ボクを大人にしてくれたチェロキー
で、ある。現在の愛車はセフィーロワゴン。大型FFセダンをベースに作られたゆる〜いワゴン車をアシクルマに、のんびり余生を過ごしているカンマニです。
まぁ、良いクルマなんですけれど、大好きなんですけれど、この前に乗っていた車の方が良かった。
そいつの名前はジープ・チェロキー。
元祖ライトSUVといってイイ名車。まだまだクロカン四駆などという言葉が闊歩していた時代(へたしたらそれより前だ)に登場したというのに、なんとボディはモノコック構造。そのころの四駆といえばランクルも、サファリも、パジェロも・・・(って国産だとそれくらいしかなかった時代だね)堅牢なラダーフレームを持つボディ・オン・フレーム構造だったというのに、モノコックボディ。軟派なクロカン四駆とさんざん言われた(でも、CR-VやRAV4、エクストレイルが生まれるきっかけとなった)初代エスクードでさえラダーフレームを持っていたのに、モノコックボディ。
そのかいもあって、なりのわりには軽量ボディ。あのころクライスラーはルノーと提携をしていて、重量で税金が決まっているフランスでのシェア獲得を考えて、なんてハナシもなきにしもあらずな1.5屯強。
世界中で「ジムニーこそ最強の4WDさ」といわれるほどに軽さは強さなオフロード業界。そんな世界にあってチェロキーの走行性能はウィリス・ジープの血統を色濃く受け継ぐラングラーより上だという噂も・・・。
と、そんなハナシにそそのかされてボクはチェロキーを買ったワケではない。
最大の理由は「女の子にもてるクルマ第1位」(カーセンサー調べ)に突き動かされたからである。
走行6万5000km。6年オチで込み100万。こうしてボクは街の中古車屋さんで真っ赤なチェロキーを購入したのである。
・・・が、チェロキーに乗ったからって女の子にもてるワケが無く、走行距離6万5000kmで買ったのに某自動車買取り店へ査定に持って行ったら「・・・このクルマの前のオーナーサン、ウチの会社にこのクルマを売却してくれたのですよね。車体番号から割り出したら過去のデーターが出てきまして・・・非常に申し上げにくいのですが、そのときの走行距離が9万キロ強だったのですよね」と言われ・・・。
でも、よく走った。ボクの手元に来たときのオドメーターは65000km。それから約2年で10万kmを走破。別に愛車のチェロキーで白タクや、運送業をやっていたワケではないが、通勤に使ったり仕事に使っていたらそんな距離になってしまったのだ。
いやはや、丈夫だった。チェロキー。やたらとATが滑るなぁと思い、調べてみたらATFが空だったり・・・2年で10万kmも走ったというのにオイル交換は3回しかしなかったのに・・・アッパーホースが外れてボンネットから湯気がムンムンたったり・・・そのせいでクーラントが空になったり・・・ナゼかエンジンを切るとエンジンから小川のせせらぎみたいな音が聞こえてきたり・・・。それでも10万kmも走っちゃうのだからアメ車って丈夫だなぁ。
が、悲劇は突然現れた。
頑丈なことを良いことにほとんどノーメンテで走っていた2月のある日。いつものように会社に向かおうと首都高川口線を走っていたらエンジンから異音が。
「どーせいつものこと。大丈夫でしょう」
なんて思い、アクセルを踏む右足に力を込めたのがいけなかった。
バッギ!
という音がエンジン方面から発生。それから間髪入れずに吹き上がる大量の煙。すぐに車を止めていれば良かった。でも、場所は路肩なんぞ存在しない首都高速道路上。故障車渋滞の先頭になりたくないという思いで、必死になって出口を目指したボク。待てど暮らせどエンジンルームから出てくる煙が収まることもなく。それどころか、よけいひどくなり視界ゼロに。サイドウィンドウをあけ、そこから顔を出して、最寄りの出口である千住新橋を目指したボク。
きっと、その行為がとどめを刺す原因となってしまったのだ。
どうにかたどり着いた荒川沿いの路地裏で、車を止めたボク。おそるおそるボンネットを開けてみれば・・・間欠泉のように吹き出すクーラント、オイル、そしてガソリン!あわててエンジンを切り、ラゲッジルームから消化器を取り出し(物持ち良いんでボク。っていうか、チェロキーの前はビートルに乗ってドラッグレースなんかをやろうと思っていたんで)、スタンバイ。
ハイ。ご臨終。知り合いの修理工場に持って行ったのだけれど再起不能。原因は不明なんだけれど、たぶんウォーターポンプが壊れたのと、ガスケットが抜けたのと、シリンダーが焼き付いたのと、ファンベルトに挟まれ砕け散ったウォーターポンプの破片がフューエルパイプをぶち切ってしまったのが原因でしょうと。これらが複合的に重なり合って、エンジンルームが間欠泉のようになってしまった、と。
享年16万5300km(メーターが巻き戻されていたので正しいかどうかわからないけれど)。アメ車という乗り物が丈夫であるということと、メンテナンスは大切なんだということと、JAFってタダじゃないんだということを教えてくれたチェロキー。
ありがとう。チェロキー。ボクは君のことを一生忘れないよ。また縁があったらあの四角いボディを自分のモノにしてみたいよ。
追伸。
チェロキーといっても現行型の丸っこいヤツじゃないからね。