今年最もタフなコンディションの一つとなったレース

 2006年インディ・レーシングリーグの後半戦は、暑いカンザスでスタートを切り、サム・ホーニッシュJr.(ダラーラ・ホンダ)がカンザスで、今シーズン3勝目となる勝利をあげた。

 ホーニッシュは、ダン・ウェルドン(ダラーラ・ホンダ)をレース終盤のリスタートの際にパス。激しいバトルを展開するこの2台のマシンは、サイド・バイ・サイドで周回を重ね、ウェルドンは2度に渡ってホーニッシュに仕掛ける動きを見せたが、最終的にかわすことはできず、ホーニッシュはウェルドンを僅か0.0793秒差で抑えてフィニッシュラインを通過した。ヴィットール・メイラ(ダラーラ・ホンダ)は、2人のすぐ後ろで3位フィニッシュを果たした。

 このレースは、気温32度以上、路面温度58度という暑さに強風という要素も加わり、ターン1ではドライバーにとって追い風となったが、ターン3ではマシンコントロールを難しくした。このためハンドリングの悪いマシンを操っていたスコット・シャープ(ダラーラ・ホンダ)とバディ・ライス(ダラーラ・ホンダ)の両名が壁に激突し、レースを終えた。めまぐるしく変わるレースコンディションの下、ドライバー達はウエイト・ジャッカーとスウェイ・バーの頻繁な調整を余儀なくされ、ドライバー達にとって忙しいレースとなった。今年最大の試練のひとつと言っても過言ではないコンディションで、チームは常に1セットのファイアストン・ファイアホークで50ラップ以上を走行した。

 今回、ファイアストンは、カンザス・スピードウェイに他のインディカーシリーズのハイバンク・ハイスピードの1.5マイル・オーバルコースで、その性能を実証済みのタイヤを持ち込んだ。今回と同スペックのタイヤは、6月12日にこのコースで行われたオープンテストでも使用されたとのこと。

 マールボロ・チーム・ペンスキーの優勝ドライバーサム・ホーニッシュJr.氏は、「タイヤはすばらしかった。自分たちはタイヤに関しては全く問題ないことがわかっていた。以前ここではテストを行っており、全てがうまくいっていたからね。ファンにすばらしいショーを見てもらうことができたのではないかな。特に終盤はね。優勝という形でレースを終えることができて、本当によかったよ。」とコメントしている。

 ファイアストンレーシング・エグゼクティブディレクターのアル・スパイヤー氏は、「とてもすばらしいレースだったと思う。コースの路面温度が58度を超え、非常に暑く日差しの強い一日となったにも関わらず、ファイアストンタイヤがその性能を維持したことを我々は大変誇りに思う。レース終盤はまぎれもなく最高の展開となり、サム・ホーニッシュJr.とダン・ウェルドンのサイド・バイ・サイドのバトルを見ることができた。両名ともファンにとってすばらしいショーを繰り広げたにも関わらず、二人のうち一人だけしか正式な勝者となれないのは残念だ。今回は、是非ともマールボロ・チーム・ペンスキーとターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングの双方に対して、祝福を贈りたい。彼らは現時点で最高のハンドリングのマシンを持っている。パンサー・レーシングのヴィットール・メイラが、常に鋭い走りを見せていることも大変喜ばしいことだ。最後に今日誕生日を迎えたサム・ホーニッシュJr. には、特別の祝辞を贈りたい。」とコメントしている。