そもそも過走行車とは
過走行車とは「通常より走行距離が長い車」です。具体的には、1年あたりの走行距離が長い車を指す場合と総走行距離が長い車を指す場合があります。
①1年あたり1万km以上走っている車
車の一般的な走行距離は、1年あたり8000km~1万km程度といわれています。この「1年あたり1万km」の目安を超える車について、過走行車と呼ぶことがあります。
②総走行距離が10万km以上の車
過走行車と呼ばれるもう一つの例が、総走行距離が10万kmを超える車です。
かつて、車の寿命は「新車登録から10年または10万km」といわれていました。また、エンジン回りの重要部品であるタイミングベルトの寿命は、総走行距離10万km程度です。
このように、10万kmは車の寿命や劣化に関わるポイントとなる距離で、査定額にも大きく影響します。
過走行車は買い取ってもらえるのか
過走行車は「故障や不具合が多そう」「そもそも低年式車が多い」といったイメージから、中古車市場において需要が多くありません。
しかしながら、需要がゼロという訳でもありません。総走行距離が10万km~20万kmを超えるような車でも、買い取ってくれるお店はあります。
買取はお店や状態次第
高年式で「1年あたり1万km」の目安を超える車は、よほどの過走行や故障・不具合といった問題がない限り、買い取ってもらえる可能性が高いです。
また、総走行距離が10万km~20万kmを超えるような車でも、きちんと走るならお店によっては買い取ってくれます。高い査定額は期待しにくいものの「数年だけ乗るから安価な車が欲しい」といったニーズはあります。さらに、日本車は丈夫なイメージがあるため、海外での需要も多いです。
廃車買取の可能性もある
過走行で、かつ車両の劣化が激しかったり、走行に不具合があったりすると、査定額がつかない可能性があります。しかし、そういった場合も「廃車買取」という選択があります。これは、車を素材やパーツ目的で買い取るサービスです。
廃車にすると、車のスクラップ費用など幾分かのお金がかかります。そういった支出が出るよりは、廃車買取で値をつけてもらう方が良いでしょう。
過走行車の買取相場
ここからは、総走行距離10万kmの車と15万kmの車について、ガリバーの買取実績をもとに買取相場をご紹介します。
総走行距離10万kmの場合
以下に、ガリバーの過去6か月間の買取実績(走行距離10万km以上11万km未満)における相場価格をまとめました。
車種名 | 最高額 | 最低額 |
---|---|---|
トヨタ「アルファード」 | 332.1万円 | 14.0万円 |
日産「セレナ」 | 120.8万円 | 5.0万円以下 |
日産「エクストレイル」 | 107.9万円 | 5.0万円以下 |
トヨタ「プリウス」 | 117.8万円 | 9.5万円 |
トヨタ「アクア」 | 68.0万円 | 5.0万円以下 |
ホンダ「N-BOX」 | 36.5万円 | 8.6万円 |
スズキ「ワゴンR」 | 21.9万円 | 5.0万円以下 |
※2024年12月13日時点の情報
買取相場は走行距離だけでなく、車種などによる差も大きいです。
たとえば、人気の高いアルファードは走行距離10万km以上でも300万円以上で売却できる場合があります。 一方、軽自動車はもとの車両価格が安いので、査定額も5万円~数十万円に留まることが多いです。
総走行距離15万kmの場合
以下に、ガリバーの過去6か月間の買取実績(走行距離15万km)における相場価格をまとめました。
車種名 | 最高額 | 最低額 |
---|---|---|
トヨタ「アルファード」 | 183.7万円 | 18.7万円 |
日産「セレナ」 | 102.2万円 | 5.0万円以下 |
日産「エクストレイル」 | 35.5万円 | 5.0万円以下 |
トヨタ「プリウス」 | 94.3万円 | 5.0万円以下 |
トヨタ「アクア」 | 29.9万円 | 7.1万円 |
ホンダ「N-BOX」 | 21.9万円 | 5.0万円以下 |
スズキ「ワゴンR」 | 15.2万円 | 5.0万円以下 |
※2024年12月13日時点の情報
中古車市場での需要が多いミニバンは、総走行距離15万kmでも100万円以上で売却できる場合があります。一方で、総走行距離15万kmになると、多くの車種で5万円以下の買取が発生します。
総走行距離20万kmの買取例
総走行距離20万kmの車については査定件数自体が少ないですが、ガリバーが過去6ヶ月に買い取った車では以下のような例があります(2024年12月13日時点)。
- ヴォクシー(Z、2008年式)…5.8万円
- ヴォクシー(ZS、2009年式)…6.2万円
総走行距離20万kmにもなると、買取価格は10万円以下になる可能性が高いです。ただし、希少価値のある車であれば、たとえ総走行距離が長くても高値で売却できる可能性があります。
売却先の種類と選び方のポイント
過走行車の場合、車の売却先としては上記のような選択肢があります。希少価値の高い車であれば専門の買取店をお勧めしますが、それ以外の場合はまず中古車買取店を頼るのがおすすめです。
以下で、お店の選び方について具体的なポイントをご紹介します。
①下取りでなく買取に出す
基本的に、中古車は下取りより買取の方が高値で引き取られる傾向があります。ディーラーは下取り額を他店と比較されることが少なく、顧客も新車値引きに注目しがちだからです。その点、中古車買取店は顧客が他店に流れないよう査定額を高めに付ける傾向があります。
また、ディーラーでも下取りした中古車の販売は行っていますが、中古車の販売基準は中古車専門店より厳しい傾向があります。そのため、ディーラーでは過走行車の下取り・買取を断るケースが少なくありません。
②海外への販路があるお店にする
中古車買取店のなかでも、海外への販路をもつお店は過走行車を積極的に買い取る傾向があります。過走行車は国内での需要が少なめですが、海外では総走行距離が数十万kmの車もよく走っているものです。
特に、日本車は造りが丈夫なイメージをもたれており、海外で人気があります。ガリバーでも、海外需要のある車両は積極的に輸出を行っています。
③廃車買取も扱うお店にする
万が一中古車として買い取ってもらえない場合も、廃車買取の選択肢があるお店なら、そのように案内をしてもらえます。できるだけ売却の手間を減らす上でも、廃車買取のあるお店を選ぶと良いでしょう。
ガリバーを含め、一部の中古車専門店では中古車買取と廃車買取の双方を扱っています。
Q. 一括査定は依頼した方がいい?
過走行車については、一括査定の利用をあまりお勧めしません。
もちろん、一括査定を申し込んだ結果、査定額に差が出る可能性はあります。しかし、過走行車は一般的な車に比べて査定額が安いので、その手間の割に査定額の差がない可能性も充分に考えられます。気になるようであれば、2~3社程度で比べてみると良いでしょう。
過走行車を少しでも高く売るポイント
車を売却する際は、お店選びだけでなく車両状態そのものを整えておくことが重要です。以下の3つを心がけましょう。
①車両整備をきちんとしておく
これは、売却直前というより普段からやっておくべきことです。過走行車は故障リスクが懸念されるため、きちんと整備して状態を整えておくと、査定額が上がりやすくなります。
査定直前にあちこち修理をしてはお金がかかりますが、エンジンオイルの交換やタイヤの空気圧の調整など、普段から必要なケアをしておきましょう。
②査定前に掃除や洗車をする
車両状態を少しでも良く見せるため、査定前に掃除機で車内を掃除したり、車を洗車したりしましょう。車内に関しては脱臭剤を使うのもおすすめです。
また、自分で補修できる程度の小さなキズであれば、市販の研磨剤などで手入れしておくと良いでしょう。
③純正品のオプションをつけておく
純正品のオプションは査定額アップにつながるので、使わず保管していたものがあった場合は査定前に取り付けましょう。査定の際には「純正の〇〇が付いています」などと積極的にアピールすることもおすすめです。
古い車や過走行車でもニーズはある
低年式車や過走行車は故障リスクが懸念され、需要が多い訳ではありません。しかし、こうした車こそ安く購入できるので、コスト重視の人や海外では需要があります。
売却は、他店と競合することが多い中古車買取店がおすすめです。まずは1~2店舗ほど無料査定に出してみると良いでしょう。
- Supervised by norico編集長 村田創
-
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!