最近、ディーゼルが「キテ」るんだってば!
昭和の頃の「ディーゼル」
昭和50年代半ば。筆者がまだ小学生の頃、街でたまー・・・に見かけた初代のVWゴルフ。カラカラとディーゼル独特の音を響かせながら軽快に走っていたカラフルなハッチバック車(黄色いボディカラーが定番だった気がする)は、幼心に「なんかオシャレだなあ、格好いいなあ」と思っていたものでした。(※写真はガソリンエンジンの初代GTI)
その頃、日産が330型セドリックにディーゼルを追加したのを皮切りに、日本車の間でもちょっとした「ディーゼルブーム」が発生しました。スポーティなスカイラインGT(通称「ジャパン」)やコンパクトカーのダイハツ シャレード、いすゞ ジェミニなど、本当に大小様々なモデルがディーゼルエンジンを採用していたのです。
さらに80年代中頃にはRV車ブームが到来。梯子型フレーム付きトラックを出自とするクロスカントリー系の4WD車や、商用バンをベースとする1BOXワゴン(今でいう「ミニバン」の元祖)などの大きく重たいクルマには、低速域で良く粘るディーゼルエンジンは相性が良いとされ人気の中心となったのは記憶に新しいところです。
日本のディーゼルは、実用性重視で「低」性能?
とはいえ日本のディーゼルは、あくまでも絶対性能より経済性や耐久性に重きを置いた実用エンジンという位置付け。ユーザーから見れば「ディーゼル=遅いエンジン・低性能」の代名詞となり、さらには整備不良の大型トラックがはびこっていたことも手伝い、特に都市部において大気汚染が社会問題となりました。その結果「黒煙が臭い」「環境に悪そう」とネガティブなイメージも根付いてしまう結果に。
そんな中、ミニバンやクロカン四駆が乗用車ベースの軽量な車体構造を持つようになったこともあり、90年代後半にはディーゼルエンジン搭載の乗用車はほぼ消滅してしまいました。
おそらく多くの日本人に「ディーゼル乗用車」と言っても「え?それってどうなんですか?」「欲しくないなあ」って思う存在だと思うんですね、残念ながら。
06年、欧州発最新ディーゼルエンジンの姿とは
ディーゼルエンジン車による大気汚染が問題となった日本。経済活動に不可欠なトラック・バスについては次々と規制・対策がとられるいっぽうで、ディーゼル乗用車のほうは1990年代末頃にひっそりと消滅していきました。
さて、いっぽうの欧州市場はというと、また違った視点で乗用車用ディーゼルエンジンが再注目されたのです。キーワードは「CO2削減」。
地球温暖化への対策は世界的な課題。その温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)発生元のひとつとなっているのが、全世界でますます増え続ける「自動車」なのです。
とはいえ、今さら自動車を無くすことは事実上不可能な話し。ならば、より効率の良いディーゼルを普及させることが、地球規模で大きな効果を生み出す取り組みとなります。そう、もともとディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べ、CO2排出量が少ないという特性があるのです!
過去のことは忘れてください!「キテ」ますよ、新世代ディーゼル
熱効率の良いディーゼルエンジン。その特性をさらに生かし、欧州では燃料噴射技術の高圧化、緻密化によってハイパワー化・低燃費化を実現。さらに排出ガスのクリーン化技術による大幅削減も達成してしまったのです!
そう、かつての「遅い」「うるさい」「排ガスが汚い」といったネガティブなイメージは、すっかり払拭! それどころか、かの地では「エコ」なイメージも普及しているといいます。
もちろん、ガソリンに比べ安い軽油で燃費も良いとなれば、ユーザーにとってもメリットは大というワケ。なんせヨーロッパでは乗用車の実に5割以上がディーゼルエンジン車だ、という統計結果もあるくらい。
そんなディーゼル普及の推進役として、技術面で大きな役割を果たしたのが、誰あろう欧州の有力部品メーカー「ボッシュ」。緻密な燃料噴射制御を誇るコモンレール式ディーゼルの技術を一手に担っているのです。
今回我々「CORISM」編集部ではボッシュの日本法人を通じ、貴重なサンプルカーに乗ることが許されました。その実用性の高さ、排気ガスのクリーンさ、走りの凄さに至るまで、じっくり体感することが出来ました。
分かったことは「過去のことは忘れてください」そのヒトコトに尽きます!
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ところで、初代ゴルフのディーゼルは・・・
余談ながら、平成に入ってから友人が買った10数年落ちの「初代ゴルフディーゼル」を乗らせてもらったら、なんともうるさくなんとも遅い、それはそれはビックリな代物でした。いかにも軽快そうにすいすい走っていたあの時のゴルフ、ドライバーはきっと相当の名手だったのかもしれません・・・
written by 徳田 透
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