オトクな日常カーライフ編(9)代理店が教えてくれない自動車保険

自動車の保険を考える上で大切なのは、損害を完全にカバーする「保証」ではなく、契約の範囲内で手助けをしてくれる「補償」であると認識することだ。そして保険会社もビジネスで行っているから、支払う保険金の額は少なく抑えたいと考える。事故に遭って、保険金の額が多いことに驚いたという話はあまり聞かれず、不満を感じるのが普通になっている。 　 例えば追突事故の被害者になり、修理に要する費用が100万円と見積られたとしよう。この場合、自分のクルマの修理費用は相手車両の対物賠償保険から支払われる。しかし、全額を負担してもらえるとは限らない。被害車両の時価を上限とするので、年式の古いクルマであれば100万円の損害を被りながら補償される金額が50万円ということもあり得る。クルマに限らず対物賠償保険の支払いは客観的な時価で決まるので、被害者の考える価値を下まわることが多い。 　 ちなみにこの時、車両保険に加入していると有利になる。盗難なども含めて自分に過失のない被害事故も支払いの対象になり、加害者側の対物賠償保険を補填できるからだ。車両保険も時価が基本だから年式が古くなれば保険金も保険料も下がるが、市場価格よりは高めの設定。そのために保険金額の範囲内で対物賠償保険を補える。一般に車両保険の加入者数はクルマの年式が古くなるほど下がってくるが、被害事故のことを考えると古いクルマほどメリットのある補償ともいえるだろう。 　また、比較的新しい人身傷害補償にも目を向けたい。相手と自分の過失が50％ずつの事故では、自分に100万円の損害が生じても相手方の対人賠償保険から補償されるのは50％分の50万円だけ。自分の過失分は自分の被害が確定してから補償される。つまり支払いまでに時間がかかるということ。しかし、これが人身傷害補償に加入していれば、全額をすみやかに自分の保険から支払うことができる。相手のいない自損事故に基づく損害も同様だ。 　 同じような補償に搭乗者傷害があるが、これは日数払いにしても体の損害箇所に基づく部位別払いにしても、補償される金額が実に少ない。また、支払いまでに日数を要する。搭乗者傷害を人身傷害のような補償内容と勘違いしているユーザーも多いが、手術を必要とするような大きな損害が生じた時のことを考えると、人身傷害補償に加入しておいた方が安心だ。クルマに乗っている時だけでなく、歩行中の交通事故までカバーされることも大きなメリットになる。 　 最近は各種の特約も含めて補償の内容が多用化しており、自分のクルマの使い方に応じて選べるようになった。そして補償の内容をしっかりと覚えておくことも大切。ロードサービスなどが自動的に付帯される保険も多いが、それを忘れていると、イザという時に使うことができず損をしてしまう。