「蕎仙坊」店主が語る蕎麦の魅力。クルマで出かけたい、富士山の麓に佇む職人の店

「蕎仙坊」店主が語る蕎麦の魅力。クルマで出かけたい、富士山の麓に佇む職人の店

クルマでしか行けない、クルマ以外でなんとか行けたとしても、わざわざクルマで行きたい。このコーナーではそんな素敵な場所をご紹介します。

富士山のふもとに佇むお蕎麦屋さん

富士山の麓にひっそりと佇む、それでも客足が絶えないお蕎麦屋さんがあります。その名は「蕎仙坊(きょうざんぼう)」 

店主は元証券マン

店主の齋藤さんの前職は証券マン。齋藤さん自身は本業の株の取り扱いより、蕎麦屋にいることが好きだったといいます。
20歳過ぎから平日は証券マン、週末だけ叔父さんの営む蕎麦屋で手伝いという日々が続いていましたが、半年後にひょんなことから転機が訪れます。
それまでは夏場にクーラーのない厨房で、叔父さんを団扇で扇ぎ、汗を拭くといった雑用しかさせてもらえなかったのが急な叔父さんの不在時にあたり「ずっと見ていて覚えているからやってみるよ」と、急遽齋藤さんが蕎麦を打つことに。

一時的なお手伝いが本業に

叔父さんが店に戻ると、以前よりもお客さんが増えているという結果に。食べた叔父さんの感想は「自分が打った蕎麦より美味しい」とのこと。
齋藤さんはそれから週末になると足利の「一茶庵」に通い始め、証券マンから蕎麦屋への転職が決まり、蕎麦職人の道が始まります。

開店当時は店までの舗装された道もない状態での商売スタート。
地元の方には半年や1年で潰れるんじゃないかと噂されたといいます。
しかし開店後1カ月もすると「東京から移転した蕎麦屋がありませんか?」と地元の人に尋ねる人が増え、近くのコンビニから「うちは蕎仙坊の案内所じゃない!」とご迷惑をおかけすることも...

自慢の景色も堪能してほしい

「野鳥がのびのびと遊びまわる庭の景色も素敵で、ここの名物になりつつあります。
齋藤さんが毎朝の仕込みの後に餌箱にひまわりの種や果物などを置いてまわると、鳥が集まってくるようになったそうです。」と、齋藤さん。

年に何回かお客様にさえ出したくなくなってしまうくらいすごいお蕎麦が打てることがある(!)といいます。

「そういう蕎麦は『こね、のし、包丁』が三位一体となって初めて生まれます。
かつ、ストレスがなく、天候も良く、ベストな体調、ベストな粉の状態など、すべてのバイオリズムがそろった時に生まれるのではないかと思っています」とのこと。

太い田舎そばがお店独自の看板メニュー

「蕎麦の皮をむいたところにある薄皮が、蕎麦の甘みを一番感じられる部分で、細く打ったのでは意味がない。噛んで初めてうま味や甘みを感じることができる」甘皮の配合は試行錯誤しながら今の味に。

「おいしかった、また来ます」一番の褒め言葉

齋藤さんにとっておいしい蕎麦を提供するというのはどういうことかを聞いてみると、「お客様の喜ぶ顔はもちろんですが、自分自身の満足感、達成感。常に最高のものを追い求めています」と言葉が返ってきました。
「今後も変わらず、今と同じことをやっていきます。終わりはないです。終わりは命が尽きる時だと思います。最後まで向上心は捨てません。50年やっても毎日新しい発見があるから、日々研究です」

「おいしかった、また来ます」が一番の褒め言葉。
お腹の中にいる時からお母さんが食べていて、6歳の子がせがんで食べに来てくれることも。大晦日も営業するが15時以降は予約のみで、もう何十年も訪れる家族の顔ぶれは変わらない。
「また頑張らないといけないな、と思います」

  • 変わりそばメニュー一覧(予定)
    1月:富士のしらゆき
    2月:青海苔
    3月:桜切り
    4月:よもぎ切り
    5月:茶切
    6月:青柚子
    7月:けし切り
    8月:桜海老切り
    9月:ごま切り
    10月:卵切り
    11月・12月:黄柚子切り

店舗情報

店名:蕎仙坊(きょうざんぼう) 
住所:静岡県裾野市須山1737
電話:055-998-0170 
アクセス:東名高速「裾野インター」から須山方向へ。
トヨタを過ぎてT字路を右折し須山街道を富士山方向へ上がる。
裾野きのこ園前の案内板「蕎仙坊」を右折。
インターからクルマで約7分。 
営業時間:11:30~夕方まで(売り切れ次第閉店)
予約:平日のみ
定休日:月曜・火曜
*冬場は天候によって営業している日が異なるので、お越しの際はご確認ください。
また毎年1月中旬にお休みをいただくのでお問い合わせください。
店舗URL:https://www.kyozanbo.com/

Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!