9月3日、世界ラリー選手権第11戦「ラリージャパン」の全競技が終了した。優勝したのは、クロノス・トタル・シトロエンWRTのセバスチャン・ローブ選手。2位はBPフォードWRTのマーカス・グロンホルム選手、3位はBPフォードWRTのミッコ・ヒルボネン選手となった。SUBARUインプレッサWRC2006で母国イベントに挑んだ、注目の日本人選手 新井敏弘は、総合6位に入った。
Leg1 グロンホルムとローブの戦い
快晴の下、87台がラリージャパンのレグ1をスタート。その後曇り空となり小雨が降るなど、一日中コンディションが入り乱れる。レグ1には、8本のSSが設定された。帯広北東部に広がる郊外で4本のステージのループに挑み、午後にはそのリピートで争い、その後、北愛国のサービスエリアに隣接して特設されたスーパーSSの2回の走行で締めくくった。
84kmの移動を経て、ラリージャパン最初のステージへ。数日雨が続いていたため、場所によってウェットとドライの多様化したコンディションの中、フォードのマーカス・グロンホルムがまずはペースを築きベストタイムをマーク。チームメイトのミッコ・ヒルボネンは2番手、そして、3番手をマークしたのはスバルのぺター・ソルベルグ。
その後、SS2まではトップ3に動きはなかったが、SS3ではシトロエンのセバスチャン・ローブがベストタイムをマークし総合2位に浮上した。しかし、このラリー最長ステージとなるSS4では、再びグロンホルムがベストタイムをマーク、ローブは5.4秒差でセカンドベストをマークし後続を引き離した。
30分サービスを経て、午前中に走行したループの再走に挑んだSS5でもグロンホルムがベストタイムをマークし、そのままSS6もステージウィンを獲得した。また、このSS6ではトップ10ドライバーが5秒以内にひしめく接戦となった。
その後、SS7ではローブがベストタイムをマーク、SS8ではグロンホルム、SS9では再びローブ、そしてSS10ではローブと、グロンホルムとローブの争いとなった。そして、レグ1は、フォードのグロンホルムが総合首位で終えた。
Leg2 中盤でアクシデント、首位交替
一日中快晴でドライな2日目は、87台のエントリーのうち、83台でのスタートとなった。ルートは、帯広北東部の郊外に9本のグラベルステージが設定され、サービスエリアに隣接するスーパーSSでの2回の走行で締めくくられる。
この日も、最初のSSでグロンホルムがベストタイムをマークしてのスタートとなった。また、このSS11中盤では、スピン、エンジンストールに見舞われたスバルの新井が10秒のタイムロスを喫した。その後も順位に大きな変動はなくSS12を終えたが、SS13ではグローブがベストタイムをマーク。グロンホルムとの差を6.3秒に縮めた。
そして迎えたSS14、スタートライン付近でグロンホルムがスピンを喫し、なんと20秒以上のタイムロス。このステージでベストタイムをマークしたローブに、このラリーの首位を許すことになった。グロンホルムは、17.4秒差で2位に後退した。その後のSS15でも、グロンホルムはスタート付近でコースオフし10秒近くのタイムロス、一方ローブはこのステージでもベストタイムをマークし、総合首位の差をさらに広げた。
30分サービスを終えたSS16、ここではグロンホルムがベストタイム、そして、SS17はローブがベストタイム、SS18・SS19はグロンホルム、SS20・SS21はローブと首位争いは続いたが、SS14でのグロンホルムのスピンが影響し、Leg2はローブが首位で終えた。
Leg3 猛烈なバトルの末、ローブが逃げ切り!
最終レグは、87台のエントリーのうち81台がスタートをきった。このラリー最短レグとなるレグ3には、帯広北西部の郊外に5本のステージが設定され、北愛国のサービスエリアに隣接する1.3kmのスーパーSSでフィニッシュを迎える。
数日前の雨の影響と早朝ということから、セクションによっては特に滑りやすく、スタートから2km地点の2速ジャンクションでは何人かのドライバーが犠牲になるというスタート。このSS22を制したのはローブを4秒先行したグロンホルムで、総合首位ローブとの総合差を4秒縮め21.1秒となった。しかし、次のSS23では、ローブがベストタイムをマークした。そして日中サービス前最後となったSS24では、ローブとグロンホルムの激しい首位争いが展開され、グロンホルムがベストタイムをマークした。
サービス後のSS25では、またも総合優勝をかけての猛烈なバトルを展開したグロンホルムとローブだが、ローブはグロンホルムのペースに追いつくことができず、さらに6.9秒の差を縮められてしまった。この時点で両者の差は8.8秒までに迫った。その後のSS26でも、ベストタイムはグロンホルムがマーク、総合差5.4秒を残していよいよ最後のステージを迎えることになった。
そして、ファイナルステージ。フォードのヒルボネンがベストタイムをマークしたなか、グロンホルムとローブの対戦では、グロンホルムに0.2秒差をつけてローブがセカンドベストをマークし、見事WRC27勝目を獲得、WRC史上最多勝利ドライバーの名誉を手に入れた。一方、グロンホルムは、総合差5.6秒遅れの2位でラリージャパンを終えた。
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【特集】 written by
徳田 透 (2006.08.30)
9月1日〜3日にかけて開催されるWRC(世界ラリー選手権)第11戦「ラリージャパン」に向けた「SUBARU WRCプレスカンファレンス」が行われた。ペターが、新井がラリージャパンへの熱い想いを語る! >> 記事全文を読む |
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