滑らかフィールのターボエンジン。
今回試乗したのは最上級グレードとなるエアロ。ヨーロッパGMの主力エンジンとして開発された2.8LのV型6気筒+ターボを搭載するモデルだ。24バルブのDOHC+ツインスクロールターボの発生する184kW/350N・mのパワー&トルクは十分なもので、1600kg前後となる9-3スポーツエステートのボディに対しても十分な余裕を持つ。
しかもそのターボフィールが心地よいものだ。いわゆる古典的などっかんターボではなく、極めて滑らかに自然吸気エンジンとも変わらない加速フィールを味わわせてくれるのだ。ある意味で豪快な加速感に欠けるともいえるのだが、滑らかな変速を実現する電子制御6速ATとの組み合わせによってスムーズで快適な走りが実現される。このATはシーケンシャルモード付きのセントロニックで、レバーを倒して前後に動かすことでマニュアル車感覚の走りも可能となる。
足回りはやや硬めのチューンが施されていたが、乗り味も全体にしっとりした感じで、17インチの45タイヤを履く割には乗り心地も悪くない。強いていえばトルクステアが出ることがあったのがやや気になる点だ。
●お勧めグレード
試乗したエアロでは日本での価格が500万円を超えることになりそうだが、2Lターボを搭載したベースグレードは400万円を切る水準に設定されるはず。400万円±20万円の価格帯にはボルボV50は言うまでもなく、Cクラスステーションワゴン、アウディA4アバントやジャガーXタイプエステートなど、有力なライバル車がひしめいている。サーブ9-3スポーツエステートは、その中で新しい選択肢に数えられそうだ。