中古車の「法定整備付」とは
※2025年5月7日時点のガリバー在庫検索画面より
中古車の「法定整備付」とは、納車前に法定整備(12ヶ月点検)を行う前提で、その費用を車両価格に含んでいる状態のことです。
納車前の法定整備の有無や費用条件は、店頭にある車両のプライスボードや在庫検索の車両情報を見ると分かります。
法定整備別/法定整備なしとの違い
納車前の法定整備の有無や費用条件を示す区分は、以下のように「法定整備付」「法定整備別」「法定整備なし」の3種類に分かれます。
区分 | 納車前の法定整備 | 追加費用 |
---|---|---|
法定整備付 | あり | なし ※車両価格に含まれる |
法定整備別 | あり | あり ※車両価格と別で整備費用が必要 |
法定整備なし | なし | なし |
「法定整備付」と「法定整備別」は、ともに法定整備を行って納車しますが「費用が車両価格に含まれているか否か」が異なります。
「法定整備なし」は納車前の法定整備がなく、追加費用もかかりません。
そもそも法定整備とは
法定整備とは、道路運送車両法で定められた車両の点検整備のことです。同法では、車のユーザーに日常的・定期的に車両の点検整備を行うことが義務付けられています。
「法で定められた整備」としては、日々行う「日常点検整備」と定期的に行う「定期点検整備」がありますが、一般に「法定整備」というと定期点検整備のみを指すことが多いです。
法定整備(定期点検整備)は2種類ある
自家用車の場合、法定整備(定期点検整備)には「12ヶ月点検」と「24ヶ月点検」の2種類があります。
種類 | 12ヶ月点検 | 24ヶ月点検 |
---|---|---|
点検項目数 | 29項目 | 60項目 ※12ヶ月点検の29項目を含む |
実施時期・間隔 | 1年に一度 ※車検のない年 |
2年に一度 ※一般に車検と同時に行う |
24ヶ月点検は、車検の際に車検代行業者などがまとめて行っていることが多いです。
一方、12ヶ月点検については実施していないユーザーも少なくありません。12ヶ月点検もユーザーの義務ですが、罰則等の規定がなく「未実施だと車を走行できない」といったこともないためです。
なお、中古車の納車前に行われる法定整備は、一般に12ヶ月点検の内容です。
法定整備を受けられる場所
法定整備は誰が実施しても良く、車のユーザー自身が行っても構いません。ただし、点検整備の項目は多岐にわたるため、車に関する知識や整備の技術がないと実施は難しいでしょう。
依頼する場合は、ディーラーや中古車販売店、整備工場、カー用品店、ガソリンスタンドなどで受けられます。
法定整備の費用目安
法定整備の費用目安は以下の通りです。点検項目数の違いから、12ヶ月点検と24ヶ月点検で相場に違いがあります。
- 12ヶ月点検:約8,000円~30,000円
- 24ヶ月点検:約20,000円~50,000円
なお、法定整備の費用やサービスの内容は業者によって大きな差があります。たとえば、ディーラーは他の業者と比べて費用が高めですが、部品交換では純正品を使ってもらえます。
「車検整備付」との違い
中古車の情報には「車検整備付」という文言が入っている場合があります。これは①車検切れの車両で納車前に車検を通す、且つ②車検の費用は支払総額に含まれている状態を指します。
法定整備も車検もユーザーの義務ですが、両者は全く異なるものです。
法定整備と車検整備の違い
法定整備と車検の違いは、以下の通りです。
法定整備 | 車検 | |
---|---|---|
目的 | 車の安全な走行維持 | 車が保安基準を満たすか否かの確認 |
整備 | 行う | 車検自体では行わない ※車検に通らない状況なら別途整備 |
実施期間 |
1年に一度 (12ヶ月/24ヶ月点検) |
2年に一度 ※初回は3年 |
チェック項目 | 29~60項目 | 8項目 ※内容も法定整備とは異なる |
法定整備は車の安全な走行維持を目的とし、多数の項目をチェック。必要に応じて部品交換などの整備も行います。
一方、車検は「車が保安基準を満たすか否か」に焦点を当てた点検であり、保安基準に関わらない部品などのチェックは行いません。
法定整備付の中古車を選ぶメリット/デメリット
ここでは、法定整備付の中古車を購入するメリット/デメリットをご紹介します。
メリット
- 法定整備のない車より購入後の故障リスクが低い
- プロに車両の細かい点をチェックしてもらえる
冒頭からご紹介しているように、法定整備の点検整備項目は多岐にわたります。納車前にプロの点検整備を受けることで、購入後の不具合・故障のリスクは低減できるでしょう。
デメリット
- 「法定整備なし」の車両より価格が高い
- 納車が遅れることもある
当然ながら、法定整備付の車両は法定整備なしの車両より価格が高いです。購入後に他の業者に法定整備を頼んだほうが安価で済む可能性もゼロではありません。
また、部品交換などが生じた場合には、部品の手配などで納車が遅れることも考えられます。
中古車は法定整備付を選ぶべき?
車に特別詳しくない場合は、法定整備をしてもらったほうが安心できるでしょう。ただし「総コストを抑えられるか否か」は判断が難しいところです。
法定整備付のほうが安心感はある
法定整備付であれば納車前に専門家による点検整備を受けられますし、費用が車両価格に含まれているので後の支払額が大幅に増える心配もありません。
基本的には、法定整備付の車両を選んだほうが安心でしょう。
「総コストを抑えられるか」はケースによる
総コストを抑えるうえで「どの選択肢が良いのか」は、ケースバイケースです。たとえば、法定整備なしの車両を選んで法定整備を行わなくても、必ずしも購入後すぐに車両が故障する訳ではありません。
ただし、法定整備別や法定整備なしで後から法定整備を実施する場合、「整備にいくらかかるか」は判断しにくいです。細々とした部品交換が行われ、かえって費用が割高になる可能性もあります。
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