いまだ大人気『ミニクーパー』を改めてCHECK&TRY!

いちばんの売れ筋グレードをチェック!

晩秋の東京・神宮外苑で佇むミニクーパー

 ミニは「ワン(ONE)」「クーパー(COOPER)」「クーパーS(COOPER S)」の3グレード。ハッチバックモデルに加え、ワンを除きコンバーチブル(オープン)モデルもあり、とってもワイドな陣営となっている。ミッションについては、ワンとクーパーは5速MTに加えCVTを選択出来る。いっぽうで、最速モデルクーパーSについては当初6速MTだけの男らしい(?)設定だったのだけど、近年、最新式の6速ATがセレクト出来るようになり、イージー派のニーズにも対応可能、と磐石の体制に。
 メーカー広報の方のお話では、生産台数に限りのあるコンバーチブルを除き、リーズナブルなワンも、高価でスポーティなクーパーSも、人気の分布はきれいに等分されているそうな。ただ、そんな中でも一番人気となっているのが「クーパー」、なのですね。

 排気量は同じ1600ccながら、ワンに比べ26馬力もパワフルなクーパー。そもそも、「ミニ」といえば「クーパー」でしょ、という人、多いことでしょう。そして、なによりミニを印象付けるツートンカラールーフ(ボディカラーと異なる白や黒のルーフ塗装)が選べるのもクーパーから、なんです。
 ま、せっかく買うならと、このクーパーを選ぶユーザーが多いというのは分かる気がしますよね。もちろん、昨今のAT車比率の高さを考えれば、MTよりCVTが人気なのは言うまでもなく。

 ということで、今回の試乗車は「クーパー」グレードのCVT(無段変速機)モデル。ミニ人気の秘密を探るには、おあつらえなグレード、でしょ?

スタイリングは伊達じゃない!

車体の四隅で地面をガッチリつかんでいる姿がなんとも凛々しい「ミニクーパー」。

 さてミニといえば、他のどのクルマにも似ていない独特のスタイリングを魅力にあげるヒトは多いはず。レトロなのに新しい、不思議なフロントマスク。水平基調のサイドウィンドウ。ブラックアウトされたABCピラー。オリジナルミニを彷彿とさせるルーフ周り。
 しかしこのミニのスタイリング、見た目ばかりじゃなく、ドライビングシートに座った時にもまた、独特の感覚を生み出すのに貢献しているって、知ってました?

 イマドキ珍しい直立気味のフロントウィンドウに加え、ピラーの根っこ自体も前進しているから、低い全高でもあまり閉所感とかは気にならないんです。ちなみにルーフ先端が頭上のはるか前にあるから、サンルーフ装着車やコンバーチブル車の開放感も相当なもの、だったりします。嗚呼、試乗車にサンルーフがなくって残念っ!

 いっぽうドライバーズシートの位置は、長〜いホイールベースのほぼ中央。まるで、スポーツカーのようなレイアウトです。クルマの動きがお尻の下にダイレクトに感じられる絶妙なポジションをとっているのがウレシイところ。で、低めに座らせるから、スピード感も満点。素敵っ!
 
 でも・・・小さいボディの中にオトナ4人を効率よく座らせようとしたら、本当はこういうパッケージングにはなりません。ドライバー中心のシート配置にしたため、後席はあくまでミニマム。コレがFFの実用車、と考えたら、とんでもなく不真面目なクルマと怒ってしまうところかも。でも、そこがミニのミニたるゆえんだったりします。いいんです、どーせ普段乗るのはせいぜい2名だし。

 効率第一!が合言葉のコンパクトカーでは、他に類を見ない異例の凝り様も、全てはミニらしさを追求するがゆえのこと、なんですね。このコダワリイズムはクルマ好きのみならず、幅広く数多くのファンをひきつける大きな要素となっているのは間違いないでしょう。

実感!「ミズスマシ」フィーリング

名古屋城、金のシャチホコとミニクーパー、ご対面の図

 さて、走り出して気付くのはCVTのレスポンス。低速でちょっとラフにアクセルを踏むと、ややギクシャクした動きをとってしまうことも。ま、ちょっと癖アリ。でも、逆に言えば、それだけ反応の良い元気な設定ということ。郊外路や高速道では、思いのままに走ることが出来て「気持ちイイ!」
 3000回転を超えるとサスガに元気過ぎるエンジン音が響いてくるけど、その域になると速度のほうも相当なところに。急な加速や坂道の登坂などでない限り、そこまで回す機会は少ないからあまり気になりません。
 あ、ちなみに、低速域のギクシャクも、3日も乗れば慣れちゃう類のモノでした、実際。
 他所のインプレッションなんかを読むと「MTのほうをオススメする」なんて無責任なことを書いている人もいるみたいだけど、ご心配なく。AT免許の方にも安心してオススメ出来ますヨ。

 今回は山岳路を試す機会はほとんど無かったけど、ミニの本領といえば、メーカー自ら「ゴーカート」と呼ぶ痛快なハンドリング! サーキット走行のような高い限界域ではない分、街乗りでちょいと交差点を曲がるだけでもその楽しさを味わうことは可能なのが、筆者のような素人ドライバーにはたまらなく嬉しかったり。その感じ、まさに「ミズスマシ」といったところ。
 コレ、先に書いた「ドライバー中心」のパッケージングが生み出すフィーリングなんですね。コマの中心でクルクル回っているような、そんな感じ。
その分、ちょっとばかり足回りは硬めで、同乗者はゆさゆさ揺すられてしまうかもしれないけど、ドイツ流の硬いボディのおかげで、さほど不快ではないところもさりげなくすごいポイント、だったりします。

東京・名古屋往復700キロ! 走って分かったミニの魅力

先輩ミニたちと「ドーモ、コンニチワ」

 ちなみに今回、名古屋往復に加え3日間で約900キロ近く走行し、平均燃費は満タン法で12.9km/リッター!
カタログ上の数値が11.6km/リッター(CVT・クーパー)だから、それを上回ってしまったということ。高速走行が全行程の9割近くということを差し引いても、コレはうれしい限り。
ミニのガソリンタンク容量50リッターを満タンにすれば、東京から名古屋はおろか、兵庫・姫路(およそ650km)あたりまで行けちゃう計算になります。少ないコストでこれだけ楽しめちゃうワケ。スゴイぞミニ!

見て良し、乗って良し、走って良し。ちょっと誉め過ぎかなあとも思うけど、確かに魅力満載なのは間違いなく。
 余談ですが、取材先で出会ったミニオーナーの方々は皆いい笑顔! ミニを通じて出合った仲間同士、深い絆で結ばれていたのが印象的でした。また、どのクルマも思い思いのドレスアップを楽しんでいたのもパーツが豊富なミニならではのこと。先輩ユーザーに会って、さらに「深み(?)」にハマってみるというのも、充実したカーライフの一歩かもしれませんよ!?

「楽しいクルマに乗りたいなあ」「楽しいカーライフを送りたいなあ」と思う全てのドライバーに、ミニは真っ先にオススメしたい1台だということを、改めて深く実感した次第です、はい。

【写真:渡部祥勝&CORISM編集部】

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達人プロフィール: 徳田 透
職業:町のクルマ好き
1歳の誕生日、母に抱えられ出かけて以来、一度も欠かさず東京モーターショーに通い、『自動車ガイドブック』を絵本代わりに育つ。クルマ以外にも鉄道・バスといった陸を走る乗り物ならみんな大好き。単なる「マニア」とも言う。