車から聞き慣れない異音がすると、とても心配になります。「このまま乗っていても大丈夫か?」「すぐに車屋さんに持って行った方がよいのか?」などと少しでも早く対処の方法を知りたいはずです。
この記事では「カラカラ」「キーキー」「ボボボ」といった、よくある異音の要因と対処法、どこを見ればよいのかなどを現役の整備士が解説します。
- 車の異音がした場合、確認したい部位
- 代表的な部位ごとの異音の種類
- 車(エンジン)からカラカラ音がする要因と対処法
- 車(ブレーキ)のキーキー音がする要因と対処法
- 車からボボボ音がする要因と対処法
- まとめ|車の異音は早い段階で対処しよう
車の異音がした場合、確認したい部位
車から異音がしているときに、ドライバー自身が確認できるところは限られていますが、順を追って異常がないか、できる範囲だけでも構わないのでチェックすることが大切です。車からの異音についてはまず、警告灯の点灯があるか、内外観に異常がないか、下回りにオイルといった漏れがないかをを確認するようにしましょう。
警告灯が点灯していないか確認する
異音の不具合で警告灯が関連していることは稀ですが、まずはメーター内に警告灯が点灯していないか確認します。
内外観に異常がないか確認する
内外観上で異常がないか見てみます。特に外観は、なにかしらのヒントが見つかる可能性があります。外的な要因で車が損傷していることもあるかもしれません。
車の下廻りになにか漏れていないか?
車の下を覗いて、オイルや冷却水が漏れていないか確認します。または、いつも停めている場所にオイル染み跡ができていないか確認します。油脂類が漏れて規定量から減ったことで、異音が発生している可能性があります。
代表的な部位ごとの異音の種類
車にはそれぞれに役割を持つ、様々な部品が使われています。代表的な部位ごとの異音の種類をまとめました。
車の部位 | 異音の種類の例 |
---|---|
エンジン | カラカラ、ガラガラ、ジャラジャラ、カンカン、カタカタ、ボボボ |
補器類 | シュルシュル、キュルキュル、ガー、ギャー、ウィーン、ウォーン |
ブレーキ | キー、ゴォー |
足回り | コトコト、コツコツ、コンコン、ゴトゴト、ギシギシ、ギューギュー、ゴーゴー、ゴロゴロ、ウォンウォン |
代表的なものだけでも、以上のように様々な異音が発生する可能性があります。
この中から、この記事では以下のものをピックアップして掘り下げます。
- エンジンからのカラカラ音
- ブレーキからのキーキー音
- マフラーからのボボボ音
車(エンジン)からカラカラ音がする要因と対処法
カラカラ音の発生要因はオイル交換といったメンテナンス不良が考えられます。異音発生時にどうしたらよいのかを解説します。
走行中のエンジン異音が考えられる
カラカラ音はエンジン内部からのメカニカルノイズであることが多いです。その場合、アクセルの開閉やエンジン回転数に応じて音の周期や大きさが変わります。
カラカラといったエンジン異音の要因としてエンジンオイルが少ないまたは長期未交換、エンジン内部の部品の劣化または損傷が考えられます。
カラカラ音の対処法
車種によりますが一般的には、おおむね走行距離5,000km前後を目処にエンジンオイル交換されているか確認します。大幅に交換目安の走行距離をオーバーしている場合は、エンジンオイルの交換を実施します。
また、それでも止まらない場合には問題のない範囲で粘度の高いエンジンオイルに交換することで音が消えることもあります。
もし、エンジンオイルが減っていた場合には、以下のような要因が考えられます。
- 長期未交換によるオイル消費
- 過走行によるエンジン部品の摩耗でオイル消費
- オイルメンテ不良によってエンジン部品の早期摩耗・劣化でオイル消費
- 前回エンジンオイル交換時に規定量注入していない
整備をしているなかでの実感として、カラカラ音の発生はオイル交換のメンテナンス不良に起因するものがほとんどです。稀に、部品本体の不良が原因のこともあります。
また、ある程度のカラカラ音は正常範囲である可能性もあるので、気になった場合は早めに整備工場で診てもらうようにしましょう。
車(ブレーキ)のキーキー音がする要因と対処法
車のキーキー音は、安全に関わるブレーキの異音のため不満・不安に感じられる方が非常に多いです。「キーキー音」の原因の多くは「ブレーキ残量の低下」「ブレーキ鳴き」「ブレーキの引きずり」の3つのパターンに主に絞られます。
ブレーキ残量の低下時の対処法
ブレーキパッドの残量が減ることによってキーキー音が発生します。
この場合は、ブレーキパッド交換時期のサインなので、新品に部品交換することでキーキー音は改善されます。
一部の車には、ブレーキパッド残量の低下をドライバーに知らせる「ウェアインジケーター」という機能があります。
機械式のウェアインジケーターはパッド残量の低下に伴い、取り付けられた金具がブレーキローターに接触します。金属のローターに金具が擦れるときの音でキーキー音が鳴ります。
微振動や錆が原因の時の対処法
ウェアインジケーター以外にもキーキー音が発生する原因はあります。
ブレーキパッドとブレーキローターの接触時に発生する微振動や、ローターやパッド表面に付着した錆などがキーキー音の原因になります。
対処法としては以下のような方法がありますが、DIYでするには危険が伴うので、整備工場に依頼することをおすすめします。
- 鳴き止めグリスをパッドに塗布
- パッドグリスをシムなどに塗布
- パッドの面取り、角を落とす
また、一時的にブレーキに小石などの異物が噛み込んで、キーキー音の原因になっていることもあります。
この場合は異物さえ取り除けば、異音は解消されます。
異物が原因でローターに線傷などがないか確認してみましょう。
ブレーキ鳴きに関しては、くわしく解説している記事があるので参考にしてみてください。
ブレーキの引きずりが原因の時の対処法
ブレーキが引きずることで、加減速に関わらず常にブレーキが掛かっている異常な状態になり、キーキー音の発生につながります。
ブレーキの引きずりで考えられる要因はおおむね以下の2つです。
- キャリパーのスライドピン固着、または渋り
- キャリパーピストンの固着、または渋り
一時凌ぎ的な対処をすることは困難なので、整備工場に修理を依頼することになります。
ブレーキ関連の不具合は危険な状態が考えられるので、早急に整備工場で車を診てもらいましょう。
車からボボボ音がする要因と対処法
車からボボボ音がする原因箇所は、大きく分けてマフラーとエンジンが考えられます。
マフラーの異音が考えられる場合
マフラーからボボボ音が出ているときは、マフラーが損傷したり、劣化や塩害による侵食で破れていることで発生する排気漏れが考えられます。
この場合、部品(マフラー)の交換が必要になります。
ただし、排気漏れが軽症だとマフラー補修用パテで補修できることもあります。
また、マフラーからの排気漏れは保安基準不適合となり車検に通らないので、排気漏れの修理は必須です。
マフラーは車の下回りに位置するので、パテで補修をする場合でもリフトアップが必要になります。
交換が必要な補修でいけるかの判断も含めて、対処は整備工場に依頼しましょう。
エンジン不調が考えられる場合
エンジン不調が原因で、エンジンからボボボ音がしている可能性もあります。
この状態のときには、以下のような症状が出ます。
- エンジンの振動が大きい、震えている(車内に伝わってくることもある)
- アイドリング時、エンジンの回転が不安定
- アクセルを踏んでもいつものように加速しない、もたつく
- エンジンが止まりそうになる
- 排気ガスが臭い
- 警告灯が点灯している
エンジン不調の場合、さまざまな原因が考えらます。
整備工場で診断してもらい、診断結果に応じて部品の交換・修理をする必要があります。
また、走行に支障がある場合は自走すると危険を伴うので、レッカーサービスを利用して整備工場に入庫することをおすすめします。
まとめ|車の異音は早い段階で対処しよう
車から発生する異音は、仮に場所の特定ができたとしても、自分自身で対処することが難しい場合がほとんどです。
また、エンジンからのカラカラ音やブレーキのキーキー音は正常範囲であることも考えられます。
一方で緊急性を伴う状態かもしれません。
その点の判別も含めて「とりあえず走行できてるから大丈夫だろう」と安易な判断をして放置せずに、異音の対処は早い段階で整備工場に依頼するのがベストです。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。