ゴールゴールゴール!! ディーゼルエンジンがルマンを制した!

なんと、ディーゼルエンジンのレーシングカーが初めてルマン24時間耐久レースを総合優勝した! アウディR10TDIが伝統的レースの歴史を動かす偉業を成し遂げたのだ。こりゃサッカー観戦に興じている場合じゃないぞ!
アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!

歴史的瞬間! 表彰台にディーゼル2台が登った!

 日本中がドイツのワールドカップ2006に興じている中、スポーツ界の大いなる歴史がフランスでも動いた。世界で最も過酷と言われる伝統の耐久レース『ルマン24時間レース』で、なんとディーゼルエンジンのレーシングカーが初めて総合優勝を果たしたのだ!この偉業を成し得たのは、奇しくもドイツのアウディ。

 日本ではトラック・バスなどの大型車用というイメージの強いディーゼルエンジンだが、欧州では乗用車エンジンとしても非常に人気が高い。また最新技術によって走りの能力に加え高速域での燃費性能も年々向上しており、最近ではディーゼルといえば「エコ」で「スポーティ」なプレミアムエンジンというイメージが一般的なのだ。しかしレースの世界となると全くの未開拓ジャンルであり、今回の参戦は非常にチャレンジングなものだった。

アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!
2006年、ルマン24時間レースのスタートシーン。今年も長丁場の耐久レースが始まった!
アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!
アウディR10 TDIのV12ディーゼルエンジンの最高出力は実に650PS!
アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!
アウディはトータルで380周を走りきり、距離記録も達成した!

ほぼノントラブル! 危なげなくゴール!

 既に先代モデルR8で5回ものルマン優勝を飾るアウディ。大きなトラブルもなく危なげない優勝を遂げた過去モデル同様に、今回のR10 TDIもギアボックスのトラブルでわずか10分足らず(その時間の間でギアボックスを交換した!)でピットストップしたのみ! しかもこのレーシングカーはレースのわずか200日前にシェイクダウンしたばかりなのだから、その圧倒的な信頼性の高さには驚くばかりだ。速さは言うにおよばず、燃費性能においても、1回の給油で16周を走りLMP1クラスにおける記録も更新している。これはガソリンエンジンを積む他のレーシングカーから比べてはるかに長いサイクルだという。
 なおこのアウディR10 TDIは、チームアウディスポーツ ノースアメリカが2台のレースカーでアメリカン ルマンシリーズ(ALMS)のシリーズチャンピオンシップを賭けて戦う予定となっている。ライバルチームにとっては、大いなる脅威となることだろう。

 欧州におけるアウディの市販車は、実に2台に1台がディーゼル。アウディのディーゼル車セールスにとって今回の優勝はかなりのインパクトを与えるのは間違いない。また既に来年のルマンで他社ディーゼルエンジンでの参戦もウワサされていることから、今回の優勝はひとつの歴史的ターニングポイントとなるはずだ。今後レースの世界でもディーゼルパワーの技術競争が一段と激しくなることだろう。

アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!
ルマン24時間レース名物! 観客・ピット・オフィシャルが一体となった感動のゴールシーン!
アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!
1位と3位の表彰台を先進のディーゼルパワーで獲得したアウディチーム! 新たなチャレンジで優勝した感慨は他に変えがたい喜びがあるだろう。
アウディR10TDI ディーゼルエンジンが世界初ルマン24時間レース総合優勝!
カーナンバー8のアウディスポーツ チームヨースト、フランク・ビエラ、エマニュエル・ピロ、マルコ・ヴェルナー組が乗った優勝車「アウディR10 TDIレーシングカー」

ルマン24時間レース 決勝結果

1.ビエラ/ピロ/ヴェルナー(アウディR10 TDI) 380周 24時間04分47.325秒
2.エラリー/モンタニー/ロウブ(ペスカロロージャッド) +4周
3.カペロ/クリステンセン/マクニッシュ(アウディR10 TDI) +13周
4.ギャビン/ベレッタ/マグヌッセン(シボレー) +25周
5.ミナシアン/コラール/コマス(ペスカロロージャッド) +28周
6.エンゲ/ピッチーニ/ターナー(アストンマーチン) +30周

( 写真:アウディジャパン/レポート:CORISM編集部 )