4月1日から課税はなくなるが還付もなくなる

 4月1日からは、この方式が(車検残のある)すべての中古車に適用される。つまり埼玉県のユーザーから神奈川県のユーザーに売却された場合でも、埼玉県から旧ユーザーに月割り額を返済しない代わりに、神奈川県でも新しいユーザーから徴収しないという仕組みに変わるのだ。

 買い取りや下取りに出す場合には、自動車税の残り分も含めて査定してもらえば良いので特に問題は発生しないし、買い取り店や下取りするディーラーによっては査定価格と自動車税の残り分を分けて処理するところもあるが、それはそれで問題ない。

 中古車を買うときには少し問題になるケースが出てくる。車検が切れた状態で展示されていたり、あるいはごく短期間の車検しか残っていないのでその車検を切って購入時点で新たに車検を受けるクルマは、車検を受けるために自動車税を納税するのでこれも問題ない。

事実上、販売店が行政代行

 問題になるのは車検残のある(自動車税の納税されていて残り分のある)中古車の場合だ。それも、中古車を買おうとするユーザーが住む都道府県と、中古車の前ユーザーの住む都道府県が異なる場合だ。従来は、各都道府県税事務所が清算していたのに、4月1日からその処理をしなくなるため、販売店が代わって清算する形になる。

 つまり自動車税の月割り額としては納税されないため、自動車税事務所などが発行する自動車税の領収書が出てこない。でも、中古車を買うユーザーは自動車税が納税されていることのメリットを受けるワケだし、買い取り店や販売店は前のユーザーに自動車税分を査定価格に含めて払い戻すことで清算しているので、新しいユーザーから月割り額分を徴収せざるを得ない。これは従来、販売店を通じて同じ都道府県内のユーザーに売却された場合と同じ扱いになる。

公的な領収書が発行されないと、ユーザーは不利な立場に!

 中古車販売店の中には悪質な販売店があって、自動車税の月割り額をごまかして徴収する店があるため、自動車税事務所などの発行する公的な領収書で確認するのが良い方法だったのだが、上記のような例では改めて納税しないために公的な領収書が発行されない。でも自動車税分の負担は必要である。

 自動車税の月割り相当額になった場合、厳密に言うと消費税の課税対象になる。これも妙な話だが、純粋に税金ならそれに対して消費税が課税されることない(ガソリン等の場合は例外)が、自動車税の月割り相当額になると消費税が課税される。このあたりは販売店によっても処理が異なるが、行政の手抜きによってそんな面倒なことも起こるのが今回の自動車税の扱い方の変更だ。