VS徹底解剖

走ることのおもしろさと所有することの喜びを両立したモデル!

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 その歴史は初代ロードスターのVスペシャルにまでさかのぼる。ネオグリーンのボディカラーに、タンカラーの内装、本革シート、ナルディ製ウッドリム、同じくナルディ製ウッドシフトノブを装備したモデル。純粋ライトウェイトスポーツにトラディショナルなラグジュアリー装備を追加したモデルが90年の8月に登場した。
 これがすべてのスタート地点であった。
 そして、これがロードスターが持つもう1つの面を作り上げたのであった。
 
 グレード名VS。サドルタンの内装色をもち、タン/クロスのガラス製リヤウインドウ付Z型ソフトトップを装備したモデル。もちろん、本革巻きステアリングや、本革巻きパーキングブレーキレバーも備えている。Vスペシャルで確立した法則に則り誕生したラグジュアリーモデルだ。もちろん、カタログモデル。限定生産でもなければ、特別仕様でもない。設定されているボディカラーは1色ではない。ブリリアントブラック、トゥルーレッド、サンライトシルバーメタリックなど8色から選ぶことが出来る。
 もちろん、モデルも新しくもなれば時代も進む。3代目ロードスターには時代に見合ったアイテムが装着されているのである。たとえばステアリングはオーディオコントロールスイッチ付き、たとえばシートヒーター付本革製バケットシート、たとえばフルオートエアコン・・・。6速MTとステアリングシフトスイッチ付き6速ATをラインナップしているVSは、快適にそしてラグジュアリーに人馬一体を愉しむのにもってこいなのである。

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VSのインテリアカラーはサルドタンである。ストイックに走りを愉しむと言うよりも、快適に走りを愉しむ。そんな性格にはピッタリなカラーコーディネートである。しかし、一枚、内装をはがせば、前後重量配分50:50とヨー慣性モーメントの低減というライトウェイトスポーツに一番必要なことは、きっちりつぼを押さえて行われている。先代モデルに対して135mm後方に移動したエンジン、より低い位置に配置した燃料タンク、より車両重心近くへ移設したバッテリーなどにより、前後重量配分50:50(2名乗車時)を実現するとともに、先代モデル比で重心高を18mm、ヨー慣性モーメントを2%低減しているのである。なお、これに関してはRSも、ROADSTERに関しても同じである。

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シートヒーター付本革製バケットシートを用意しているVS。オープンスポーツであっても快適にドライビングが出来る。そこが重要なポイントである。新型ロードスターには様々なドライビングシーンであっても快適さを演出できるエアコンを全車に標準装備している。なかでも特徴的なのが、センターパネル側のウェストルーバーからも送風するベント/ウェストモードとフット/ウェストモードだ。オープンで走る夏の暑い日には、冷たい風が大腿部に直接届くベント/ウェストモードで日射による暑さを緩和。そして、冬には、足元に加えて大腿部と腰回りにも暖かな空気を送るフット/ウェストモードが寒さから下半身を守ってくれるのである。

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VSには6速MTと6速ATが設定されている。6速MTのセッティングはRSと同じ。6速ATはワイドレンジ&クロスレシオ設定。全域でのリニアなレスポンスとスムーズな加速、さらに燃費と高速走行時の静粛性の向上をもたらしている。VSではさらに、ステアリングを握ったままシフトアップ/ダウンが出来るステアリングスイッチを備えている。

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タイヤ&ホイールサイズはRSとVSで違った設定となっている。これも走りのグレードであるRSと、快適性を重視したVSという性格の違いからである。VSに装着されているのはシンプルさと力強さを表現した5スポーク16インチアルミホイールと205/50R16タイヤとなる。

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いつでも気軽にオープンエアを楽しめる。それがロードスター最大の魅力。そもそもロードスターという車名がそんなボディ形状を表す言葉なので当然といえば当然である。が、3代目にしてオープンエアも大きく進化したのである。新型ロードスターは、簡単な操作で開閉できる新開発のZ型ソフトトップを採用。ソフトトップの上面が上になるよう収納され、カバーなどを使用せずにオープンスタイリングが楽しめるようになっているのだ。