三代目だってキープコンセプトを貫くはず!
エスティマに新型モデルが登場する。この噂はドイツワールドカップ最終予選が終わった頃から業界中でささやかれていた。だって、二代目登場から、かれこれ5年が過ぎようとしていたのだから。何しろモデルチェンジサイクルは約4年といわれているのが日本車である。初代モデルは10年という異例のロングライフであったエスティマであったが、最近の業界動向を見渡すと、そうはいっていられない状況。ライバルが皆無であった20年前と違い、強力な新型ライバルが次から次へと現れてきているのであるから。
だから、エスティマの新型車が出るであろう。それが業界関係者の間にあってはすでに常識であった。我々のようなメディアサイドの人間も、自動車評論家の先生方にあっても、各自動車メーカー広報であっても、カルロス・ゴーンであっても、そのように考えていたはずである。
なにしろ【エスティマ】というクルマは日本のミニバン業界を牽引しつづけているクルマなのであるから。
すべてはモーターショーのあのクルマに通じる!
そして、その噂が事実であるとみんなが確信したのは、昨年秋に行われた東京モーターショー・トヨタブースであった。鳴り物入りで登場したレクサスブースと軒を並べていたトヨタブース。向こうの中心がレクサスLF-Shであれば、トヨタの中心はあのクルマだったのである。
そうである。エスティマハイブリッド・コンセプトがそうなのである。
東京モーターショーがワールドプレミアとなったエスティマ・ハイブリッドコンセプト。このモデルは未来的なフォルムと、エスティマの"ワンモーションフォルム"をさらに進化させたデザインによって、存在感あるイデタチでの登場となった。インテリアには、電動で格納される3列目シート、ロングスライドで生まれる広大なフットスペースで超リラックスできるオットマン付きの2列目シート、そして走行中、何にエネルギーが使われているがわかるエネルギーメーターなどを装備。また、新世代ハイブリッドシステム『THSII』の搭載、ハイブリッドシステムや駆動系、VSCなど走行に関わる機能を総合的にコントロールして運動性能を向上させるVDIMの採用など、トヨタの最先端技術が惜し気もなく投入されていたのである。
そうである。トヨタはすでに次期エスティマの開発を最終段階まで進めており、最後の仕上げとしてコンセプトカーをモーターショーに展示したのであった!
新型の売りは何なんだ!?
世界第2位の自動車メーカーが満を持して投入する新型ミニバン。その細かい内容はいまだ秘密のベールに包まれている。しかし、五年ぶりに登場する新型モデルが旧来のライバルから劣っているということは考えにくい。
そのへんを考慮し、新型エスティマのスペックを予想していくと次のようなことが考えられてくる。
最高出力は280馬力(最大のライバルと思われるエルグランドを凌駕するパワーは必要!)。ミニバンとしてはクラス最高出力のパワーが設定されるであろう新型エスティマに搭載されるエンジンはクラウンなどに設定されている3.5リッターV6のディチューン版ではないのでなかろうか?クラウンでは300馬力オーバーとなっているが、ミニバンという性格を考え、最高出力を抑え最大トルクの拡大を狙うはずである。また、同時に高出力低燃費な2.4リッター(もしかしたら2.5リッター)エンジンも用意するはずである。イメージリーダーは3.5リッター車になるであろうが、量販グレードは2.4リッター車になるはず。これは各社のミニバン戦略を見回してみれば容易に予想できることである。
パッケージングはもちろん、3列シートの8人乗りであろう。もしかしたら、モダンリビングに対抗するため、各列キャプテンシートでゆとりの6人乗りというグレードも設定してくるのかもしれない。ただ、確実に予想できるのは3列シートであるということだ。4列10人というハイエースもびっくりなパッケージングを展開し話題を独占するのでは?という見方もあるが、後部衝突安全などを考慮するとその線は消えると思う。
また、低床フロアというのも確実に実現してくると思われる。トヨタと青山に本社がある自動車メーカーの熾烈な争いというのは、業界人でなくとも知っている事実。そのようなことから彼のメーカーが大好きな低床フロアを実現してこないわけがない。もちろん、単なる意地の張り合いからやってくるといっているのではない。ミニバンのように母屋が巨体なクルマの場合、重心をいかに下げるかで走行性能が大きく変わってくるのである。ラクティスのようなハイトコンパクトでも走りを前面に打ち出してきているトヨタだ。新型エスティマでも走りのよさを売りにしてくるのは当然のことであろう。
ハイパワーモーターと低床低重心プラットフォームの組み合わせとくれば、トランスミッションはパドルシフトつき7速CVTあたりが考えられる。大排気量CVTというと日産の独壇場であるが、そこに割ってはいるということだ。もちろん、ライバルには設定されていないパドルシフトで更なる上を行くのである。
気になるハイブリッドの設定は?
そして、最後に忘れてはいけないのがハイブリッド車の登場である。これは今までトヨタがとってきた販売戦略を考えれば、ガソリンエンジン搭載の新型車が登場してから半年ないしは一年後の登場になると考えられる。すでに世界最高のハイブリッド技術を有しているトヨタだ。新型エスティマの登場にあわせてエスティマ・ハイブリッドを登場させることも可能であろう。
しかし、絶対にそれはない。
クルマは所詮機械である。新しい機械には必ず初期不良や、使ってみてはじめてわかる小さなマイナートラブルが付きまとう。それを半年の間で洗い出し、修正し、新型エスティマはじめてのマイナーチェンジ(もしくは小変更)にあわせてエスティマ・ハイブリッドを登場させるのである。これによりガソリンエンジン車の更なる販売拡大も考えられるし、より質の高いエスティマ・ハイブリッドを市場に供給できるようになるのだから。
と、長々と書いてきたが、これらはすべて予想である。予想は外れることも多々ある。だから、上記の原稿がすべて新型エスティマで実現されるとは思わないようにしてほしい。正確な情報はわかり次第、CORISM内で紹介していくので、こまめにチェックしていくことをお勧めする。