融雪剤は塩化カルシウムなどの塩化物を主成分としているものが多く、クルマが錆びる原因にもなります。錆が心配な場合は、無塩タイプの融雪剤を利用しましょう。ここではおすすめの融雪剤をご紹介するとともに、撒き方や撒くタイミング、塩化物系融雪剤への対処法を解説しています。
塩化物の融雪剤は錆びの原因に
降雪地域では安全確保に欠かせない融雪剤。しかし、種類によってはクルマの錆びの原因になってしまいます。
融雪剤の多くは、塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの塩化物が主成分です。一方クルマのボディは大部分が鉄でできており、塩分を含んだ水が付着すると錆びやすくなります。
なお塩化物系の融雪剤は植物への影響も強く、人でも肌荒れの原因になります。扱いには注意しましょう。
自治体が使う融雪剤は塩化物系が主流
大きな道路では、自治体などが散布車を使って融雪剤を撒くことも多いです。こうした場合にも、基本的には塩化カルシウムや塩化ナトリウムが使われます。なぜなら塩化物系の融雪剤は即効性や持続性があり、安価だからです。
融雪剤選びは成分チェックが重要
「愛車の錆びを防ぎたい」という場合は、塩化物系(塩化~)以外の融雪剤を選びましょう。融雪剤に使われる主な成分の特徴は以下の通りです。
成分 | 特徴 |
---|---|
塩化カルシウム | ・融雪剤として最も一般的に使われている ・即効性がある一方で、金属を腐食させやすい |
塩化ナトリウム | ・高速道路などの凍結防止に使われることが多い ・持続性があり再凍結しづらいが、金属を腐食させやすい |
塩化マグネシウム | ・塩化カルシウムや塩化ナトリウムより融雪の効果は低い ・塩害は比較的少なく、金属もやや腐食しにくい |
酢酸カルシウム | ・凝固点を下げて、水を凍結しにくくする ・金属を腐食させにくい一方、コストがかかる |
酢酸ナトリウム | ・金属を腐食させにくく、環境にもやさしい ・融氷や凍結防止の効果は塩化ナトリウムの半分ほど |
酢酸マグネシウム | ・土壌の改良などに使われる成分で、環境にやさしい ・金属を腐食させにくい一方、コストがかかる |
炭酸カルシウム | ・凝固点を下げて、水を凍結しにくくする ・融雪の効果は低いが、植物や農作物がある環境にも使える |
尿素 | ・金属を腐食させにくく、微生物によって分解される ・塩化物系ほどの効き目はない ・コンクリートに撒くとアンモニア臭が発生しやすい |
カーボンブラック | ・太陽光を吸収し、熱エネルギーで雪を解かす ・日光のある状態でなければ効果を得られない |
形状も融雪剤選びのポイント
融雪剤選びでもう一つ気にしたいのが、形状です。融雪剤には固形(粒状)タイプと液体タイプがあります。
- 固形…安価だが撒くときは重労働
- 液体…短時間で散布できるが高価
錆びない融雪剤おすすめランキング
今回は腐食性の低さやコスト、その他の使い勝手をもとにランキングを作成しました。トップ10は以下の通りです。
順位 | メーカー名/商品名 | Amazon価格 | 容量 | 主成分 | 形状 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | ソリトン・コム「路通」 | 6,930円 | 20kg | カルボン酸系 | 粒状 |
2位 | みやちゅう「凍結してもササっと安心(無塩)」 | 2,468円 | 10kg | 尿素 | 粒状 |
3位 | コンパル「融雪くん」 | 4,985円 | 10kg | 尿素 | 粒状 |
4位 | 讃岐化成「ロードクリーンUREA」 | 6,025円 | 20kg | 尿素 | 粒状 |
5位 | みやちゅう「凍結してもササっと安心(無塩、2L)」 | 1,800円 | 2L | 尿素 | 粒状 |
6位 | オバリ「滑らんベアプラス」 | 4,620円 | 10kg | カルボン酸系 | 粒状 |
7位 | 日和合精「無塩凍結防止剤」 | 5,420円 | 15kg | 酢酸ナトリウム | 粒状 |
8位 | トーヤク「無氷地帯」 | 1,556円 | 1kg | 炭酸塩 | 粒状 |
9位 | 昭和貿易「アイスキラー」 | 3,698円 | 8kg | 天然大理石加工品 | 粒状 |
10位 | 高森トーキ「凍結防止・融雪剤エコワンダーEX」 | 4,217円 | 10kg | 塩化カルシウム 塩化ナトリウム |
粒状 |
※Amazon価格は2023年11月2日時点
1位 ソリトン・コム「路通」
カルボン酸系の成分(ギ酸ナトリウム)を使っており、金属腐食の度合いが塩化ナトリウムの3%とごく僅かです(メーカー情報)。また尿素で発生しうるアンモニア臭の心配もありません。コストとしてはやや高いものの、効果には定評があります。
2位 みやちゅう「凍結してもササっと安心(無塩)」
尿素を主成分とした製品で、コストパフォーマンスの良さがウリです。「塩化カルシウムなど塩化物系の融雪剤から切り替えたいけど、できるだけコストを抑えたい」という人にお勧めします。
3位 コンパル「融雪くん」
2位の「凍結してもササっと安心」と同じく、尿素を主成分とた融雪剤です。コストはやや割高ですが、「2kg」「5kg」「5kg×4袋」など購入の選択肢が多く、利用状況に合わせて購入量を調節できます。
4位 讃岐化成「ロードクリーンUREA」
尿素を主成分とした融雪剤を大量に使いたい人におすすめです。1袋にたっぷり20kg分入っており、機械散布にも向いています。少しずつ使いたい場合は、他の製品を検討しましょう。
5位 みやちゅう「凍結してもササっと安心(無塩、ボトルタイプ)」
2位と同一製品ながら、ボトルに入った形状であることが特徴です。コストとしては高いものの、ボトルから粒子を簡単にばらまくことができます。短時間で済ませたい時用に持っておくと便利です。
6位 オバリ「滑らんベアプラス」
1位の「路通」と同じカルボン酸系の成分を使った融雪剤です。少しコストが高いですが、滑り止めの成分としてゼオライト(天然石)も含まれています。
7位 日和合精「無塩凍結防止剤」
酢酸ナトリウムを使った融雪剤で、アンモニア臭が発生することがありません。ただし酢酸特有の酸っぱい臭いが気になる人もいます。また粒子が透明に近いので、散布した位置を把握しにくいところが難点です。
8位 トーヤク「無氷地帯」
赤色の粒子が混ざっているので、散布した場所が分かりやすいです。また炭酸塩を使っているので、尿素のようにアンモニア臭が発生する心配もありません。ただしコストが非常に高いので、この順位としています。
9位 昭和貿易「アイスキラー」
天然大理石を加工して作られており、金属の腐食を抑えることができます。ただし融雪効果が充分にあるとは言えず、雪のない部分に撒くと地面にぬめりが出ることもあるので注意が必要です。
10位 高森トーキ「凍結防止・融雪剤エコワンダーEX」
塩化カルシウムと塩化ナトリウムを主成分とした融雪剤ですが、塩化イオンを吸着するヒトデ抽出成分を配合し、金属の腐食を抑える効果があります。融雪剤としての効果と腐食防止のバランスを取りたい人におすすめです。
融雪剤の撒き方とタイミング
融雪剤を使用するタイミングは、実は雪が積もる前の方が効果的です。既に雪が軽く積もっている場合は、可能な範囲で除雪作業をしてから撒きましょう。
また撒き方としては、一度に大量の融雪剤を撒くよりも少量を2回に分けたり、広いエリアに万遍なく撒いたりするのがおすすめです。
Q. 融雪剤と凍結防止剤に違いはある?
融雪剤は塩化カルシウムを主成分としているものが多く、凍結防止剤は塩化ナトリウムを主成分としているものが多いです。ただし、どちらも基本的な効果は同じで、ともに融雪・凍結防止に役立ちます。
塩化物系融雪剤への対処法
公道などで広く散布される塩化物系融雪剤への対処法は、以下の通りです。
付着した融雪剤を落とすなら洗車
塩化物系融雪剤を散布した後の道路を走行し、融雪剤が愛車に付着した場合は、洗車で落とします。手洗い洗車なら高圧洗浄機を使うと落ちやすいです。またガソリンスタンドなどの機械洗車を使っても良いでしょう。降雪地域では「下部洗浄」を選択できる場合も多いです。
付着を予防するならコーティング
事前に融雪剤の付着を予防したいのであれば、防錆コーティング(アンダーコート)をしましょう。費用相場は1万円~数万円と決して安くはありませんが、一度コーティングすれば気持ちとして安心できます。
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- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!