VQエンジンのDNAを継承した新世代V6エンジン。
この秋登場の新型スカイラインに搭載予定の新エンジンが発表になった。エンジンブロックや基本寸法から見直し軽快な走り、低燃費、クリーンな排出ガスを実現した新開発エンジンながら、従来の「VQ」名を名乗るその理由とは!?

この記事の目次 CONTENTS
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高回転、ハイレスポンスで「HR」!
軽快で気持ち良い走り、低燃費、クリーンな排出ガス!
次期GT-R用エンジンにも発展!?

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

高回転、ハイレスポンスで「HR」!

日産自動車はこの秋登場予定の新型スカイラインに搭載される新開発V型6気筒エンジン3.5リッター「VQ35HR」および同2.5リッター「VQ25HR」の概要を発表した。
新エンジンでは、従来のVQ名を継ぎながらもエンジンブロックや基本寸法に至るまで見直された全く新たな設計となっている。

1988年に開発されたVQエンジンは、累計550万基を超えた生産台数を誇り、米国ワーズ社の10ベストエンジンに12年連続で選出される評価の高さを持つ人気のユニットだ。
新たに開発されたエンジンにVQ名を継いだ理由について日産では、初代VQエンジン開発時の「FEATHERコンセプト(鳥の羽のように軽やかに)」で目指した「軽く滑らかな吹け上がる」という考え方を継承した『進化版』だからだ、と説明する。いっぽうで高回転(High Revolution)、際立ったアクセルレスポンス(High Response)といった特長を意味する「HR」をその名称に組み入れ「VQ35HR」「VQ35HR」としている点が新しい。

軽快で気持ち良い走り、低燃費、クリーンな排出ガス!

HRの名の通り、軽快で気持ちの良い走りを目指した新しいVQ35HR・VQ25HRエンジンでは、V6クラストップの高回転まで吹け上がりを特長とし、最高回転は実に7500rpmを誇る。
これはピストンのフリクション低減のみならず、シリンダブロックへのラダーフレーム追加による大幅剛性アップが貢献している。

またCVTC(連続可変バルブタイミングコントロール)を吸気・排気両側に採用し燃焼効率の向上を図ったほか、左右完全対称吸排気システムの採用などにより、クラストップレベルの高出力を実現している。
その高性能はスペック上だけにとどまらず、クリアで迫力のある、気持ち良い加速音といった感性面にもこだわったという。
さらに新世代エンジンらしく、実用燃費の向上やクラス最高水準のクリーンな排出ガス(SU-LEV)も達成するなど、環境性能についても十分に配慮している模様だ。

なお日産では新VQ-HRエンジンの生産のため、福島県いわき工場内に第二エンジン工場を新設し、専用の最新加工ラインも設置している。
コレは今後スカイライン以外への展開拡大も見込んでのことと思われる。

次期GT-R用エンジンにも発展!?

新型VQ35HR・VQ25HRエンジンの最高出力やトルク、燃費といった実数値については未だ発表がないが、スポーツイメージのスカイラインに初めて搭載されるということもあり、その期待は高まるばかりだ。
またそのポテンシャルの高さから、新VQエンジンは次期GT-R用ユニットのベースでは!?と考えてもおかしくはない。
ラダーフレームを追加し剛性を大幅に高めたエンジンブロック(高出力にも対応?)や左右完全対称吸排気システム(ツインターボにも対応?)など、よりハイパワーに対応する素性を感じさせるのだ。

期待の新VQ-HRエンジン、登場は今秋のスカイラインから。気になるインプレッションについては、登場次第「CORISM」でもいち早くお届けしたいところである。11月が訪れるのを心待ちにしたい!

話題の新型スカイラインが日本で発売されるのはこの秋。なお「CORISM」編集部では、そのタイミングを11月頃発表と予想する。

左右対称ツイン吸気システム(写真)やストレート吸気ポートの採用により吸気抵抗を18%低減し、吸気効率を向上。クラストップの高出力化に貢献する。

いっぽう等長エキゾーストマニホールド(写真)や左右対称排気システムの採用による排気損失の抑制も高出力化や気持ちの良い加速音に貢献する。