車の個人売買手続きの流れと必要書類・注意点
目次
POINT 1手続きは「いつ」「誰が」するの?
車の個人売買のやり方に特にルールがあるわけではありませんが、以下のような流れで進みます。
- 車の売買条件について合意。必要に応じて契約書の作成(売主/買主)
- 車両および名義変更必要書類の引き渡しおよび、代金の支払い(同時に行うのが通常です)
- 登録名義および自賠責保険の名義変更(買主がすることが多い)
- 任意保険の手続き(売主、買主がそれぞれで行う)
利用するプラットフォームによっては手順や担当が決まっていることもありますが、「自分たちで交渉して決める」というスタイルのところもあります。特に契約書の有無については決まっていないことも多いので、上記を参考に話し合ってみてください。
POINT 2個人売買に必要な手続き一覧
個人売買をするにあたって必須の手続きは登録名義の変更、自賠責保険の名義変更、車庫証明の取得などがあります。また通常は任意保険の加入手続きも行います。
名義変更などの手続きは、買主と売主のどちらが行っても構いません。しかし手続きしないまま放置されるとトラブルの原因になります。そのためフリマアプリなどで出会った人と取引する場合などは、細かな契約を交わしておくと安心でしょう。
車庫証明の取得方法は、以下で紹介しているので確認してみてください。
POINT 3個人売買時に用意する必要書類
車を個人売買する場合、中古車を手放す人(=売主)が書類と車をまとめて引き渡すのが一般的です。
一方、中古車を買う人(=買主)は、受け取った書類に加え自分でも書類を用意し、手続きを行います。
具体的に必要な書類は、以下の通りです。
【中古車を売る人(=売主)が用意する書類】
- 自動車検査証
- 自賠責保険証明書
- 自動車税納税証明書
- 委任状
- 譲渡証明書
- 印鑑証明書
- リサイクル券
- 住民票・戸籍謄本(※車検証に記載されている住所と現住所が異なる場合)
【中古車を買う人(=買主)が用意する書類】
- 車庫証明(※警察署にて取得)
- 印鑑証明書
上記には名義変更に必要な書類のほかに、リサイクル券といった車と一緒に保管する書類も含まれています。
個人売買をする際には、これら一式が揃っていることを確認しましょう。
POINT 4名義変更の方法
車の名義変更は、管轄の運輸支局で以下の流れで行います。
その際、先ほど紹介した必要書類に加え、移転登録料(500円程度)、ナンバープレート代(数千円以内)を持参しましょう。
- 必要書類・費用の準備をする(旧所有者・新所有者の委任状など)
- 管轄の運輸支局で書類を記入する。持参した書類、必要費用を添えて提出する
- 新しい車検証の交付を受ける
- 税申告窓口に自動車税・環境性能割(※)申告書と車検証を提出する。
環境性能割が課税される場合はその場で納税する - ナンバーを返却し、新しいナンバーの交付を受ける(※必要な場合)
(※)自動車にまつわるこれまでの「自動車取得税」は廃止されました。2019年10月以降は「環境性能割」が導入されました。
自賠責保険の名義変更手続きや、任意保険の諸手続きは、加入している保険会社によって書類や流れが異なります。
保険会社のサイトで詳しい手続きの流れや、最寄りの営業所の場所を確認しましょう。
POINT 5売買契約書(念書)の作り方
個人売買でのトラブルを避けるためにも、予め売買契約書を交わしておくと安心です。契約書を作る過程で細かな条件について話し合う機会にもなりますし、それぞれの責任を確認することにも繋がります。
契約書には、以下のような項目を含めるようにしましょう。
必ず含めたい項目
- 目的物(対象となる車)
- 売買代金
- 売買代金の支払時期およびその方法
- 引渡しの時期およびその方法
- 本体代金以外の費用負担(支払い済みの自動車税や車検代、車の陸送費など)
可能なら入れたい項目
- 危険負担
- 契約不適合責任
- 協議事項
契約書の作成というと難しいイメージを持たれがちですが、車の売買価格、支払いや引き渡し、車両代金以外の費用の負担について決めておくだけでも安心です。売買契約書のテンプレートなども多く公開されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
「法律や契約はちょっと不安」という場合は、個人売買をサポートしてくれるサービスを利用するのも一つの方法です。代金の支払いや車の引き渡し、名義変更などを代行して貰える場合もあります。
「車を売却する」とき限定となりますが、個人売買よりカンタンで早い、ガリバーオークションという選択肢もあります。
POINT 6車の個人売買はトラブルの元!よくある事例
親族や知人と取引するなら問題ありませんが、赤の他人との個人間での車を売買すると、トラブルに巻き込まれる可能性があります。以下のようなトラブルもあるようなので、気を付ける必要があります。
トラブル① 買った人が名義人の変更をしてくれない
個人で車を売買する場合、買主が名義変更するという段取りで合意し、必要書類を託すケースが多いです。しかし、買主が名義変更手続をしないまま車を乗り続けることもあり得ます。
名義変更をしないと納税通知書は名義人である売主に送られてきますし、その車で事故を起こした場合に売主も責任を問われる可能性があります。大きなトラブルとなりますので、買主側で名義変更処理がされているかは、きちんと確認し、変更処理がされていない場合は買主側に早急に処理を行うよう連絡しましょう。
トラブル② 買った車が事故車だった
個人売買の場合、車の状態を客観的に査定する人がいません。最近はインターネットで取引することも多いため、「実際の車両を見るのは代金支払い後」というケースもあるようです。
例えば「買った車が実は事故車だった」といったケースもあるようです。その他にも故障しているところがあった、買ってすぐに不具合が見つかったといった話もあります。「売主も不具合に気づかないまま出品してしまった」といったケースもあるでしょうが、他方で知っていながら隠して出品する人もいないとは限りません。
トラブル③ 売主・買主と連絡が取れなくなった
トラブルがあっても、相手と連絡が取れて真摯に話し合いができればいいのですが、連絡すら取れなくなってしまうケースもあるようです。
「代金を払ったのに車が届かない」「届いた車が動かなかった」「車を売ったのに納税通知書が届いた」という時に相手に連絡がとれなくては困ってしまいます。契約書があればトラブルが全て防げるわけではありませんが、泣き寝入りしないためにも少なくとも相手の住所、氏名、連絡先は公的な書類(免許証等)できちんと把握しておきましょう。
記事に対する監修者コメント
自動車を個人間で売買する機会は多くありませんし、通常はカーディーラーなどの専門家が仲介してくれますので、あまり不安はありません。しかしインターネットを通じて個人間限りで自動車を購入するという場合、大きなリスクがあります。このような取引にはトラブルもありうることを理解して取引を行いましょう。
中古車個人売買のポイント
この記事を執筆・監修した人
- 現在の役職・肩書
- 保有資格
弁護士
- 略歴
アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所後、2014年8月にプラム法律事務所を設立。一般民事・交通事件に係る法律相談、刑事事件に係る法律相談に対応している。道路交通法改正に関する著作なども行っている。