ヴィルヌーブ、フレンツェン

こんにちは、このたびF1についてコラムを書かせていただく事になりましたイラストレーターの大塚と申します。
今回は自己紹介代わりに「免許も持ってない車音痴の私がいかにして素人F1ファン暦9年目に突入しようとしているまでになったのか」について書きたいと思います。しばしお付き合いくださいませ。
ちなみに「シャシーがどうの」とかはほとんど言及しない、というか出来ません。(あ、そこのアナタ、読むのやめないで〜)

夜型人間……イラストレータの性(さが)

F1……、考えてみると不思議なスポーツですね。大轟音を立てて同じ所をぐるぐる回るのを見るのが楽しいとはいかに。というか最初は全然興味ありませんでした(実を言うと今でもオーバルのみとかの、より「ぐるぐる度」が高いものは今ひとつのめりこみきれません、ちっともモータースポーツファンじゃないですね。)。
 
ではなぜ見るようになったか。それは、「深夜放送」だったからです。イラストレータという仕事を始めてからというもの、うっかり夜型生活人間になってしまい、深夜に仕事をしている時に見るともなしにテレビを見ながら(というか半分聞きながら)作業をしておりました。それで平日は映画だのバラエティだのニュースだのなんだかんだ深夜番組がやっているのですが、フト気がつくと日曜日はすぐにほとんどのTV番組が終わってしまうのですね。ハテ、困った。真剣に見ているわけではないけれど、何かつけてないと寂しい。かといって砂の嵐を聞きながら仕事するのもなんだしなあ、などと思っていると、砂の嵐にやや近いがそうともいえないエンジン音を響かせて、F1だけがやっていたのです。
 
という訳で、見る気もなしにつけておりました。すると何回目かから、エンジンの轟音の隙間から、テンションの高い声、いわゆる実況解説がなんとなーく判別出来るようになってきたのです。
画面に目をやると、オオっ、そうだった、なにやらレースを展開しているのだな、とやっとここで認識しはじめ、さらに何週間かたった頃、「赤と青が優勝争いをしているらしい」という事実が分かったのです。

青=イイモノ!?

赤と青…、時は97年、言わずと知れたフェラーリとウイリアムズ・ルノー、シューマッハとヴィルヌーブです。
何かの調査でも「スポーツなど勝負事では赤い服を着ていたほうが有利である」と言われているように、また、子供の頃から戦隊物の特撮とシャアは3倍早いという刷り込みを受けて育った典型的団塊ジュニアの私としては、当然「赤」を応援するのが自然な流れでした、

が。それからまたさらに何戦か見ていくうちに私はその自然の法則に徐々に逆らう事になるのでありました。
それはレース後のインタビューなどを見るうち、「ん?なんか青のほうが『イイモノ』風である」という、ルックスから受ける印象による大変にミーハーな動機がきっかけでした(シューマッハファンの皆さん、わー、お許しを、シューマッハもある意味好きです)。
それから終盤のもつれにもつれたチャンピオンシップを見ていくうちに、シーズンが終わった頃には「来シーズン早く始まらないのかなあ」などと思ういっぱしのにわかファンが出来上がっておりました。

そしてその後、私のF1ファン化を決定付けたのが、そうです、「(モンツァに沈む)むせび涙のチャンピオン」「(チームメイトにぶつけられる)ひとりぼっちのヒーロー」「(監督ではないかと疑うほどの)凄まじい存在感の奥さん持ち」と、無限にサブタイトルがつけられる、愛すべき彼、ミカ・ハッキネンの存在でした。って、全然現在の話までたどり着きませんね、続きは次回。ではまた。