BMW新型i7は内装・装備がよりラグジュアリーな高級車に!【試乗記】

BMWの7シリーズは、高級セダンとして位置づけられている。今回は、2022年7月に電気自動車として発売開始されたBMW新型i7の試乗記をお届けする。高級車らしい、内装や装備、走行性能について解説しているので参考にして欲しい。

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BMWのBEVラインナップの概要

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2022年4月にBMWのフラッグシップセダンである7シリーズが発表された。その後、やや遅れて7月にBEV(バッテリー電気自動車)の新型i7が投入された。今回試乗したのは、BEVのi7だ。

BMWは、BEVに積極的なメーカーだ。2014年に画期的なBEVだったi3を投入後、続々と新型BEVを発売した。現在の日本マーケットで、最も豊富なBEVラインナップをもつメーカーのひとつとなっている。

BMWのBEVラインナップには、大きな特徴がある。iXといったBEV専用モデルも用意しつつも、既存の内燃機関搭載車と共通化されたモデルを多く持っていることだ。例えば、iX1はX1がベースとなっている。i4は4シリーズグランクーペをベースとしたBEVだ。このように、既存の内燃機関車とベースを共通化することで、より早く、ローコストでBEV化している。i7も同様に、パワーユニットなどを除くと、ほぼ7シリーズと同じだ。

i7の外観は従来の7シリーズとは異なるフロントフェイス

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7代目となるG70型7シリーズの外観デザインを初めて見た時は、少々混乱したのを覚えている。従来の7シリーズの面影が一切なく、まったく異なるモデルのように見えたからだ。これほど激変するのは、7シリーズの中で初めてのことのように思える。

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その最たるものがフロントフェイスだ。i4の流れを受け、キドニーグリルは縦長で大型タイプとなった。夜間になると、キドニーグリルがライトアップされる。「アイコニックグロー」と呼ばれ、ライトアップにより車体が浮かび上がる。ひと目でi7と分かる機能だ。

超薄型のスワロフスキー製クリスタルヘッドライトは、フェイスサイドの上部に設置されている。睨みの効いたフェイスにまとめた印象だ。とにかく大きな顔で、圧倒的な存在感をアピールしている。

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強烈なフロントフェイスに対して、リヤビューは意外とコンサバだ。BMW特有の水平基調とL字型リヤコンビネーションライトを採用している。

i7のインテリアは高級感のあるラグジュアリーな仕様に

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インテリアの豪華さと数々の先進装備には驚いた。インパネは、BMWでは見たことのないようなデザインだ。大きくえぐれたインパネ部分に、大型の12.3インチメーターパネルと、14.9インチコントロールディスプレイが設置されている。ドライバーに向けて湾曲させ、視認性を高めたカーブドディスプレイだ。

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コクピット周りは最低限のスイッチ類のみとし、スッキリとしている。一方車体は、クリスタルを多用していたり、メタル調のドアトリムなどが加わっていたりと、煌びやかだ。

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インパネ周りは、上部を見ると開放感がある。先代モデルに比べ、約40%ガラス面積を増やしたパノラマガラスサンルーフを標準装備しているからだ。後席まで届くスカイルーフをオプション装備すると、さらに明るく、開放的な空間になる。

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トレンドを上手く捉えていたのが、左右のリヤドアに設置された操作系パネルだ。デザインは、スマートフォンのようで、タッチ操作が可能だ。シートのリクライニングなど様々な操作が可能となっている。

後席がまるで映画館のような「BMWシアタースクリーン」を搭載

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新型i7に搭載された世界初の「BMWシアタースクリーン」は、後席がプライベートシアターになる機能だ。BMWシアタースクリーンには、下記の機能が搭載されている。

  • Amazon Fire TV
  • 8K対応の31インチのタッチスクリーンディスプレイ
  • Bowers & Wilkinsのサラウンドサウンドシステム
  • オプションで装備可能なシート内のサブウーファー
  • ドアのコントロールパネル「タッチスクリーンリモート(BMWタッチ・コマンド)」
  • 自動で後部座席のシェードが閉じるシステム

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新型i7は、BEVなので静粛性の高さは折り紙つきだ。そのため、臨場感に包まれ、映像に引き込まれていく。自分のいる場所が、クルマの後席なのか?と、思うほどだ。映画好きであれば、この機能だけで新型i7を購入したくなるだろう。

新型i7は「すべて」が自動ドア

新型i7の自動ドアは、タクシーを連想させる。タクシーは左後部だけだが、新型i7はすべてのドアが自動で開閉可能だ。センサーにより、狭いスペースでも、適切なドアの開放角度を保持する。「至れり尽くせり」とはこのことだ。

新型i7のボディサイズは先代よりも大きくなった

新型i7のデザインと装備は、7シリーズを疑うほどの変貌ぶりだ。

ボディサイズは、全長5,390mm×全幅1,950mm×全高1,545mmだ。先代の750Li(全長5,265mm×全幅1,900mm×全高1,485mm)と比べて、全長+125mm、全幅+50mm、全高+60mmほど大きくなっている。

イメージとしては、同じグループのロールスロイスに近い。豪華な装備の数々を見ると、新型i7はドライバーズカーというより、ショーファードリブンになった印象が強い。

【試乗】新型i7は加速力が良く、静粛性と乗り心地に優れている

新型BMW i7は、前後にモーターを設置した4WDを採用している。システム最高出力は544ps、システム最大トルクは745Nmと十分過ぎるスペックである。0-100km/h加速は、僅か4.7秒(欧州仕様車)とかなり俊足だ。なお、BMWのスポーツモデルであるM4クーペの0-100㎞/h加速が4.2秒だ。

新型i7の加速力は、並みのスポーツカー以上ということになる。

 

ハイスペックということもあり、期待に身を震わせながら、アクセルを踏み込んだ。すると、一瞬にして頭が後方に引っ張られた。ハイパフォーマンス系のBEVを運転するのは初めてではないため、ある程度は予想できたが、想像を遥かに超えていた。

瞬時に最大トルクを発揮するBEVならではの強烈な加速Gを全身で感じるものの、室内は異様なほど静かだ。かすかにタイヤのロードノイズが聞こえるくらいである。見事なくらい、遮音されている。

乗り心地は、すごく快適だ。サスペンションは、エアサスでフロントがダブルウィッシュボーンだ。リアがマルチリンクとなっている。

「スポーツモード」での走行でBMWらしい硬めの走りに

走行中に気になるのは「BMWらしくない」走りだ。BMWといえば「硬めの足」という印象がある。新型i7を運転している時は、ふわふわしている。ショーファードリブン化したこともあり、後席の乗り心地重視につくられているのだろう。そう思いながら、BMWらしさを期待しつつ、スポーツモードを選択した。

その瞬間、サスペンションはギュッと引き締まり、「BMWらしくない」走りが消えた。いつものBMWらしいフットワークとなったのだ。しなやかさを維持したまま、クルマの揺れをしっかり抑え込んでいる。

さらに、ハンドリングは激変した。ノーマル状態の少し緩やかなハンドリングから、キレ味が増し、スポーティさが際立った。フロントノーズもより軽く感じた。全長5,390mm、車重2,690㎏というとても大きく、凄く重い車体なのに軽快だ。さらに、カーブでは、ビタっと路面に張り付いているかのごとく安定している。

運転するならば、スポーツモードをお勧めする。

 

スポーティな走りは、駆動用のリチウムイオンバッテリーが支えている。床下に配置したことで、重心が低くなっている。一旦滑り出したら、これだけの重さの車体をコントロールするのは非常に困難だ。しかし、新型i7は4WDということもあり、安心してアクセルを踏むことができる。

新型i7の電費と航続距離

リチウムイオンバッテリーの容量は、105.7kWhだ。大容量リチウムイオンバッテリーを使い、650㎞(WLTCモード)という航続距離を誇る。航続距離が長いか短いかは、人により評価が異なる。仮に、航続距離が550㎞としても、一般的な使い方であれば十分な航続距離といえる。

 

気になるのは実電費だ。首都高速を中心に走った結果、5.4㎞/kWhという結果となった。この電費だと約570㎞の実航続距離ということになる。参考値だが、80㎞/h位の速度で流して走れば、6.0㎞/kWhに近い実電費が出そうな印象だ。

新型i7は高速道路で電費が伸びるタイプだ。BMWのBEVは、総じて街中より高速道路での電費が伸びる制御になっているようだ。高速道路での移動が多い人には、ピッタリな仕様である。

 

充電時間は、自宅で6.4kWのBMWウォールボックス(200V/32A)を利用すれば、約17時間で、充電開始時0%の状態から100%まで充電することが可能だ。急速充電(CHAdeMO)においては、90kW充電器であれば、約60分で充電開始時0%の状態から約80%までの充電が完了する。10分の急速充電で、航続可能距離を最大約80km程度伸ばすことができる。

今後、主流になると思われる最新の150kW急速充電器利用では、約50分で充電開始時0%の状態から約80%までの充電が完了する。

新型i7で注目のオプション装備

オプションの「エグゼクティブ・ラウンド・シート」を装備する事で、リアの居住性を格段に向上させる事が可能だ。下肢部クッションと座面が一体となった究極のリラックス・シートを装備している。さらに、リア・シートのリクライニング角度は42°を実現し、BMWシアター・スクリーンとあいまって、究極のラグジュアリー・ドライビング体験を提供する。

 

新型BMW 7シリーズでは、BMW量産モデルにおいて初となる「2トーン塗装」をオプションで装備が可能だ。車両の上部色と下部色を分けることで、優雅で伸びやかなラインが強調され、繊細なコーチ・ラインがラグジュアリー感をさらに高める。

BMW i7価格

 

価格

i7 xDrive60 Excellence

17,100,000円

i7 xDrive60 M Sport

17,100,000円

BMW i7電費、航続距離、ボディサイズなどのスペック

代表グレード

BMW i7 xDrive60 M Sport

ボディサイズ[mm]

全長5,390mm×全幅1,950mm×全高1,545mm

ホイールベース[mm]

3,215mm

最低地上高[mm]

136mm

最小回転半径[m]

6.2m

車両重量[kg]

2,690kg

フロントモーター最高出力[kw(ps)]

190kw(258ps)

リヤモーター最高出力[kw(ps)]

230kw(313ps)

フロントモーター最大トルク[N・m(kg-m)]

365N・m(37.2kg-m)

システム最高出力[kw(ps)]

400kw(544ps)

システム最大トルク[N・m(kg-m)]

745N・m(76.0kg-m)

駆動方式

4WD

一充電走行距離WLTCモード[km]

650km

電費[㎞/kWh]

141(約6.2㎞/kWh)

バッテリー種類

リチウムイオン

総容量[kWh]

105.7kWh

サスペンション前/後

ダブルウィッシュボーン(エアスプリング)/マルチリンク(エアスプリング)

タイヤサイズ前後

前255/45R20 後285/40R20

トランクルーム容量[L]

500L

 

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員