免許の限定解除を行うと、今まで乗れなかった車種も運転できるようになります。
しかし、実際に免許の限定解除をしようと思った場合、どれくらいの時間や経費がかかるか気になる方も多いでしょう。
今回は、限定解除の時間、方法、費用、解除するとメリットがある車種についてご紹介します。
限定解除とは?
免許における限定とは、運転できる自動車の種類を制限することです。限定解除とは、その制限を解除することをいいます。
よく知られているのはAT限定からの限定解除です。
この場合、運転できる自動車は「変速時にクラッチ操作を行わない車両=AT車」に限定されており、解除することでMT車にも乗れるようになります。
また大型自動車と普通自動車の中間に位置する自動車として、中型自動車・準中型自動車という区分けが新たに設けられ、旧制度の普通自動車の免許が中型限定(8t)へと変わったケースもあります。
以下限定条件のある免許の種類です。
- AT限定免許(自動車・バイクそれぞれ)
- 準中型自動車免許5t限定(2007年~2017年の法改正前に取得された普通自動車免許)
- 中型自動車免許8t限定(2007年法改正前に取得された普通自動車免許)
- 大型特殊自動車免許カタピラ車限定 または 農耕車限定
- 大型自動車免許自衛隊車両限定 ※法改正によって限定となった中型・準中型の免許でも、運転できる自動車の種類は法改正前と変更ありません。
また、通常の免許取得時と同様に、限定解除の際にも制限などがあります。全ての条件を満たすことで受験資格を得られます。
限定解除する免許の種類 | 年齢 | 聴覚 | 視力 | 必要な運転経歴 |
---|---|---|---|---|
普通 免許 |
18歳 | 10mの距離で90bの警告器の音が聴こえること(補聴器可) | 両眼0.7以上かつ、片目0.3以上 | なし |
準中型 免許 |
18歳 | 10mの距離で90bの警告器の音が聴こえること(補聴器可) | 両眼0.8以上かつ、片目0.3以上 深視力検査3回の誤差が平均2cm以下 |
なし |
中型 免許 |
20歳 | 10mの距離で90bの警告器の音が聴こえること(補聴器可) | 両眼0.8以上かつ、片目0.3以上 深視力検査3回の誤差が平均2cm以下 |
普通免許、準中型、大型特殊いずれかの免許を取得し、運転経歴が通算2年以上 |
大型 免許 |
21歳 | 10mの距離で90bの警告器の音が聴こえること(補聴器可) | 両眼0.8以上かつ、片目0.3以上 深視力検査3回の誤差が平均2cm以下 |
普通免許、準中型、中型、大型特殊のいずれかの免許を取得し、運転経歴が通算3年以上 |
限定解除をする方法とは
限定解除の方法は、通常の免許取得時と変わりません。教習所の通所や合宿による方法と、運転免許試験場で審査を通す方法です。
教習所では複数回に分けて講習が行われ、実際の自動車を用いた実技も含まれます。最終的には技能試験に合格することで、免許センターでの限定解除申請を行えます。
運転免許試験場の審査というのは、いわゆる一発試験です。施設内の教習コースを利用して行い、合格すれば即日で限定解除となります。
限定解除するまでにかかる時間はどれぐらい?
教習所での講習、または運転免許試験場の一発試験のどちらを選ぶかで、必要な時間は異なります。
教習所では3~5日必要
教習所での講習は、1日に受けられる範囲が決まっています。そのため、全ての講習を1日で受けることはできません。
その教習所で行われる講習を受講する人数などにもよりますが、一般的には3~5日はかかるといわれています。
運転免許試験場では1日必要
限定解除審査を合格するとその日のうちに限定解除となります。限定解除であればすでに何かしらの運転免許を取得しているので、学科試験はありません。
ただしこの審査は減点方式で行われ、非常に細かいところまでチェックされます。その車両のクセなど含めて全く分からない、乗ったこともない試験用の車両で実技を行うので、運転技術がある人でも難しく感じるでしょう。
運転技術に自信がない人は教習所での講習を受けて、限定解除をすることをおすすめします。
限定解除にかかる費用
事務手数料以外にも、その講習や審査に対しても費用が発生します。それぞれの場合でのおおよその料金目安を紹介します。
教習所で限定解除する際の費用
教習所では入所費用などは場所によって異なります。
所持している免許 | 解除限定後に取得する免許 | おおよその費用 |
---|---|---|
普通AT免許 | 普通免許 | 5万円前後 |
準中型(5t)限定AT免許 | 準中型免許 | 10万円前後 |
準中型(5t)限定免許 | 準中型免許 | 7万円前後 |
中型(8t)限定AT免許 | 中型免許 | 12万前後 |
中型(8t)限定免許 | 中型免許 | 10万前後 |
それぞれどの限定を解除するかによって費用は異なります。また通う教習所の状況によっても変動しますので、費用は参考までに留めて置いてください。補講などによって追加費用が発生することもあります。
技能試験合格証が発行され、免許センターにて解除の申請をする際に1,450円の手数料が必要です。
運転免許試験場で限定解除する際の費用
技能講習などがないのでその分の費用はゼロ。手数料の1,450円は同様に必要です。
これに審査の際に使用する試験車両使用料が加わります。普通自動車であれば800円程度、準中型以上であれば2,500円程度が試験車両使用料です。
限定解除するとメリットがある免許の種類
運転免許の限定を解除することで、運転できる車種が増えることによるメリットがある場合があります。次はその具体的な例をあげていきます。
AT限定免許
現在ではAT車が主流となっていますが、スポーツカーのようにMT車の販売を続ける車種もまだまだ存在します。
MT車が多い海外の運転や、仕事で使う社用車を運転できることはメリットと言えます。
中型8t限定免許
法改正前の普通免許であった中型8t限定免許を持っていれば、大きな車にも乗ることができ、就職や仕事に関わる可能性が広がります。
中型免許では「車両重量11t未満で、最大積載量が6.5t未満」「乗車人数30人未満」の車両に乗ることができます。つまり29人まで乗れるマイクロバスの運転が運転できますし、かなりの荷物を運搬できます。また将来的に自動車教習所で大型免許を取得するという場合は教習時間が短くなり、その分取得費用も安くなります。
ただし、中型8tになるということは、現行の免許制度に移行することも意味しています。免許取得・更新の際に、準中型以上で必要なる深視力検査に合格しなければ、中型免許を維持できません。
深視力検査は「三桿法」で行われます。これは「横に並んだ同じ太さの3本の棒の内、前後に動く真ん中の棒を止めて一直線上に並べる」というもの。これを3回行い、誤差は平均で2cmまでで合格です。
試験・更新期間中であれば何度でも受けられますが、もし期限までに合格できない場合、深視力が必要となる免許は失効(失効後6か月以内で合格すれば再取得可能)となり、現行の普通免許になってしまいます。
限定解除にかかる時間は解除する方法で異なる
限定解除は「教習所での講習を受ける」か「運転免許試験場での一発試験」の二択。
それまで乗ったことのない車を、練習せずに上手く運転するというのは難しいでしょう。教習所での講習を受けるのが、現実的でおすすめです。
また限定解除をすることで運転できる車種も増えます。車の楽しみ方や仕事の幅が広がるなどのメリットもあります。
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- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!