走りに関してはGT系が注目される。中でも350GTスポーツパッケージは、アクティブリヤステア(従来の電動スーパーHICAS)や19インチタイヤを装着するなど、フーガを代表するスポーティな走りを実現したモデルだ。搭載されるVQ35DE型エンジンのパワーは206kwに抑えられているが、排気量に見合った十分なトルクや、このクラスとしてはやや軽めの車両重量などもあって、極めて力強い加速性能を発揮する。特に中速域から高速域への加速の伸びが気持ち良いものになる。
優れたシャシーによってFR車ながら操縦安定性のレベルは非常に高い。ワインディングを飛ばしてもきれいにラインをトレースしていくし、タイトなコーナーでの回頭性の良さも十分なレベルにある。アクティブリヤステアによって高速レーンチェンジの安定感も高いレベルにある。
ただ走りの良さとは逆に、乗り心地や騒音レベルには不満も感じられた。19インチの45タイヤは路面の荒れたところではゴツゴツ感が強かったし、エンジン音や排気音の大きさはこのクラスの高級車のものではない印象。あえてスポーティな音を残したということなのだが、日本では静粛性も高級車らしい性能のひとつとされている。
そうした不満はあるものの、全体的にはスポーティな走りを主張する高級車というフーガの特徴は良く出ている。競合車に比べて価格的にもリーズナブルな水準にある。
発売直後ということを加味してイチ推しにするグレードは、350GTスポーツパッケージにしておこう。フーガのイメージをリードするGT系の最上級グレードであるからだ。ただ350GT系の性能が相当に過剰なものであるのも確か。実用的には250GTでも十分であり、買い得感という観点からも長期的にはこちらがお勧めグレードになりそうだ。