日本仕様は直列4気筒2.0Lの直噴エンジンが自然吸気仕様とターボ仕様、それにV型6気筒3.2Lの直噴エンジンの計3機種が搭載される。パワーは150ps、200ps、250psとなる。エンジンについては基本的にゴルフ/ジェッタ系と共通だ。
トランスミッションは2.0Lエンジンにはティプトロニック仕様の6速ATが組み合わされ、3.2Lエンジンには6速DSGが組み合わされる。基本はFFだが、V型6気筒エンジンの搭載車はハルデックスカップリングを使ったレスポンスの良い4WDシステムである4モーションとなる。
パワートレーン系は基本的にはゴルフ/ジェッタ系のものと共通と考えていい。ゴルフ/ジェッタでは2.0LのFSIターボのトランスミッションがDSGになるのに対し、パサートでは6速ATになるのがわずかな相違点だ。
ボディ剛性を大幅に強化したこともあってパサートの重量はやや重くなった。セダンの2.0L車は1500kg以下に収まったが、ワゴンは1500kgを超え、4WDのみの3.2L車は1600kgを超える水準だ。
それでも2.0Lの自然吸気エンジンを搭載した2.0でも走りに特に不満は感じない。優れた変速フィールを感じさせる6速ATとの組み合わせによって滑らかな走りを実現する。ただ、ボディに見合った余裕ある走りが楽しめるのはターボ仕様のエンジンを搭載した2.0Tだ。トルクの余裕が大きいだけでなく、わずか1800回転から5000回転までフラットな最大トルクを発生するので、どんな速度域でも扱いやすさを感じさせる。ちなみに時速100kmでクルージングしたときの回転数は1700回転ほど。静かでスムーズな走りが可能だ。
V型6気筒3.2L直噴エンジンを搭載したV6 4モーションは、取り敢えずセダンだけが発売され、ヴァリアントが追加されるのは秋になるそうだが、ゴルフの最強モデルであるR32と同じ仕様のモデルだけに、走りのスポーティさは相当なレベル。高速コーナーの続くワインディングなどを楽しく軽快に走り抜けていくことができる。
同じセダンボディのジェッタとパサートでは直噴ターボ仕様のエンジンを搭載した2.0Tにほとんど同レベルの価格が設定されている。300万円台中盤の価格は十分に値打ちモノといえるだろう。
ジェッタには本革シートなどが標準になり、パサートではこれがオプション設定だから車格に応じた価格差はそれなりに付いているのだが、ジェッタとパサートで迷うユーザーが多いかも知れない。
パサートを軸に考えると、2.0Tに本革シートや木目パネルなどをオプション装着した仕様で400万円程度。これはアウディA4を始め、メルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズなどのDセグメントセダンのベースグレードとほぼ同価格だから、パサートの割安感が際立つ感じだ。