天才卵の血を引く2代目はスタイリッシュなボディデザインが自慢だ!

トヨタエスティマ

 アルファードとエスティマを単純に比較したら、後から出てきて大きなボディサイズによる広い室内を持つアルファードのほうが有利になるのは当然のこと。でもあえてエスティマのほうをお勧めに挙げたい。

 まず外観デザインが優れている。押し出しばかりを強調したアルファードには下品なイメージを感じさせるところがあるのに対し、初代モデル以来の近未来感覚を備えたエスティマのデザインには知性を感じさせるイメージの良さがある。まあデザインに関しては好き嫌いもあるのであまり言いたくはないが、アルファードやエルグランドなどのデザインがダメという人はけっこう多いはず。もちろんアルファードの顔が大好きというユーザーもたくさんいるのは知っているが・・・。

 もうひとつ3列目のシートの居住空間では確かにアルファードに劣るが、3列目に人を乗せる機会がどれだけあるかを考えると、アルファードのボディの大きさがムダなものに思えてならない。この点でもエスティマがお勧めになる。ボディの大きさの違いで車両重量がざっと100kgほど軽くなり、燃費性能にも大きな違いが出る。FFの2.4L車同士で10・15モード燃費を比較すると、アルファードが9.7km/Lであるのに対してエスティマは11kmも走る。この差はけっこう大きいし、環境性能の面でもエスティマが優れている。

 最後に価格面でもエスティマが有利だ。エスティマのベースグレードは240万円ほどで買えるのに、アルファードは280万円近いところから始まる。まあ装備の違いもあるので単純ではないが、価格には完全にひとクラス分の違いがある。オプションでDVDナビを装着してもまだエスティマのほうが安いのだから、よりリーズナブルな上級ミニバンとなるのがエスティマだ。

 同じプラットホームを使って後出しをしたアルファードが優位に立つ部分も多いが、冷静に考えるとお勧めはエスティマだと思う。

冷静に総合的にクルマを判断すればエリシオンが優れている

日産 エルグランド

 大排気量エンジンを搭載する上級ミニバンでは、3Lや3.5LのV型6気筒エンジンを搭載したモデルがイメージリーダーだが、アルファードやエリシオンで実際に売れているのは4気筒2.4リットルエンジンを搭載したモデルだった。これまで3.5リットルしかなかったエルグランドにも、昨年暮れに2.5リットルエンジンが追加され、このクラスの競合が一段と激しくなっている。

 今回の比較であるエルグランド2.5とエリシオンの2.4を比べると、エルグランドの2.5リットルエンジンは直列4気筒ではなくV型6気筒である点が大きな違い。さらに排気量が100cc大きいこともあって、エンジンだけを単純に比較するとエルグランドが優位に立つのは当然といえる。

 6気筒であることによる滑らかな吹き上がりで優位になるほか、パワー&トルクの数字を見ても、エルグランドが137kW/232N・mであるのに対し、エリシオンは118kW/218N・mだから、動力性能の面でもエルグランドが優位に立つ。

クルマとは1つだけのスペックを見て判断することはできないのだ

やはり最後発のエリシオンには利点が多い

ホンダ エリシオン

 エルグランドはFR駆動で車両重量が200kgも重いので、現実的な加速性能などはほとんど差のないレベルになるし、燃費ではエリシオンが大幅に優位に立つから、トータルしてどちらが魅力的かの判断はそう簡単ではない。ほかのいろいろな要素も含めて総合的に判断する必要があるだろう。

 そんなときにひとつのポイントになるのがデザイン。威風堂々といった感じのエルグランドに対し、全高を抑えてスタイリッシュなデザインを採用したエリシオンとでは、好みの違いが明確にでるだろう。
もうひとつのポイントは価格で、エルグランドの2.5Vとエリシオンの2.4Gの価格が全く同じ283.5万円。微妙な装備の違いもあるのでこれまた単純には比較できないが、排気量やパワーから考えるとエルグランドがやや優位に立つ。使い勝手では床面の低いエリシオンが優位だ。

 総合するとエンジン中心に考えるとエルグランドが優位に立ち、燃費なども含めて総合的に考えるとエリシオンが優位となる。

達人プロフィール: 松下 宏
職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...