波乱に満ちた予選結果
F1世界選手権の第3戦がオーストラリアで3月31日〜4月2日の日程で行われたが、予選・決勝レース共に大荒れの結果となった。
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4月1日に行われた予選では、第1ピリオドでホンダのルーベンス・バリチェロがタイムアタック中にSUPER AGURIの井出に引っかかり、タイムアップを果たせず予選17位に沈んだ。そして第2ピリオドでは、フェラーリのミハエル・シューマッハがタイムアタック中に雨が降り上位進出のタイムが出せず予選11位に。そして迎えた最終ピリオドでホンダのジェンソン・バトンが100%ホンダとしては38年ぶりの予選1位を獲得、2位ルノーのジャンカルロ・フィジケラ、3位ルノーのフェルナンド・アロンソ、4位マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネン。トヨタはラルフ・シューマッハが6位、ヤルノ・トゥルーリが10位、SUPER AGURIの佐藤琢磨が21位、井出有治が22位という結果となった。
予選以上に波乱含みの決勝レース
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4月2日の決勝レースは、4回もセーフティカーが導入される大荒れのレースとなった。
決勝レースのスターティンググリッドに付くためのフォーメーションラップで予選5位のマクラーレン・メルセデスのモントーヤがスピンし最後尾へ、そして予選2位のフィジケラがエンジンストールのため、レースは再スタート。モントーヤは予選順位通りのスタート位置に戻ったが、フィジケラはピットスタートとなる。
フォーメーションラップをやり直し、1周少ない57週で決勝レースのスタートが切られ、予選1位のバトンがスタートで飛び出し2番手はアロンソ。3番手にライコネン、4番手にはラルフが上がる。しかし、1周目の1コーナー過ぎにフェラーリのマッサらが接触し、コース上に部品が散乱したためセーフティカーが入る。
この日4回にわたるセーフティカーの導入が、レースの結果を大きく左右することとなった。
セーフティカーが抜けた4週目の再スタートで、2番手のアロンソがトップのバトンを交わし、その後独走態勢を築いた。バトンは2番手をキープするものの、3位ライコネンを抑えるのがやっとの状況。そして、5週目にレッドブルのクリエンがコースアウトし、再びセーフティカーが導入される。
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2回目のセーフティカーが抜けた後、再スタートで2番手バトンを3番手のライコネンがかわし、1位アロンソ、2位ライコネン、3位バトンの順に。
その後バトンはピットインなどで順位を落とし、5番手走行がやっとの状態。予選5番手のラルフが3番手へ上昇した。
レース中盤の32週目、5番手走行のバトンにフェラーリのミハエルが猛追していたが、最終コーナー立ち上がりでコースアウト。再びセーフティカーが導入された。ミハエルは予選アタックから決勝レースまで終始ペースが上がらず、ベストラップこそ3番手だが良いところなくレースを終える形となった。
また、この再スタートでもバトンは順位を2つ落としており、タイヤが温まっていない状態のペースに課題が残った。
最スタート直後にトロ・ロッソのリウッツィがクラッシュし再びセーフティカー。本日4回目のセーフティカーとなる。
レースはその後そのまま進むかと思われたが、46週目にマクラーレンのモントーヤが最終コーナーでコースアウト。マシントラブルによるリタイアとなった。
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そして、アロンソがそのままレースを逃げ切り今期2勝目。ルノーに3連勝をもたらした。2位はライコネン、3位にトヨタのラフルがトヨタに今季初表彰台をもたらし、4位に着実に順位を上げてきたBMWのニック・ハイドフェルド。5位にバトンが入るかと思われたが、最終ラップの最終コーナーひとつ手前でエンジンブロー。リタイアに終わり、バトンを終盤プッシュし続けたフィジケラが入った。6位BMWのビルニューブ、7位バリチェロ、8位トロ・ロッソのスピードの順で入賞となった。
しかし、レース後の裁定でスピードがイエローフラッグ中の追い越しが発覚し25秒のペナルティ。レッドブルのクルサードが繰り上がりで8位入賞となった。
バトルが楽しめる2006F1
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今回、4回ものセーフティカーが導入されたのには、昨年以上にレース中のバトルが増えたことが要因のようだ。
昨年と今年の違いはエンジンが2.4リッターV8エンジンとなり、チーム間の馬力差が少なくなったこと。そして、タイヤ交換が復活したことにより、レース中の戦略が複雑になったことなどがあげられる。
タイヤに負担をかけられるようになったので追い越しが増え、エンジンの馬力差が少なくなったので、更にその傾向が助長されているようだ。
そして、ルノーとマクラーレン・メルセデスの速さは別格だが、その他のチームは性能差が少なくなっているのではないだろうか。その結果、白熱した面白いレースとなっているのだろう。
ヨーロッパラウンドでの勢力図は?
相変わらず速い&強いルノー勢だが、ここ一発の速さはマクラーレンに軍配が上がる。しかし、今年回復基調のフェラーリやトヨタ、そしてワークスエンジンを手放したウィリアムズが予想外の速さを示しており、ここの争いが面白い。もちろん、BMWもワークス参戦1年目ながら上位入賞を果たしており、今後の熟成に期待がかかる。
中団以降も、レッドブルはBMWとさほど差はなく、トロ・ロッソ(昨季ミナルディ)は3.0リッターの制限付きエンジンが甲をそうしてか、オーストラリアではミハエルをオーバーテイクするシーンまで見せつけた。
そして、ミッドランド・トヨタとSUPER AGURIが続くが、SUPER AGURIは2002年のマシンを今年型に改良しているだけなので、今のところは遅くて当たり前といえる。
次の第4戦、サンマリノGPからヨーロッパランドが続き、マシンの改良ペースも各チーム向上するだろう。サンマリノ以降数戦が、今年のF1を占う上で重要なレースとなってくる。
次戦以降も目が離せないレースが続きそうだ。
次戦サンマリノGPは4月23日に行われる。