順調に成長を続けるタイの自動車市場
第27回バンコク国際モーターショーが今年もバンコク郊外のBITECで開催された。タイでは先にタクシン首相の辞任によって取り敢えずの解決をみたが、ショーの開催期間中は大規模な反政府デモが開催されていた時期だったこともあり、モーターショーへの動員にも多少の影響が出ていたようだ。
前年は150万人が入場したとのことだが、主催者のプラチニGPIインターナショナル社長によると、今年の入場人員は10%程度減少する見込みとのことだった。ただ、一般公開が始まった当初のショー会場はいつもの年のように大混雑。やはりクルマへの憧れはとても強いようだ。
タイでは政府が“アジアのデトロイトに”というスローガンを掲げて自動車産業の育成に力を入れており、それが功を奏して東南アジアでは最大の自動車生産国となっている。それもKD生産ではなく、多くの部品をタイや東南アジア各国からの輸入で生産するようになっている。
タイではクルマはまだごく一部の金持ちのものだが、大手企業に勤務するマネージャークラスの会社員にとって、クルマは何とか買える現実的な商品になりつつあり、ここ何年かでモータリゼーションが急速な進展を見せるものと予想されている。
タイでは1996年に国内販売台数が60万台にまで達した後、97年のアジア通過危機で大きく落ち込み、98年には14万台レベルにまで落ち込んだ過去がある。その後は経済の回復とともに徐々にクルマの販売も伸び、昨年は67万台レベルと過去最高を記録するところまで戻ってきた。
ただ、売れ行きの中身を見ると乗用車の比率は30%弱で、最も良く売れているのは1t級のピックアップトラック。これが70%近くを占めている。年々ピックアップトラックの比率が下がり、乗用車の比率が伸びているが、乗用車中心の市場になるにはまだ少し時間がかかりそうだ。それだけに乗用車に対する憧れが強いともいえる。
バンコクショーの注目モデルはこれ!
バンコク国際モーターショーは今年で27回目だから、アジアでは東京に次ぐ歴史を持つ。東京は今年は開催がなくて隔年開催になったから、このままでいくといつかは開催回数で抜かれることになる。
それはともかく27年前といえば、まだタイでは走っているクルマの台数も少なかったと思うが、その時代からモーターショーを開催してきたのはGPインターというクルマ雑誌の出版社だった。最初のうちは東京オートサロンのような位置づけだったともいえる。
現在ではタイの王立自動車クラブが主催者となり、タイ自動車工業会とGPインターが協賛する形での開催となり、自動車製造業者国際連合(OICA)の公認も受けている。名実ともに国際格式のモーターショーに成長してきたのだ。
とはいえ、世界的に見ればアジアのローカルショーであり、バンコクで世界初公開となるクルマはほとんどない。今回もマツダが発表したピックアップトラックのBT-50が唯一のワールドプレミアだった。
マツダがワールドプレミアとしてバンコクショーで発表したBT-50。マツダが従来から生産していたB型トラックの系譜を受け継ぐクルマとしてBTの名前が付けられた。三菱のトライトンが斬新なデザインを採用するのに対し、こちらはごくオーソドックスな実用トラックらしい作りだ。
ヨーロッパの自動車メーカーにとっては、日本もタイも同じアジアとして位置づけているためか、欧州車の中には日本でまだ発表されていないクルマがバンコクショーに出費されている例はたくさんあった。
ジャガーXK、ボルボC70、アウディQ7、プジョー407クーペなどは、本国では発表されていて国際試乗会なども開催されているが、日本ではまだ発表前の段階。それがバンコクショーに出品されていた。
また日本に輸入されていない韓国車も、サンヨンやキアのクルマがオリジナルのブランドで、またGMデーウのクルマがシボレーブランドで販売されるなど、日本では見かけないクルマも見受けられた。二輪車になるとさらにユニークで、現地のメーカーが成長してモーターショーに出品するようになっているという。
韓国のサンヨン(双龍)自動車製のSUV。日本にもレクストンなどが輸入されたことがあるが、バンコクには新型車のキーロンを出品していた。サンヨンはメルセデス・ベンツと提携していた歴史があり、現在もメルセデス・ベンツ製の直列5気筒ディーゼルエンジンを搭載したモデルを販売している。
日本の自動車メーカーは、前述のマツダBT-50のほか、三菱が前年に発売したトライトンが新しいモデル。昨年はIMVシリーズのハイラックスヴィーゴやイノーバ、フォーチュナーを投入したトヨタは、今年は特に新しいモデルがなく、レクサスのブースにあったコンセプトカーが目立った程度。ホンダも同様だが、我々はすでに昨年の東京モーターショーで見たことのあるコンセプトカーだ。
ホンダでは東京オートサロンに出品されていたシビックベースのモデューロのコンセプトカーもあった。
これはトライトンをベースにした改造車。税金の安いピックアップトラックとして販売されたクルマの荷台部分を改造し、豪華なキャビンに仕上げたもの。キャリーボーイという会社が製造販売を手がけており、節税商品として人気が高いという。ショーモデルなのでインテリアが超豪華仕様になっているが、実際にはシートが本革ではないタイプなどが良く売れているようだ。
 |
 |
【特集】 written by
松下 宏 (2006.04.17)
タイの美人が勢ぞろい!!日頃の疲れを美女たちで癒しましょう♪ >> 記事全文を読む |
|