クラクションが鳴りっぱなしだと大音量なので、周囲に迷惑をかけてしまいます。
「早くこの現状をどうにかしたい!」という方に向けて、原因と応急処置の方法について現役整備士が解説します。
- 車のクラクションの故障原因
- 【補足】セキュリティが作動している可能性もある
- 鳴りっぱなしのクラクションの応急処置
- 【補足】クラクションの故障は車検に通らない
- クラクションの修理費用の目安
- 整備士のまとめ
車のクラクションの故障原因
車のクラクションが鳴りっぱなしになる原因はセキュリティが作動している以外では、故障として以下のようなことが考えられます。
- ホーンリレーの接点固着
- ホーンパッド内の接点固着
- ホーンまたは配線のショート
※クラクションは業界用語で「ホーン」と呼ばれることが多いです
ホーンリレーはホーンに電気を流して音を出す部品
ホーンリレーはクラクション(ホーン)の電気回路をオンオフするスイッチの役割を担っています。
リレーの中のオンオフスイッチに不具合してオンのまま固着してしまうと、ホーンを鳴らすための電気が常時流れてしまうので、クラクションが鳴りっぱなしになります。
ホーンパッドはハンドルセンターにある部品
ホーンパッドはクラクションを鳴らすときに押すハンドルの真ん中部分のことです。(車種によって違いあり)
中には接点があり、ホーンパッドを押したときに接点がオンすることで、ホーンリレーのスイッチがその信号を受けてオンします。
ホーンパッドが押されたまま戻ってこないようなことがあれば、クラクションが鳴りっぱなしになります。
ホーンまたは配線のショート
ホーンまたは配線のショートとは、本来成立していない電気回路が不具合等によって成立してしまうことです。
ショートすると、操作をしていないのにクラクションが勝手に鳴ってしまうことがあります。
配線が他の配線と接触していたり、端子部分に水が掛かることによって錆が発生したりすることでショートが起きます。
【補足】セキュリティが作動している可能性もある
停車している車から断続的にクラクションが「プー、プー、プー、プー…」と鳴り続いてる場合、車のセキュリティが作動している可能性があります。同時にハザードランプが点滅している場合もあります。
この場合は故障ではなく正常な作動であり、車に乗り込んでエンジンを掛けるとセキュリティが解除され、クラクションも鳴り止みます。
鳴りっぱなしのクラクションの応急処置
クラクションが鳴りっぱなしになると、うるさく迷惑になるので、早くどうにか対処したいところです。
応急処置の方法を解説します。
ヒューズまたはリレーを抜く
もっとも効果的なのはヒューズまたはリレーを抜くことです。
ヒューズやリレーはホーンに電気を供給する電源回路についている部品です。
それを抜くことで、ホーンへの電源が遮断されるのでクラクションが鳴り止みます。
この方法でクラクションが鳴りっぱなしになる不具合の9割以上は応急処置できます。
ヒューズやリレーは、ほかの部品のヒューズやリレーと一緒にまとまっており、エンジンルーム内や室内にあります。
車載の取扱説明書または、ヒューズボックスの蓋などに場所が明記されているので参考にしてください。
基本的にリレーよりもヒューズの脱着のほうが容易です。
「HORN」「ホーン」やラッパのマークの記載されている場所が目印です。
ヒューズボックス内にヒューズを抜く工具が装着されている場合もあるので確認してみましょう。
バッテリーを外す
ヒューズやリレーを抜いてもクラクションが止まらない、または作業が難しいときにはバッテリーを外すのが確実です。
バッテリーを外す場合、マイナス端子側のケーブルを外すのが安全です。
ただし、ケーブルの脱着には工具が必要になることもあります。
外すのに必要な工具が手元にない場合には、やはりヒューズを抜くことにチャレンジするしかないでしょう。
どちらも難しい場合には、整備工場に連絡するかJAFなどのロードサービスに連絡することをおすすめします。
【補足】クラクションの故障は車検に通らない
クラクションが正常に作動することは、車検のときに必須の点検項目となっています。
鳴りっぱなしでも、鳴らなくても車検には通らないので、クラクションが故障している場合には修理が必須となります。
クラクションの修理費用の目安
クラクションが鳴りっぱなしになったときに必要な修理費用の目安は以下のとおりです。
いずれも部品代と工賃込みの値段です。
- ホーンリレーの交換…1,500円〜
- ホーンパッドの交換…15,000円〜
- ホーン本体の交換…10,000円〜
- 配線の修理・診断…5,000円〜
ホーンパッドは車種によって材質が異なったり、エアバックの一部を兼ねておりその部分を含むかどうかによって部品代に大きな差があります。
ホーン本体の交換には、フロントバンパーの脱着を伴うことも多く、部品代よりも工賃の方が高くなりがちです。
配線の修理には、原因特定までの診断に時間を要することもあるので、修理費用そのものに大きな差が出ます。
整備士のまとめ
クラクションの故障は車検に通らないので修理が必須となります。
修理費用が高額になることも少ないので、不具合が発生したときは早めに修理しましょう。
また、応急処置でヒューズを抜く作業をする場合、基本的にヒューズの脱着はユーザー自身でもできるように設計されているので、落ち着いて取扱説明書なども参考にしながら確認してみてください。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。