走りだけでなく環境にも配慮

 ジュネーブモーターショーのGMフォーラム(将来自動車技術関連)で展示されているサーブ9-5エアロ・バイオパワー・コンセプトは、優れたエンジンパワーとパフォーマンスを発揮しながらも、より一層環境に配慮できることを証明した。

 9-5エステートエアロ・バイオパワー・コンセプトの2.3リッター・ターボ・チャージャー・エンジンは、再利用・持続可能なバイオエタノール(E85)燃料を使用し、ガソリンエンジン仕様に比べ最高出力が約20%向上、最大トルクも約25%増大した。これにより0〜60mph加速は6.9秒から6秒以下となることが期待される。このようなパフォーマンスの向上もさることながら、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量削減による、環境性能の飛躍的な向上も同時に達成されている。

 サーブ9-5 2.0tバイオパワーは、改良型エンジンと環境性能の優れたコンビネーションで好評を得ており、現在は9-5の販売台数の約80%を占めているという。

 エタノール燃料は農作物を原料に生産され、ガソリンと違い消費しても大気中の二酸化炭素(CO2)を増加させることがない。これは走行中に排出されるCO2が、燃料である穀物の光合成により、空気中から取り除かれるCO2によって相殺されるため。エタノールはコールドスタート時の始動性を確保するため、通常エタノール85%、ガソリン15%の割合でブレンドされ、E85燃料として販売されている。

 E85は、オクタン価(104RON)がガソリン(95RON)に比べ非常に高いため、有害なノッキングのリスクなく点火時期を早めてエンジン出力を向上させることが出来るという。
 サーブのトリオニック・エンジン・マネジメント・システムは適応性に優れ、ガソリン使用時と異なる点火時期と空燃比にも再プログラミングだけで対応できるという。ハードウェアに関しては、より耐久性の高いバルブとバルブシート、及び燃料系統中のタンク、配管、コネクター等へのエタノール適合材料の使用が、バイオパワー化に際して必要となる唯一の変更点。

 トリオニック・エンジン・マネジメント・システムは、給油毎に燃料の品質をモニタリングし、E85とガソリンとのいかなる組み合わせに対しても自動調整を行う。つまり、サーブ・バイオパワーのオーナーは、E85が入手できないときにはガソリンを使用すればよいことになる。