"SAAB" のクルマには強烈な個性がある
サーブは航空機メーカーをルーツとするスウェーデンの自動車メーカーで、現在はGMの傘下にあるが、サーブならではのこだわりのあるクルマ作りを続けていることで定評がある。たとえば、イグニッションキーのシリンダーがセンターコンソールに設けられているのはその典型。航空機メーカーとしてのこだわりが端的に表れた一例である。
"9-5"の2006年モデルはどのようなクルマか?
9-5はサーブの上級モデルで、かつてのサーブ9000などを後継する存在。日本市場に導入されたのは1997年10月(エステートは1999年2月)で、モデルサイクルは相当に長期化しているが、長い時間をかけて熟成を進めていくのがサーブの姿勢でもある。
2006年モデルではその熟成が進められ、外観デザインから内装の仕様や装備、さらにはボディの強化から走行性能に至るまで、さまざまな部分で改良が加えられている。
エクステリアに "SAAB" の革新を見てとれる
特に注目されるのはフロント回りのデザインだ。ヘッドライトの周囲を縁取る形でクロームメッキのモールが配置され、アグレッシブというか迫力を感じさせるような顔つきになった。
このフロントデザインはサーブデザインの今後を指し示すものだというが、どちらかといえばパワーを内に秘めて控えめなデザインを特徴としたのがこれまでのサーブだっただけに、好き嫌いが分かれるというか、違和感を感じるユーザーもいるのではないか。
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変化はインテリアにも現われた
インテリアもブラックルームインテリアをコンセプトに、スポーティかつモダンなイメージを強調したものになった。ダッシュボードやフロアなどはブラックで統一し、ピラーやルーフはベージュ系で統一して調和の取れたインテリアを作っている。
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"全車ターボ" というSAABらしいパワーユニット
サーブ9-5の搭載エンジンは3機種。これに応じてグレードが設定されている。2.0Lのロープレッシャーターボがリニア、2.3Lのロープレッシャーターボがアーク、2.3Lのハイプレッシャーターボがエアロで、セダンにはこの3機種が、エステートには2.0Lを除く2機種が搭載されている。
高性能を気持ちよく体感できる走り
今回試乗したのはエアロ。ハイプレッシャーターボの実力は191kW(260ps)に達しており、ボディに対して十分な余裕のある動力性能だ。サーブ9-5に乗ったのと同じ日に、400ps超のキャデラックSTS-Vや500ps超のコルベットZ06に乗ったので、サーブ9-5エアロの印象はおとなしいものに感じられたが、260psが十分な性能であるのは間違いない。STS-VやZ06のほうが凄すぎるのだ。
ハイプレッシャーターボとはいえ、どっかんターボという印象ではなく、滑らかさと力強さを兼ね備えたパワーフィールは好印象。エンジンに合わせてシャシーのチューニングも進められ、シャープなステアリングフィールを実現している。乗り心地をスポイルすることなく、ダイレクト感のあるステアリングを実現した点も満足できるところだ。
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北欧車ならではの "ワゴンらしい" 使い勝手
試乗したエステートでは、上級車クラスのボディによってフラットで広々としたラゲッジスペースが確保されている。ラゲッジフロアにはレールやフックが設けられて荷物を固定しやすくなっているし、フロアアンダーボックスへの収納も使い勝手を向上させている。
魅力アップした "9-5" はとってもオススメ!
モデルサイクルが長期化しているのは難点となる部分だが、マイナーチェンジで魅力アップした今はサーブ9-5の買いどきといえる。
代表グレード
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エステート エアロ
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4860×1795×1495mm
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車両重量[kg]
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1660kg
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総排気量[cc]
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2290cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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260ps(191.23kw)/5200rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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35.7kg・m(350.1N・m)/1800rpm
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ミッション
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5AT
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10・15モード燃焼[km/l]
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8.2km/l
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定員[人]
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5名
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税込価格[万円]
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587万円
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発売日
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2006/04
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レポート
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松下 宏
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写真
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佐藤 靖彦
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