クーパーSはAT車でもカタログ上のスペックには変更がない。動力性能の差も0−100km/h加速で、6MTが7.2秒のところが7.7秒になる程度なので、ATになったからといって遅くなったような印象はない。むしろ170馬力という大きなパワーを、2ペダルでイージーに操ることができる楽しみのほうが大きい。
6ATは日本のアイシン製なので、信頼性も高くマニュアルモードでの変速も素早い。Dレンジで走っている時でも、パドルスイッチを操作すれば変速を行うことができ、そのまま走行を続ければDレンジの自動変速モードに切り替わるので、咄嗟にエンジンブレーキをかけたい時などには便利。日常走行中でも使う意味のあるパドルシフトだ。そしてマニュアルモードを維持して走りたい時には、シフトレバーを右側に倒して固定されるマニュアルモードを選択すればいい。
クーパーSにはスポーツサスペンションが組み込まれているので、乗り心地は多少ハードになっているが、不快な硬さはではない。全長やホイールベースが短いので回頭性が良く、アクセルのオンオフで簡単にクルマの向きをコントロールできる。そんな状況下でも6ATは適切なギヤが選びやすく、MTよりもはるかに簡単にドライビングを楽しむことができる。
●お勧めグレード
ミニのデザインや雰囲気だけを楽しみたいのならOneでも充分だが、今やドイツ車となったミニの走りも楽しみたいなら、思い切ってクーパーSを選んでもいいだろう。価格の差はエンジンや装備を見れば納得できる内容だし、ATなら日常的に犠牲するものはなくなった。それに購入時の価格差は売る時のリセールバリューの高さで、ある程度は取り戻すことができるだろう。