車のA/Cボタンとは?冷房・暖房・除湿の使い分けと燃費への影響

車のA/Cボタンとは?冷房・暖房・除湿の使い分けと燃費への影響

A/Cボタンは車内を冷却したい夏場や冬場のガラスの曇りを防止する際に活躍します。ここでは冷暖房や除湿におけるA/Cボタンの使い方、燃費への影響について解説しています。

「A/C」の意味とは

車のACボタンの画像

A/Cは「Air Conditioning」の略で、いわゆるエアコンのON/OFFボタンです。ただし家庭用エアコンと車のエアコンでは機能が異なります。

家庭用エアコンは冷房・暖房・除湿の3つの機能を有していますが、車(電気自動車を除く)のA/Cボタンは実質的に冷却(冷房)と除湿の機能しかありません。

コンプレッサーのON/OFFボタン

車のA/Cボタンの具体的な役割は、エンジンルームにある「コンプレッサー」という機械を稼働させることです。

コンプレッサーは空気の冷却や除湿に必要な機械です。空調を付けていても、A/CボタンをONにしなければ冷風が出てこず、除湿もあまりできないので注意しましょう。

温風は常時勝手に作られている

では「車に暖房機能はないのか」と言われると、そういう訳ではありません。むしろエンジンを搭載している車は、走行中に発生するエンジン熱から常時温風を作っています。そのため車を少し走らせれば、A/CボタンがOFFの状態でも自動的に温風が車内に流れ込んできます。

※空調回りにある「OFF」ボタンを押していると、温風も出てこず無風状態になります。

A/Cボタンを使うべきタイミングとは

ここでは、目的に応じたA/CボタンのON/OFFのタイミングを解説します。

車内を冷やしたい時は「ON」

車内の空気を冷やしたい時は、コンプレッサーを稼働させて冷風を作る必要があります。そのためA/CボタンをONにしましょう。

車内を暖めたい時は「OFF」

コンプレッサーを使わなくても、温風はエンジン熱を利用して作られているので、A/CボタンをONにする必要はありません。

なお車内温度が空調の設定温度より低い場合は、A/CボタンをONにしていても車側で温風と冷風の量を調節し、温風を多く出します。しかしコンプレッサーの稼働により車の燃費が悪くなるので、車内を暖めることだけが目的ならば、A/CボタンはOFFにするのがおすすめです。

窓ガラスの曇りを取りたい時は「ON」

冬であっても「窓ガラスが曇っているので見やすくしたい」という場合は、A/CボタンをONにしましょう。

車内と車外の温度差が大きいと、車内に結露が発生します。コンプレッサーを稼働させて除湿すれば、結露を防止できます。

A/Cボタンの燃費への影響

冷却や除湿を行うコンプレッサーは、車のエンジンを動力源としています。そのためA/CボタンをONにするとエンジンに負荷がかかり、燃費も悪くなります。

夏場の稼働では10~20%燃費が低下

夏の冷房目的でA/CボタンをONにすると、燃費は概ね10%、消費が激しい場合は20%近くも悪くなってしまいます。特に、夏の炎天下に晒された車は車内温度が50度以上になることもあり、こうした環境ではエンジンに著しい負荷がかかります。

少しでもエンジンへの負荷を軽減するため、利用時は先に車内の熱気を外に出してからエアコンをかけましょう。

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冬でも付ければ燃費が低下

冬であってもA/CボタンをONにすればコンプレッサーが稼働し、燃費が低下してしまいます。ガラスの曇りを取り除きたい場合はA/CボタンをONにしなければいけませんが、ただ車内を暖めるだけであれば、A/CボタンをOFFにしておきましょう。

温度調整で知っておくべき他のボタン

車には、A/Cボタン以外にも温度調整に役立つボタンが多くあります。その中でも、意味や機能が分かりにくく、知っておくと良いボタンについて解説します。

内気循環/外気導入

内気循環と外気循環の表示

内気循環と外気導入は、それぞれ「車内の空気を循環させ、外気が入るのをある程度抑える」役割と、「外からの空気を取り込む」役割のボタンです。以下のように、目的に応じて使い分けると効果的に換気や温度調整ができます。

内気循環 ・周囲の排気ガスの臭いを取り込みたくない
・車内の冷たい風を循環させたい
外気導入 ・窓ガラスの曇りを取りたい
・外の空気を取り込んで換気したい
・車内にこもった熱を外に出したい

特に使い分けが重要なのは、夏に車内を冷やしたい時です。エンジンをかけた直後は車内の熱を取り除くために外気導入を、車内が冷えてきたら外から暑い空気が入らないよう内気循環を使いましょう。

AUTOボタン

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最近の車は、オートエアコンが主流です。「AUTO」ボタンは車内環境が快適になるよう自動調節してくれるボタンで、設定温度に合わせて冷風/温風のバランスや風量を調整します。さらに最近では、風向や内気循環/外気導入まで自動調整する車もあります。

ただしAUTOボタンを押していても、A/CボタンがONでなければ冷風は出てきません。夏場は「AUTO」「A/C」ともにONにすると良いでしょう。

対策グッズも活用して車内を快適に

夏や冬の車内環境を少しでも早く快適にするには、空調だけを頼りにせず、対策グッズを併用するのがおすすめです。以下の記事を参考に、夏や冬の対策に繋げてください。

Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!