タイ三菱で造られる世界戦略ピックアップ「トライトン」。以前輸入されていた「ストラーダ」の後継モデルだ。今秋にも輸入予定というスタイリッシュトラックを現地で速攻試乗した!
インパクト大!スタイリッシュトラック
日本では自動車メーカー各社が1t級のピックアップトラックの生産を止めてしまった。工務店などのニーズもほとんどなくなったためだ。結果的にRVとして使われるピックアップも消滅する結果になった。
そんな中で三菱では、タイ三菱で生産したトライトンを限定的な形ながら日本に導入することを計画している。トライトンはかつてタイから輸入されたことのあるストラーダの後継モデルで、タイ三菱の工場からヨーロッパやアジア、中南米など、世界中に輸出されるモデル。タイでは昨年5月から販売が始まり、今年に入ってヨーロッパなどへの輸出も始まった。日本へは10月頃に輸入される予定である。
外観デザインはなかなかカッコ良い、というかトラックとは思えないような斬新な感覚のデザインが与えられている。タイの街中を走る姿を見ても、相当にインパクトのあるデザインといえる。外観に比べるとインテリア回りはさほどではないが、外観を見ただけで並みのトラックとは違うクルマと感じる。
ただ、現地ではデザイン的に飛びすぎているのが問題でもあるようだ。実用的なトラックとして使いたいユーザーにとっては、デザインを優先しすぎたものとして敬遠されることもあるらしい。むしろヨーロッパや日本など、先進国向けのクルマということになるのかも知れない。
遊び道具を積んで出かけたいユーザーに
トライトンのボディタイプは4ドアのダブルキャブのほか、2ドアで前席の後ろにスペースを設けたクラブキャブ、通常の2ドアと3種類のボディが設定されている。現地ではコモンレール直噴ターボなど、4機種のディーゼルエンジンが搭載されている。
日本仕様として予定されているのはV型6気筒の3.5Lのガソリンエンジンを搭載した4速AT車で、今回はこの仕様のほか5速MT車、また2.5Lのコモンレールディーゼルターボを搭載した5速MT車と3種類の仕様に試乗した。
パタヤビーチに近いリゾート地でのオンロードを中心に試乗して感じたのはピックアップトラックの割には乗り心地に優れること。一般的にトラックは過積載まで考慮して荷物を乗せることを前提に足回りを作るが、トライトンでは無茶な過積載はないとの前提で足回りを設計したとのこと。これが乗り心地の良さにつながったようだ。
ガソリンの3.5Lエンジン+4速ATという仕様はオーストラリア向けのもの。日本仕様もこれに準じたものになるらしい。エンジンはSOHCながら、排気量の余裕から静かなクルージングが可能。油圧式の4速ATは古いといえば古いのだが、トラック用としては妥当な組み合わせと考えるべきだろう。
今の日本では、大きな遊び道具を積んで出かけたいユーザーにとって、ちょうど良いピックアップトラックがないのが問題になっていて、ストラーダの中古車に意外な高値が付いたりしている。コンスタントに大量に売れるクルマではないが、限定的な売り方であれば確実に需要をつかめるのではないか。
また今回は2.5Lの直噴コモンレールディーゼルターボを搭載したモデルにも試乗したが、このエンジンがなかなかデキが良い。トルク感のある走りは3.5Lのガソリン以上といえるもので、排気ガスの問題がクリアできるならこちらも輸入してほしいくらいだった。