エブリィとエブリィワゴンの違いは?使い勝手や燃費を徹底比較!

趣味用のクルマとして購入されることも多いエブリィとエブリィワゴン。ここで車両価格や維持費、装備などの違いを知り、「どちらを購入するか」の参考にしてください。

エブリィとエブリィワゴンの違い

エブリィとエブリィワゴンの全景

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンの全景

エブリィとエブリィワゴンは、サイズや見た目に大きな違いがなく、「同じような車」と思われがちです。しかし実際には、車両価格や燃費性能など細かな違いが数多くあります。

両者の最大の違いは、「商用か乗用か」という点です。エブリィは商用バンで、貨物の輸送を前提に造られています。貨物輸送用なので快適性は重視されておらず、装備も簡易的です。一方エブリィワゴンはエブリィを乗用に仕上げた軽乗用車です。高い積載性を確保しながら、適度な乗り心地や使い勝手も確保されています。

価格とスペックの比較

ここでは、エブリィとエブリィワゴンの車両価格やスペックを比較しましょう。

  エブリィ エブリィワゴン
種類 商用車
(4ナンバー)
乗用車
(5ナンバー)
新車時価格 99万円~ 157万円~
中古車相場 5~151.2万円 5~193.9万円
乗車定員 4名 4名
トランスミッション 5MT/5AGS/4AT 4AT
全長 3,395㎜ 3,395㎜
全幅 1,475㎜ 1,475㎜
全高 1,895㎜ 1,815-1,910㎜
燃費(WLTC) 14.6~17.2㎞/L 15.1㎞/L

※AGS:MTをベースに、シフトチェンジとクラッチ操作を自動で行うトランスミッション。AT限定免許で運転可能

エブリィの方が車両価格が安く、燃費性能も優れています。またエブリィでは、トランスミッションも3種類から選択可能です。AGS(オートギアシフト)では、簡単な操作でMT車のようなキビキビした運転を楽しめます。

エブリィワゴンはグレードによって標準ルーフとハイルーフを選べます。標準ルーフでは頭上が狭くなりがちなので、ハイルーフをお勧めします。

内外装と装備の比較

ここからは、画像とともに両者の違いを細かく解説します。

細々とした点が異なる外観

エブリィとエブリィワゴンのフロントフェイス

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンのフロントフェイス

フロントフェイスにおける主な違いは以下の通りです。

  • メッキフードガーニッシュの有無
  • フォグランプの有無
  • フロントバンパーのデザイン

エブリィは最上位グレード「JOIN」を除いて、メッキのフードガーニッシュがありません。またエブリィワゴンではほとんどのグレードで搭載されているフォグランプも、エブリィでは付いていません。
なおエブリィワゴンの場合、上位グレードではヘッドランプの種類も変わります。

エブリィとエブリィワゴンのリヤエンド

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンのリヤエンド

外観における目立った違いと言えば、テールランプの形状です。エブリィワゴンのテールランプは横長です。

シートの違いが大きい内装

エブリィとエブリィワゴンのインパネデザイン

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンのインパネデザイン

エブリィは商用車のため、装備がかなり簡易的です。内装での違いは、以下のように多くの面で見られます。

  • ハンドルのデザインと機能性
  • エアコンの種類(マニュアル・オート)
  • カギ(挿して回すタイプとスマートキー)
  • 前列シートの種類(セパレートとベンチ)
  • 後列シートの種類と機能性
  • 荷室スペース側面の収納機能の有無

ハンドル一つでも、装飾やナビ連携機能ボタンの有無といった違いがあります。またエアコンは、エブリィがマニュアルでエブリィワゴンがオートです。
一番の違いはシートの形状でしょう。エブリィワゴンはベンチシートで、運転席と助手席の行き来が楽です。

エブリィとエブリィワゴンの運転席

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンの運転席

エブリィの場合、シートの質感はグレードによってかなりの差があります。最上位グレード「JOIN」はエブリィワゴンとほぼ変わらない質感ですが、下のグレードではヘッドレストを調整することもできません。乗り心地もかなり硬いです。
またカギの種類も、エブリィでは挿して回すタイプのものが使われています。

エブリィとエブリィワゴンの後席

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンの後席

エブリィでは、最上位グレードの「JOIN」を除いて後部座席がかなり硬いシートになっています。エブリィにおける後部座席はあくまで「補助的存在」で、リクライニングもしません。ただしJOINのシート形状は、エブリィワゴンとほぼ変わりません。

積載量はどちらも優秀

エブリィとエブリィワゴンの荷室

※左図:エブリィ、右図:エブリィワゴンの荷室

商用車のエブリィと乗用車のエブリィワゴンの荷室について同じ基準で比較するのは難しいですが、どちらも積載性は充分に優秀です。

エブリィの場合、積載量は最大350㎏であり、これは軽自動車でも最高値です。一方エブリィワゴンも、4人乗りで荷室スペースの容量が最大1,123Lと優秀です。この数値は、ランドクルーザーの後部座席を倒した場合の荷室容量とほぼ変わりません。

装備は乗用のエブリィワゴンに軍配

装備面では、以下のような違いがあります。

  • エブリィワゴンは「スズキセーフティサポート」全車装備
  • エブリィワゴンは電動スライドドア装備可
  • エブリィワゴンは全席パワーウィンドウ装備など

エブリィは、グレードによって後部座席が手動の窓になっており、電動スライドドアは全グレードで選択できません。乗用車であるエブリィワゴンの方が安全装備が充実しており、後部座席の利用を前提とした装備が備わっています。

車中泊はどちらも楽々

車中泊については、基本的にはどちらを選んでも困ることがないでしょう。スズキからエブリィ/エブリィワゴン共通の純正アクセサリーが数多く販売されています。

維持費の比較

商用車のエブリィと乗用車のエブリィワゴンでは、維持費のかかり方にも違いがあります。

燃費はエブリィの方が優秀

  エブリィ エブリィワゴン
燃費(WLTC) 14.6~17.2㎞/L 15.1㎞/L

サイズがほとんど変わらないエブリィとエブリィワゴンですが、燃費には少々差があります。装備を簡易化しているエブリィの方が車重が軽く、燃費が良いです。

特に、エブリィのMT車の燃費が優れています。

エブリィは軽自動車税も安い

エブリィは「4ナンバー=小型貨物車」に分類され、軽自動車税が通常の軽乗用車とは異なります。軽4ナンバー車と乗用軽自動車における軽自動車税は、以下の通りです。

  • 軽4ナンバー車(自家用)…5,000円
  • 乗用軽自動車…10,800円

軽自動車税は毎年納める必要があり、エブリィなら5,000円で済みます。 なお車検時に納める自動車重量税は同額です。

自賠責保険はエブリィワゴンの方が安い

燃費や軽自動車税ではエブリィに軍配が上がりますが、自賠責保険だけはエブリィの方が高いです。これは、貨物輸送を前提とした4ナンバー車は長距離走行が多く、その分だけ事故のリスクも高いと考えられるためです。自賠責保険料(25ヶ月分)はそれぞれ以下の通りです。

  • 軽4ナンバー車(自家用)…20,950円
  • 軽5ナンバー車…18,040円

違いとしては、2年間で2,000円程度です。軽自動車税の年間5,000円の差額を踏まえれば、やはり維持費はエブリィの方が抑えやすいでしょう。

エブリィの初回車検は登録の2年後
新車の乗用車を購入した場合、初回の車検は登録から3年後です。一方、4ナンバー車の初回車検は登録から2年後です。エブリィを購入した場合は、車検のタイミングに注意しましょう。なお4ナンバーでも軽自動車であれば、その後の車検は2年に一度で乗用車と変わりません。軽以外の4ナンバー車では、2回目以降の車検が年に一度となるので注意が必要です。

どちらがおすすめ?グレードは?

エブリィとエブリィワゴンはそれぞれに魅力があり、使い方によって「どちらの方が良いか」が変わります。

エブリィがおすすめの人

エブリィの全景

  • コスト重視
  • 普段は1~2人で乗ることが多い
  • 趣味用として割り切って乗る
  • カスタムを楽しみたい
  • 運転を楽しみたい

エブリィの場合は、人が乗るための快適性よりコストや積載性を重視する人におすすめです。また「趣味用」として楽しむなら、エブリィで車両価格を抑えて、その分をアクセサリーやカスタムの費用に充てても良いでしょう。MT車がある点もエブリィの魅力です。

おすすめグレードは?
普段から3人以上乗るなら、後部座席に高さのある背もたれやヘッドレストの付いた最上位グレード「JOIN」がおすすめです。ほとんど1~2人乗りなら、下から2番目のグレード「PAリミテッド」以上のどれでも良いでしょう。ただしPAリミテッドなら、安全性を考慮して「スズキセーフティサポート」の付いた車両をお勧めします。

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エブリィワゴンがおすすめの人

エブリィワゴンの全景

  • 実用性や快適さを求める
  • 後部座席にも人を乗せる
  • 趣味と普段使いの両方で活かしたい

エブリィワゴンは、「趣味も楽しみながら普段使いもしたい」という人におすすめです。後述のスーパーハイトワゴンよりも優れた積載量を確保しつつ、商用のエブリィワゴンと比べるとシートのクッション性があり、グレード次第で電動スライドドアも選択できます。

おすすめグレードは?
中間グレード「PZターボ」または上位グレードの「PZターボスペシャル」がおすすめです。PZターボなら後方片側に、PZターボスペシャルなら後方両側に電動スライドドアが装備されます。荷物を抱えた状態でドアの開閉をする上で、電動式のドアは非常に便利です。

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エブリィワゴンとスーパーハイトワゴンなら?

N-BOXの全景

※上図:スーパーハイトワゴンの例、ホンダ N-BOX

現在、軽自動車で高い人気を誇るのがスーパーハイトワゴンです(N-BOXやタント、スペーシアなど)。エブリィワゴンと同じ乗用で車高が高く、スライドドアを備えていますが、両者を比べると以下のような傾向があります。

  • 車両価格:大きな差はない
  • 燃費:スーパーハイトワゴンの方が良い
  • 快適性:スーパーハイトワゴンの方が良い
  • 積載性:エブリィワゴンの方が良い
  • 車中泊:エブリィワゴンの方が楽

普段使い重視で、頻繁にアウトドアをする訳でなければスーパーハイトワゴンの方がおすすめです。一方、車中泊を頻繁にするなど仕事や趣味を兼ねるのであれば、エブリィワゴンの方が良いでしょう。

車両価格を抑えるのが一番の節約

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※2023年10月20日時点の中古車在庫より

エブリィもエブリィワゴンも、趣味を楽しみながら使うクルマとしては非常に魅力的です。ただし趣味を楽しむとなると、それなりに出費がかさみます。こういった場合は中古車も検討しましょう。新車より数十万円安く買える場合もあります。

エブリィとエブリィワゴンの中古車在庫を見てみる>

ライター紹介

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221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。