【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】 オススメグレードは『 eKスポーツ編 』

いっぽうのeKスポーツのほうは、2グレードで明確な違いがある。方やノンターボのベーシックなエンジンを積みスポーティな内外装を持つ「チョイ悪」eK、方やターボパワーで高速道や郊外路でも余裕の走りをみせる「チョイ悪」かつスポーツモデル、ということになる。

まずはXから検証する。eKワゴン GとeKワゴン Xの価格差は実に210,000円。とはいえ専用装備の多さから価格差なりの充実度はあるとみて良い。軽の場合、エアロパーツ装着車のリセールバリューは高い傾向にある。後付けのエアロを付けることを考えたら決して高い買い物というワケではないから、一考の価値はあるだろう。

さて、ターボ付きモデル Rは、Xから105,000円増し。50ps/6500rpmから64ps/6000rpm、6.3kg-m/4000rpmから9.5kg−m・3500rpmと、出力で14ps、トルクで3.2kg-mの差がある。郊外路や高速道を多用するユーザー、長距離を走るユーザー、高性能が欲しいユーザー向けだが、価格的にはコンパクトカー、しかもパワーに余裕のある1.3リッターから1.5リッタークラスまでが十分射程距離となることも忘れてはいけない。軽以外のライバルも視野に入れつつ、広く検討したいところだ。

新型eKスポーツ「R」。写真はミステリアスなイメージカラー「ドーンシルバーメタリック」をまとう。

ブラック内装にダークグレーメタリック塗装を施したセンターパネルがeKスポーツの標準インテリアタイプだ。

ドイツ・レカロ社製シートがオプション設定されるのは先代同様。なんと2脚57750円で装着出来る。

【三菱eKワゴン eKスポーツの選び方】 ライバル車は

ライバルはスズキ ワゴンR、ダイハツ ムーヴ、ホンダ ゼストなどが挙げられる。いずれも各競合を睨んだ価格やグレード設定が行なわれており、厳しい戦いとなっている。各モデルのデビュー年はワゴンRが03年、ムーヴは02年、ゼストが06年。なにより最新モデルが欲しい!という場合にはゼストとステラが断然光ってくる。

とはいえ、ワゴンR、ムーヴ共に歴史があるブランドであり、かつ現行モデルも熟成が進んでいることから今もって実力は非常に高い。ましてワゴンR、ムーヴについては特別仕様車が多く設定されており、装備面、価格面共に非常にお買い得なものとなっている。これら特別仕様車とステラ、ゼストを比較し検討すると良いだろう。

日本一売れてる人気者「スズキ ワゴンR」。エアロ付き特別仕様車が特にお買い得だ。

こちらも強力なライバル「ダイハツ ムーヴ」だが、モデルチェンジ間近とのウワサだ。

06年に登場した最新のライバル「スバル ステラ」もチェックしておきたい。