空前絶後のSUVブームが続く昨今、ユーザーニーズの細分化に伴い、さまざまなタイプのSUVが登場している。そのなかで、じわじわと注目を集めているのが3列シートSUVだ。「大は小を兼ねる」という発想から、万が一の際に6人または7人乗車できるという利便性に支持が集まっている。
今回は、そんな3列シートSUVの中でも注目モデルである「マツダ CX-80 PHEV」と「三菱 アウトランダーPHEV」をピックアップ。なお、PHEV(プラグインハイブリッド車)とは、外部電源を使って車載バッテリーを充電し、その電力で通常はEV(電気自動車)として走行する仕組みだ。バッテリー残量がなくなると、搭載されたエンジンで発電してハイブリッド車として走行できる。近距離であればガソリンをほとんど使用しないため、経済的かつ環境性能にも優れたモデルである。
本記事では、この2台を徹底比較。失敗・後悔のないクルマ選びの一助となるよう、わかりやすくまとめた。
マツダCX-80PHEV(KL系)がお勧めの人
- 長距離をより快適に移動したい人
- 2列目、3列目シートの広さ重視
- FR(後輪駆動)ベース車だからこそ可能な走りにこだわりたい
- エンジンの存在感やフィーリングも欲しい人
三菱アウトランダーPHEV(GN系)がお勧めの人
- ハイブリッド燃費も重要
- 悪路走破性重視
- モータードライブ車らしい静粛性と優れたサウンドシステムが欲しい
- 7人乗りであることが重要(CX-80PHEVは全グレード6人乗り)
- マツダ CX-80(KL系)の特徴
- 三菱 アウトランダーPHEV(GN系)の特徴
- 燃費・満充電時の走行可能距離はGN系アウトランダーPHEVが優位
- 両車とも価格に見合う豪華装備。後席の快適性を考慮するとコスパはKL系CX-80が優勢
- 両車ともに納期は早いが値引きは相当厳しめ
- 両車ラグジュアリーと、独特な存在感を醸し出す
- 3列シート可倒時の使い勝手は、ボディサイズが大きいCX-80がリード
- 両車とも高度な運転支援機能を装備だが、DEA装備のCX-80が安全面はややリード
- 快適性と走りのバランスがいいCX-80。高い安定性とダイナミックな走りを両立したアウトランダーPHEV
- KL系CX-80のPHEVは人気がイマイチのようでリセールバリューは低め
- ロングドライブを得意とするCX-80、オールラウンダーのアウトランダーPHEV
- マツダCX-80PHEV(KL系)の新車価格
- 三菱アウトランダーPHEV(GN系) 7人乗りの新車価格
- マツダCX-80(KL系)のスペック
- 三菱アウトランダーPHEV(GN系)のスペック
マツダ CX-80(KL系)の特徴
※上図:CX-80(KL系)の全景
2024年10月に販売開始されたマツダCX-80(KL系)は、後輪駆動ベースの新世代「ラージ商品群」に属する第2弾モデルだ。
CX-80(KL系)のボディ骨格には、縦置きパワーユニットに対応する「SKYACTIVマルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」を採用。この高剛性プラットフォームのポテンシャルを最大限に活かし、日常シーンでの快適な乗り心地と、高速走行や高Gがかかるシーンでも高いスタビリティを両立するセッティングが施されている。
全車3列シート仕様となるCX-80(KL系)は、上級グレードで2列目にキャプテンシートを採用した6人乗り、エントリーグレードでは7人乗りを設定。PHEVモデルは上級グレードに位置づけられるため、すべて6人乗り仕様となっている。
PHEVモデルの燃費性能は、ハイブリッド燃費がWLTCモードで12.9km/L。EV走行可能距離は、満充電時で最大67kmを実現している。
三菱 アウトランダーPHEV(GN系)の特徴
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の全景
2代目にあたるアウトランダーPHEV(GN系)は、2021年12月に登場。新開発のプラットフォームを採用し、キャビン周りには三菱車初となるホットスタンプ式超高張力鋼板を使用することで、高剛性かつ軽量なボディ構造を実現している。また、エンジンルームやキャビン周辺には連続した環状構造を採用し、ボディの曲げ剛性・ねじり剛性ともに大幅に向上。これにより、上質な乗り心地をもたらしている。
駆動方式は全車4WD。加えて、三菱独自の車両運動統合制御システム「S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)」を搭載。走行シーンや路面状況に応じて選べる7つのドライブモードが用意されており、あらゆる状況下で最適な走行特性を引き出すことが可能だ。乗車定員はグレードにより異なり、5人乗りと7人乗りを設定。
そしてアウトランダーPHEVは2024年10月には大幅な改良が実施された。注目すべき改良点は、駆動用バッテリーの刷新だ。新開発のリチウムイオンバッテリーを搭載し、容量を従来比で約13%増となる22.7kWhに拡大。その結果、EV走行可能距離はWLTCモードで102〜106kmへと伸長した。
さらに、PHEVシステムの最高出力が約20%向上し、高速道路での合流や追い越し時でも余裕ある加速を実現。アクセル操作に対するモータートルク特性をマイルド化することで、車両挙動の安定性と快適性も向上している。
乗り心地面では、サスペンションのチューニングを見直すとともに、新開発のタイヤを装着。これにより、路面からの振動や突き上げを抑え、より上質でフラットな乗り味を確保。また、電動パワーステアリングのアシスト特性を最適化し、S-AWCとの連携によってコーナリング時の安定性も高められている。
インテリアでは、スマートフォン連携ナビゲーションのモニターを9インチから12.3インチへと大型化。運転席・助手席にはシートベンチレーション機能を装備し、体とシート間の熱こもりを抑制。また、フレームレス仕様のデジタルルームミラーも採用し、後方視界と快適性がさらに向上している。
装備面で注目すべきは、ヤマハと三菱自動車が共同開発した2種類の専用オーディオシステム「ダイナミックサウンド ヤマハ アルティメット」と「プレミアム」だ。とくに最上級グレードの「Pエグゼクティブパッケージ」には、上位のアルティメットを標準装備。さらに、上質なセミアニリンレザーシートを専用装備するなど、ラグジュアリーSUVとしての魅力を高めている。
燃費・満充電時の走行可能距離はGN系アウトランダーPHEVが優位
燃費比較
CX-80(KL系)の評価は3.0
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.0
*EV走行距離(充電電力使用時走行距離、WLTCモード)
*燃費(ハイブリッド燃費、WLTCモード)
CX-80(KL系)とアウトランダーPHEV(GN系)の燃費は以下の通り。
- CX-80 PHEV(KL系):9km/L(EV走行可能距離67km)
- アウトランダーPHEV(GN系):2~17.6m/L(満充電時のEV走行可能距離102~106km)
CX-80(KL系)とアウトランダーPHEV(GN系)は、駆動方式やハイブリッドシステム、4WD制御の構造において大きな違いがある。
※上図:CX-80(KL系)の給電口
まずCX-80 PHEV(KL系)は、2.5L直列4気筒ガソリンエンジンと8速ATの間にモーターを配置する「1モーター2クラッチ式」PHEVシステムを採用。必要に応じてエンジンとモーターの力を組み合わせ、ダイレクト感ある走行フィールを実現している。4WDシステムは一般的な電子制御式で、前後輪の駆動配分を最適化する仕組みだ。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の給電口
一方、アウトランダーPHEV(GN系)は、前輪・後輪それぞれに独立したモーターを搭載するツインモーター方式。ハイブリッド走行時でも、エンジンは基本的に発電専用で、走行はモーター主体という“シリーズハイブリッド”に近い構成となっている。駆動制御には三菱独自の「S-AWC」が組み合わされており、路面状況や走行モードに応じて駆動力やブレーキ制御を高次元で最適化する。
燃費性能を比較すると、CX-80 PHEVのハイブリッド燃費はWLTCモードで12.9km/L、EV走行可能距離は最大67km。一方、アウトランダーPHEVは2024年10月の改良によりリチウムイオンバッテリーを刷新し、容量は22.7kWhに拡大。これによりEV走行可能距離は最大102〜106km(WLTCモード)へと大きく向上し、ハイブリッド燃費も17.2〜17.6km/Lと高水準を実現している。
搭載エンジンの排気量はCX-80が2.5L、アウトランダーが2.4LとわずかにCX-80の方が大きいが、燃費性能・EV走行距離の両面において、アウトランダーPHEVが圧倒的に優位だ。この差は、駆動方式の構造的な違いに加え、PHEV技術を10年以上にわたり磨き続けてきた三菱の技術蓄積の結果と言えるだろう。
また、EV走行距離を左右するバッテリー容量を見ても、CX-80が17.8kWhに対し、アウトランダーは22.7kWhと大容量。この数値の違いが、そのままEV走行性能に反映されている。
ハイブリッドとしての燃費性能、EVとしての実用距離のどちらを見ても、アウトランダーPHEVの完成度は非常に高く、PHEV分野における“先駆者の強み”が際立っている。
両車とも価格に見合う豪華装備。後席の快適性を考慮するとコスパはKL系CX-80が優勢
価格比較
CX-80(KL系)の評価は4.5
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.0
CX-80(KL系) とアウトランダーPHEV(GN系) 3列シート車最上級グレードの価格は下記の通り。
- CX-80 PHEV(KL系)プレミアムスポーツ/モダン 712万2500円
- アウトランダーPHEV (GN系)Pエクスクルーシブパッケージ 671万6600円
両車の価格差は、約41万円。この価格差を生む装備などをチェックしてみる。
両車のボディサイズは、以下の通り。
- CX-80(KL系):全長4,990mm×全幅1,890mm×全高1,710mm(一部グレードは:1,705mm)、ホイールベース3,120mm
- アウトランダーPHEV(GN系):全長4,720mm×全幅1,860mm×全高1,750mm、ホイールベース2,705mm
室内スペースはCX-80が上回る
ボディサイズを比較すると、CX-80(KL系)は全長4,995mm、全幅1,890mmと、アウトランダーPHEV(GN系)に対してそれぞれ270mm、30mm上回っており、ひと回り大きなサイズ感となっている。一方で、全高はアウトランダーPHEVの方が最大で45mm高く、SUVらしい堂々としたプロポーションを備える。
注目すべきはホイールベースの差だ。CX-80(KL系)は3,120mmと、アウトランダーPHEV(2,705mm)に対して実に415mmも長い。ホイールベースの長さは2列目および3列目の居住性、ひいては室内空間の余裕に直結する要素であり、この差は実際の乗車時にも体感できるレベルだ。とくに3列目の快適性を重視するユーザーにとっては、CX-80の優位性が光るポイントと言えるだろう。
装着タイヤサイズにも興味深い違いがある。CX-80 PHEVの上級グレードである「プレミアムスポーツ」および「モダン」には、235/50R20サイズのタイヤを装着。対するアウトランダーPHEVの最上級グレード「Pエグゼクティブパッケージ」では、255/45R20サイズのタイヤを採用している。
ボディサイズで見るとCX-80の方が大型であるにもかかわらず、アウトランダーPHEVの方が幅広いタイヤを履いている点は注目に値する。よりワイドなトレッド幅は、操縦安定性やグリップ性能、スポーティなハンドリングに貢献するため、走りのキャラクターの違いを象徴する装備仕様のひとつとも言える。
レザーシートなどラグジュアリー系装備を満載したCX-80
装備面において、CX-80 PHEVの上級グレードである「プレミアムスポーツ」と「モダン」は、まさに“ラグジュアリーSUV”と呼ぶにふさわしい充実ぶりを誇る。
シート表皮には、上質なナッパレザーを採用(※「プレミアムスポーツ」にはナッパレザー×スエード調人工皮革「レガーヌ」のコンビ仕様)。運転席・助手席には、ヒーターとベンチレーション機能を備えた10ウェイパワーシートを標準装備。細やかな調整が可能なうえ、長時間のドライブでも快適性が損なわれにくい設計となっている。
さらに、電動チルト&テレスコピックステアリングに加えて、ドライビングポジションメモリー機能も備えることで、ドライバーの体格を問わず理想的なポジション設定が可能。加えて、運転者ごとの設定を自動で認識・反映する「ドライバーパーソナライズ機能」も全車に標準装備されており、自動設定復元やドライビングポジションガイドなど、利便性の高い先進機能が充実している。
2列目シートも同様に抜かりない。キャプテンシート仕様のセカンドシートには、ヒーターおよびベンチレーション機能、電動リクライニング機能を標準装備。後席乗員の快適性にも徹底的に配慮されている。
オーディオ面では、12スピーカーのBoseサウンドシステムを標準装備。上質な音響空間によって、移動時間を特別なひとときに変えてくれる。
安全装備についても抜かりはない。マツダ独自の先進安全技術群「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を全車に搭載。衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援、ブラインドスポットモニターなど、最新の予防安全・運転支援機能が網羅されており、安全性と安心感を高次元で両立している。
ユニークで高品質ヤマハサウンドシステムを誇るアウトランダーPHEV
アウトランダーPHEVの最上級グレード「Pエクゼクティブパッケージ」も、プレミアムSUVにふさわしい豪華装備を多数備えている。
シート表皮には、しっとりとした質感と高い通気性を誇るセミアニリンレザーを採用。運転席・助手席にはメモリー機能付きのパワーシートに加え、体のリフレッシュをサポートする機能も搭載されている。リアシートには、座面・背もたれ両方にヒーターを標準装備。後席の快適性もしっかりと確保されている。
インフォテインメント面では、12.3インチの大型ディスプレイを備えたスマートフォン連携ナビゲーションを全車に標準装備。さらに、ヤマハと共同開発した12スピーカー+デュアルアンプ構成の「ダイナミックサウンド ヤマハ アルティメット」も、Pエクゼクティブパッケージでは標準装備となる。音質のクリアさや臨場感は特筆に値し、車内をコンサートホールのような上質な空間に変えてくれる。
さらに、アウトドアや災害時にも役立つAC100V・最大1500Wのアクセサリーコンセントを標準装備。V2H(Vehicle to Home)に対応するDC電源も備え、車から家庭への給電も可能としている。
先進安全装備では、高速道路における同一車線内でのハンズオン運転支援機能「マイパイロット」を搭載。ナビリンク機能装着車では、速度標識を読み取り設定速度を自動調整したり、カーブや分岐に応じて車速をコントロールしたりするなど、ドライバーの負担を軽減する高度な支援機能が用意されている。
装備面では、両車とも非常に高い水準で拮抗しているが、セカンドシートの快適性という点ではCX-80 PHEVが一歩リード。CX-80のキャプテンシートには電動リクライニング機能に加えて、ベンチレーション機能も標準装備されており、後席乗員への快適性への配慮が一段と際立っている。
両車ともに納期は早いが値引きは相当厳しめ
購入時の値引き術
CX-80(KL系)の評価は3.0
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.0
購入時の価格交渉においては、両モデルでスタンスが大きく異なる点にも注目したい。
まずCX-80 PHEVは、2024年10月に登場したばかりということもあり、納期は比較的早いものの値引きは厳しめ。新車値引きは5〜15万円程度にとどまり、オプションからの値引きを含めても最大で10万円前後が相場と見られる。大幅値引きはあまり期待できない状況だ。
そのため、少しでも購入負担を減らすためには「下取り車の処分方法」がポイントとなる。マツダおよび三菱の販売店は、一般的に下取り車の再販力が高いとは言いづらい。より高値で売却したいのであれば、まずは複数の買取専門店に査定を依頼し、その査定額を基準にディーラーの下取り価格と比較するのがベスト。結果的に数十万円の差がつくこともあるので、手間を惜しまず動きたい。
一方、アウトランダーPHEVの新車値引きは現在拡大傾向にあり、しっかりと交渉すれば20〜30万円程度の値引きは十分に狙える。繁忙期や決算期などのタイミング次第では、それ以上の条件が引き出せる可能性もある。
より大きな値引きを狙うなら、CX-80とアウトランダーPHEV双方の見積もりを取得し、しっかりと競合させることが重要だ。競合車として扱うことで、営業側も価格交渉に柔軟に対応しやすくなり、より好条件での購入につながる可能性が高まる。
両車ラグジュアリーと、独特な存在感を醸し出す
デザイン比較
CX-80(KL系)の評価は4.0
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.0
フラッグシップSUVらしい優雅さを追求
※上図:CX-80(KL系)の後景
CX-80のエクステリアは、大型3列シートSUVとしての「豊かさ」や「優雅さ」の表現に重点が置かれている。
2列シートSUVに見られるような、スピード感や躍動感といった“カーライク”な印象はあえて抑制。その代わりに、広々とした室内空間から生まれる“空間の贅沢さ”を、エクステリア全体でしっかりと表現することが追求されている。
※上図:CX-80(KL系)のフロントフェイス
そのデザインアプローチは、いわば“建築的”とも言える洗練されたもの。シンプルながらも繊細な面構成やディテール処理によって、落ち着きと豊かさを醸成。3列シートSUVとしてのリッチな空間性を視覚的にも強調しつつ、マツダらしい上質感とエレガンスを両立している。
※上図:CX-80(KL系)のリヤエンド
その結果、CX-80はただ大きいだけのSUVではなく、堂々とした存在感と高級感を兼ね備えた、大人のための3列シートSUVとして完成されている。
「威風堂々」を具現化した逞しさと安心感を演出するデザイン
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の後景
アウトランダーPHEVのデザインは、商品コンセプトである「威風堂々」を体現するために磨き上げられている。その中心に据えられたのが、「BOLD STRIDE(ボールドストライド)」という新しいデザインテーマだ。
このテーマに基づき、パッケージングから全面的に見直しが図られたアウトランダーPHEVは、フロントからリアへと伸びる水平基調のラインによって、力強く安定感あるスタンスを形成。張りのある豊かな面構成と、シャープなキャラクターラインとのコントラストが、上質感とダイナミズムを高次元で両立している。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)のフロントフェイス
フロントマスクには、三菱の象徴とも言える「ダイナミックシールド」デザインを進化させて採用。力強い走りを予感させる表情と、乗員を守る安心感を両立する造形で、SUVらしい頼もしさを一層際立たせている。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)のリヤエンド
リアデザインも特徴的だ。ひとつの面から削り出したようなシャープな六角形のテールゲートは、かつての「パジェロ」が背負っていたスペアタイヤに象徴される、タフで機能的なリアスタイルからインスピレーションを得たもの。伝統を受け継ぎつつ、現代的に再解釈された造形によって、アウトランダーならではの力強さと洗練さを表現している。
3列シート可倒時の使い勝手は、ボディサイズが大きいCX-80がリード
室内空間と使い勝手
CX-80(KL系)の評価は4.5
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.0
CX-80とアウトランダーPHEV のボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下のとおり。
CX-80
- ボディサイズ:全長4,990mm×全幅1,890mm×全高1,710mm(一部グレードは:1,705mm)
- ホイールベース:3,120mm
- ラゲッジ容量 3列シート使用時:258L、3列シート可倒時:687L
アウトランダーPHEV
- ボディサイズ:全長4,720mm×全幅1,860mm×全高1,750mm
- ホイールベース:2,705mm
- ラゲッジ容量 3列シート使用時:258~284L 3列シート可倒時:469L(サブウーファー付きは464L)
※上図:CX-80(KL系)の運転席
※上図:CX-80(KL系)の2列目シート
ボディサイズを比較すると、全長の違いは一目瞭然。室内空間に大きな影響を与えるホイールベースも、CX-80が3,120mmに対し、アウトランダーPHEVは2,705mmと、実に415mmもの差がある。この数値の違いは、2列目・3列目の居住性に大きく影響する。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の運転席
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の2列目シート
具体的な室内寸法を見ても、CX-80は室内長2,650mm×室内幅1,550mm×室内高1,233mm。一方、アウトランダーPHEVは室内長2,450mm×室内幅1,520mm×室内高1,200mmとなっており、特に室内長はCX-80が200mmも上回る。これにより、足元のゆとりはもちろん、全体的なキャビンスペースの広がりもCX-80がリードしている。
※上図:CX-80(KL系)の3列目シート
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の3列目シート
3列目シートの広さについても、CX-80の方がやや余裕がある印象。どちらのモデルも“十分に快適”とまでは言いがたいが、長距離移動での3列目使用を想定するなら、CX-80のほうが現実的な選択肢となるだろう。
※上図:CX-80(KL系)の3列目シートアレンジ
※上図:CX-80(KL系)の荷室
この室内空間の差は、ラゲッジ容量にも反映されている。CX-80のラゲッジ容量は、3列シート使用時で258L、3列目格納時には687Lまで拡大可能。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)の3列目シートアレンジ
※上図:アウトランダーPHEVの荷室
一方、アウトランダーPHEVは3列シート使用時258~284L、3列目格納時は469Lとなっており、とくに3列目を格納した状態での積載量に大きな違いが見られる。
ただし、取り回し性能に関してはアウトランダーPHEVが有利。最小回転半径はCX-80が5.8mであるのに対し、アウトランダーPHEVは5.5m。ホイールベースの短さが影響しており、狭い道や駐車場での扱いやすさという点ではアウトランダーPHEVに軍配が上がる。
総じて、「とにかく広さと積載性を優先したい」ならCX-80が適任。一方で、「日常使いでの取り回しのしやすさ」と「居住性・積載性のバランス」を重視するならアウトランダーPHEVが有力な選択肢となる。ユーザーが何を優先するかによって、評価は大きく分かれるだろう。
両車とも高度な運転支援機能を装備だが、DEA装備のCX-80が安全面はややリード
安全装備&運転支援機能
CX-80(KL系)の評価は4.5
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.0
安全装備に関しては、CX-80とアウトランダーPHEVの両モデルともに、現代のフラッグシップSUVにふさわしい高度な運転支援機能を標準装備している。
※上図:CX-80(KL系)のインパネデザイン
CX-80には、マツダの安全思想である「危険を回避すること」に重点を置いた先進安全技術群「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」が搭載されている。衝突被害軽減ブレーキである「スマート・ブレーキ・サポート(SBS)」には、新たに対向車への衝突被害軽減機能が追加されたほか、「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」にはドライバー・モニタリングと連動した緊急停止支援制御も備わるなど、システム全体が進化している。
※上図:CX-80(KL系)のメーター
中でも注目すべきは、マツダ独自の「ドライバー異常時対応システム(DEA)」。運転中にドライバーが意識を失うなどの異常が発生した際、閉眼・手放し・姿勢の崩れなどを検知して体調の急変と判断。警告音と表示によって応答を促し、それでも反応がなければ、ハザードとホーンを用いて車外にも異常を知らせつつ、高速道路では路肩に寄せながら、一般道では車線内で安全に減速・停止する。
さらに、停車後にはドアを自動で解錠し、緊急通報センターへ自動接続するなど、ドライバーの救命につながる一連の対応まで自動で行う。CX-80ではこのDEAに音声ガイダンス機能も追加されており、作動時には減速を開始する旨が乗員に伝えられるなど、さらなる進化を遂げている。これは単なる運転支援を超え、2次被害防止にもつながる“真の予防安全機能”と評価できる。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)のインパネデザイン
一方、にも、三菱独自の運転支援パッケージ「e-Assist(イーアシスト)」が全車標準装備されており、9つの先進安全機能を網羅。また、高速道路での同一車線運転支援機能「マイパイロット」も全グレードに標準装備されており、ロングドライブでの安心感と疲労軽減に貢献する。加えて、Mグレードを除くすべてのグレードに、コネクテッドサービス「MITSUBISHI CONNECT(ミツビシコネクト)」も搭載されている。
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)のメーター
両車ともに、高水準の運転支援装備を標準化している点は共通しているが、ドライバー異常時対応という“もしものとき”への備えがあるかどうかが分かれ目。現時点では、CX-80のDEA(ドライバー異常時対応システム)による先進性が一歩リードしていると評価できる。
快適性と走りのバランスがいいCX-80。高い安定性とダイナミックな走りを両立したアウトランダーPHEV
走行性能の比較
CX-80(KL系)の評価は4.0
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は4.5
CX-80のエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおり
- 5L直4ガソリンエンジン:最高出力188ps 最大トルク250Nm
- モーター:最高出力175ps 最大トルク270Nm
- システム最高出力 327㎰
- 車両重量:2,210~2,240kg
アウトランダーPHEVのエンジン最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおり
- 4L直4ガソリンエンジン:最高出力133ps 最大トルク195Nm
- フロントモーター:最高出力115ps 最大トルク255Nm
- リアモーター:最高出力136ps 最大トルク195Nm
- システム最高出力 300㎰
- 車両重量2,070~ 2,180kg
CX-80PHEV:動力性能
※上図:CX-80(KL系)のエンジンルーム
CX-80 PHEVに搭載されるモーターは、最高出力170psという高出力を誇り、市街地から高速道路まで幅広いシーンでモーターのみの走行が可能。その結果、EV走行時の静粛性は非常に高く、同乗者との会話やオーディオの音に集中できる快適なドライビング環境が整っている。
モーターは、アクセル操作に対して瞬時に最大トルクを発生させられるため、発進や追い越しなどの加速時においてもレスポンスは極めて良好。シーンを問わず、スムーズかつ力強い加速が得られ、PHEVならではの“走る楽しさ”を存分に体感できる。
さらに、瞬発力が求められる場面でアクセルを深く踏み込むと、エンジンが始動してモーター出力にパワーが上乗せされる。ここからの加速フィールはまるで高性能ガソリン車のようで、エンジンの回転上昇とともに車速が一気に伸びていく感覚は爽快そのもの。これは、CX-80が採用する「1モーター2クラッチ式」PHEVシステムならではの特徴であり、モーターとエンジンの協調制御による、ダイレクトかつリニアな加速感を実現している。
アウトランダーPHEV:動力性能
※上図:アウトランダーPHEV(GN系)のエンジンルーム
アウトランダーPHEVは、2024年の大幅改良によってシステム最高出力がついに300psに到達。モーターとエンジンが織りなす動力性能は、従来モデルから大きく進化し、あらゆるシーンで力強く余裕のある走りを実現している。
従来モデルでは、中・高速域では比較的早い段階でエンジンが始動する場面があったが、改良後のモデルでは、より高い速度域でも長時間にわたってEV走行が可能に。これにより、モーター走行の比率が増え、街乗りから高速クルージングまで、さらにスムーズかつ静かな走行を楽しめるようになった。
静粛性も大幅に向上しており、クルージング中はエンジンが稼働していることを感じさせないほど車内は静か。ノイズや振動の遮断が徹底されており、まるでBEV(電気自動車)に乗っているかのような上質な静粛性が保たれている。
このエンジンの存在感を消したような制御は、アウトランダーPHEVの大きな魅力のひとつ。ドライバーにとっては、極めてリラックスできる移動空間となる。一方で、CX-80のように、加速時にエンジンのパワーがしっかりと介入してくる“走りの演出”を楽しめるタイプとは対照的なキャラクターといえる。
CX-80:乗り心地、ハンドリング性能
初期のCX-60は、動力性能の高さに対して乗り心地にやや粗さがあり、ユーザーからの評価が分かれていた。こうした声を受け、CX-80ではサスペンションセッティングを見直し、リアのスタビライザーをあえて廃止。乗り心地重視の方向に振ったセッティングへと改良されている。
加えて、CX-80はロングホイールベースを活かした足まわり構成も相まって、ゆったりとした乗り味が特徴。路面からの細かい突き上げを巧みに吸収し、大型クルーザーのような穏やかさと落ち着きのあるフラット感を両立している。
とはいえ、マツダらしい「人馬一体」の思想は健在。カーブではキビキビとしたハンドリングも味わえ、ボディサイズを感じさせない軽快なステアフィールが得られる。快適性と走りの楽しさがバランスよく共存しており、長距離移動だけでなくワインディングでもドライバーを退屈させない、完成度の高い仕上がりとなっている。
アウトランダーPHEV:乗り心地、ハンドリング性能
2024年の大幅改良により、アウトランダーPHEVの乗り味は一段と洗練された印象へと進化した。従来に比べてやや“フワッ”とした柔らかさを持ちつつも、路面からの入力をしっかりと吸収。長時間の移動でも疲れにくい、快適な乗り心地が実現されている。
PHEVならではの特徴として、フロア下に大型で重量のあるリチウムイオンバッテリーを搭載しているため、車両の重心が低くなっている。これにより、車体のロールやピッチングが抑えられ、カーブやレーンチェンジ時の安定感が高まっている点も見逃せない。
さらに、三菱が長年培ってきた電子制御4WD技術「S-AWC(Super All Wheel Control)」を搭載。これにより、路面状況や走行スタイルに応じて最適なトルク配分を実現し、常に高い操縦安定性を発揮する。
加えて、走行モードはターマック・グラベル・スノーなど全7種類を用意。状況に応じてドライバーが任意に選択でき、オフロード走行や雪道での安全性・走破性を高めてくれる。特に「ターマックモード」では後輪側へのトルク配分を高める設定となっており、滑りやすい路面ではドリフト走行も可能なほど、ダイナミックな走りを楽しめる。
CX-80が「上質な乗り心地とキビキビ感のバランス」を重視しているのに対し、アウトランダーPHEVは「快適な乗り心地と高い安定性、そして遊び心ある走り」を両立させているのが大きな特徴だ。
KL系CX-80のPHEVは人気がイマイチのようでリセールバリューは低め
リセールバリュー
CX-80(KL系)の評価は3.0
アウトランダーPHEV(GN系)の評価は3.5
*中古車相場は2025年11月調べ
マツダ CX-80PHEVプレミアムモダン(KL系)
- 中古車相場2024年式:約560~610万円
- 当時の新車価格比:約79~86%
三菱アウトランダーPHEV P(GN系)
- 中古車相場2024年式:約480~540万円
- 当時の新車価格比:約80~90%
PHEV車は国や自治体による補助金の対象となることが多いため、新車価格に対する実質的な購入価格が抑えられ、その分リセールバリュー(新車価格比率)がやや低めに出る傾向がある。とはいえ、人気ジャンルであるSUVに属していることから、現時点では一定のリセール水準を保っている。
ただし、CX-80に関してはやや注意が必要だ。先行して登場した兄弟車CX-60が、初期品質や不具合に関する問題で市場評価を下げた経緯があり、その影響をCX-80も受けている。そのため、CX-80のリセールバリューは現時点でアウトランダーPHEVよりもやや低めの傾向を見せている。
現状では、CX-80のリセールが今後大きく改善する要素はあまり見当たらない。裏を返せば、中古市場での値落ちが進んだタイミングでは、高いコストパフォーマンスを発揮するモデルになり得る。中古車としての“買い時”を見計らえば、非常にお得感のある一台になる可能性もある。
一方でアウトランダーPHEVも、PHEVというパワートレイン自体がまだ主流とは言えない現状では、中古市場での需要がやや不安定な面もある。今後、年式が進んで流通量が増えてくれば、リセールバリューが下がり、中古価格も手ごろになってくる可能性を秘めている。
いずれのモデルにも共通して言えるのは、リセールバリューはPHEVというジャンル全体の市場人気と直結しているということ。PHEV人気が高まれば資産価値を維持しやすくなるが、そうでなければ価格の下落も想定されるため、「リセールを重視して買うクルマ」ではなく、「所有中の満足感を重視するクルマ」として選ぶのがベターだろう。
ロングドライブを得意とするCX-80、オールラウンダーのアウトランダーPHEV
まとめ・総合評価
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マツダCX-80 PHEV |
三菱アウトランダーPHEV |
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総合得点(40点満点) |
30.5 |
32.0 |
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1.燃費 |
3.0 |
4.0 |
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2.価格 |
4.5 |
4.0 |
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3.購入時の値引きしやすさ |
3.0 |
4.0 |
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4.デザイン |
4.0 |
4.0 |
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5.室内空間と使い勝手 |
4.5 |
4.0 |
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6.安全装備 |
4.5 |
4.0 |
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7.走行性能 |
4.0 |
4.5 |
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8.リセールバリュー |
3.0 |
3.5 |
マツダCX-80PHEV(KL系)の新車価格
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PHEV Lパッケージ4WD |
6,391,000円 |
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PHEVプレミアムスポーツ4WD |
7,122,500円 |
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PHEVプレミアムモダン4WD |
7,122,500円 |
三菱アウトランダーPHEV(GN系) 7人乗りの新車価格
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G 4WD |
6,001,600円 |
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P 4WD |
6,436,100円 |
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P エグゼクティブパッケージ 4WD |
6,716,600円 |
マツダCX-80(KL系)のスペック
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代表グレード |
PHEV プレミアムスポーツ4WD |
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ボディサイズ |
全長4,990mm × 全幅1,890mm × 全高1,710mm |
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ホイールベース |
3,120mm |
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最低地上高 |
170mm |
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最小回転半径 |
5.8m |
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車両重量 |
2,210kg |
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エンジン型式 |
PY-VPH型 |
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エンジンタイプ |
直列4気筒DOHC |
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総排気量 |
2,488cc |
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エンジン最高出力 |
188ps(138kW)/6,000rpm |
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エンジン最大トルク |
250N・m(25.5kgm)/4,000rpm |
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モーター形式 |
MS型 |
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モーター最高出力 |
175ps(129kW)/5,500rpm |
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モーター最大トルク |
270N・m(27.5kgm)/400rpm |
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燃費(WLTCモード) |
12.9km/L |
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充電電力使用時走行距離 |
67km |
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電力用主電池 |
リチウムイオン電池 |
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駆動方式 |
四輪駆動(4WD) |
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サスペンション |
前:ダブルウィッシュボーン式/後:マルチリンク式 |
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タイヤサイズ |
235/50R20 |
三菱アウトランダーPHEV(GN系)のスペック
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代表グレード |
Pエグゼクティブパッケージ7人乗り |
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ボディサイズ |
全長4,720mm × 全幅1,860mm × 全高1,750mm |
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ホイールベース |
2,705mm |
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最低地上高 |
200mm |
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最小回転半径 |
5.5m |
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車両重量 |
2,150kg |
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エンジン型式 |
4B12 |
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エンジンタイプ |
直列4気筒DOHC |
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総排気量 |
2,359cc |
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エンジン最高出力 |
133ps(98kW)/5,000rpm |
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エンジン最大トルク |
195N・m(19.8kgm)/4,300rpm |
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フロントモーター形式 |
S91 |
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フロントモーター最高出力 |
85kW |
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フロントモーター最大トルク |
255N・m |
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リアモーター形式 |
YA1 |
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リアモーター最高出力 |
100kW |
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リアモーター最大トルク |
195N・m |
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燃費(WLTCモード) |
17.2km/L |
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充電電力使用時走行距離 |
102km |
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電力用主電池 |
リチウムイオン電池 |
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駆動方式 |
四輪駆動(4WD) |
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サスペンション |
前:ストラット式/後:マルチリンク式 |
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タイヤサイズ |
255/45R20 |
