メーターを交換したり距離を巻き戻したクルマが多い
中古車の物件情報サイトや情報誌をみていると、たまに走行不明と明記されたクルマがあります。この走行不明車とは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
走行不明車とは主にメーターが壊れて交換されていたり、走行距離が改ざんされた恐れのあるクルマのことを言います。自動車のメーターも機械部品なので、時々は壊れる時もあり、修理が不可能で新品に交換する時もあります。
その時には新品メーターの走行距離は0km(最近は距離が内部のコンピューターに記憶され、メーターを変えても外す前の距離が表示されるクルマもあるらしい)から始まるので、それまでの走行距離がリセットされてしまい、実際の走行距離よりも大幅に少なく表示されてしまいます。このようなクルマを走行不明車と呼びます。
また実際にはメーターを変えなくても、走行距離だけを改ざんしている恐れのあるクルマも走行不明車として扱われます。
中古車オークションのデーターは全国でつながっている
では、なぜメーターを交換したり距離を改ざんしていることが発覚するのでしょうか。それは、ほとんどのケースでは、中古車業者のオークションに出品された時や、修理などでディーラーに入庫した時に発覚することが多いようです。
中古車のオークション会場は全国の会場がネットワークで繋がっており、車台番号と出品された時の走行距離が記録されています。そのため、前回の出品時より走行距離が少なくなっていれば、メーター交換や改ざんの恐れがあるとして走行不明車となります。そして一度走行不明車となった場合は、それ以降もずっと走行不明車としてしか扱われなくなります。
別のケースでは販売店で買った時にはキチンと距離が明記されていたものの、ディーラーに入庫した際に、前回の整備記録より距離が短く、メーターの改ざんが発覚する場合もあります。
04年の車検時からは車検証に走行距離が印刷されるようになり、走行距離を改ざんしている中古車は減ってきてはいますが、全く無くなるようなことはないでしょう。例えば、最初の車検までに5万km走ったクルマのメーターを、5000km程度にしてしまう人もいますし、2年間の車検の間を、ほとんど走っていないような距離に改ざんしてしまう人もいます。したがって、車検証の距離表示も完璧ではないことも覚えておきましょう。
一般の人は走行不明車には手を出さないほうがいい
一般の人があまり走行不明車を買いそうになる機会は少ないと思いますが、個人売買のオークションなどでは、走行不明車を意外に多く見かけます。もちろん少しは安くは売っていますが、普通の人が買うのはやめておいたほうがいいでしょう。
その理由は走行不明にしてまで、メーターを戻すぐらいですから思い切りの過走行だと予想されるからです。10万kmレベルではなく15〜20万kmぐらい走っているかもしれません。さらに走行不明車の価値は非常に低く、買い替えようと思ってもマトモな値段では売れません。
そんな私も、一度だけ走行不明のMR2を買ったことがあります。そのMR2は300km/hスケールのメーターに交換してあり、そのメーターは6万km表示でした。もちろん思い切り安く買うことができました。走行不明(おまけに事故車)ということもあり、相場(60万円ぐらいの時)の半額ぐらいで買うことができました。1年乗って大きなトラブルもありませんでしたが、売る時は、やはり個人売買でしか売れませんでした。
10万円以下のすでに価値のないクルマや、20年落ちの絶版車でもない限り、一般の人はメーターを改ざんされた恐れのある、走行不明車には手を出さない方がいいでしょう。