新型カムリのドライブフィールはどこかで感じたことのあるものだった。とても静かで滑らかなドライブフィールで感じたデジャブ(既視)感は、すぐに初代セルシオに乗ったときに感じたのと同じような感覚であることを思い出した。こんな風に書いたらほめすぎになるかも知れないが、それくらいに静かでスムーズ、柔らかなタッチの走りのフィールは、正にセルシオ感覚のものだ。
従来のモデルに比べて動力性能が向上した直列4気筒2.4Lエンジンは、実に静かに回るとともに1.5t級のボディを余裕のトルクで押し出していく。4気筒ながら6気筒に近いような滑らかで力強いフィールを感じさせる。今回のモデルから採用された電子制御5速ATの洗練された変速フィールも、質の高い走りにつながっている。
個人的な好みとは必ずしも合わないが、柔らかで乗り心地に優れた足回りも特筆ものだ。アメリカ車的な柔らかさを備えながらも安定性も損なわない足回りのチューニングも絶妙である。新型カムリは実に快適で楽ちんなクルマといえる。個人的にはヨーロッパ車的な硬めの足回りのほうが好みで、こうした柔らかさは必ずしも好きではないが、アメリカや日本のユーザーの多くは、こうした足回りを求めると思う。日本やアメリカの多くのユーザーから、“いいクルマを選んだな”という感想が聞かれるのは間違いない。
新型カムリは実に快適でリラックスした気分で運転できる。運転には適度な緊張感も必要だが、リラックスできることも大切だ。
カムリのバリエーションはわずか3グレードだけのシンプルな構成。ベースグレードは200万円台の中盤と手頃な価格が設定されている。カーナビや安全装備などのオプションをいろいろ装着しても300万円未満の予算で買うことができる。トヨタの最上級FF車を買う予算としては納得できるものといえる。
先に紹介したディグニスエディションの価格は350万円台とカムリとしては相当に高いイメージだが、従来のウィンダムの廉価モデルより安い設定。ウィンダムがV型6気筒の3.0Lエンジンを搭載していたのに対し、カムリは2.4Lエンジンということもあるが、何もオプションを装着しなくてもそのままで乗れるので、豪華な装備の割には値ごろ感のある価格といえる。