スバル 新型クロストレックとXV新旧比較!フルモデルチェンジによる違いを解説

スバル 新型クロストレックとXV新旧比較。フルモデルチェンジによる違い

スバルXVの次期モデル新型クロストレックが2023年春に発売を予定している。XVからフルモデルチェンジでどのように変わったのか、燃費、ボディサイズやデザイン、走行性能、安全装備を徹底比較、違いを評価した。

XVは新型からクロストレックに名称変更

新型スバル クロストレックは、2022年9月に公開され、2023年の春に発売される。今回のフルモデルチェンジを期に、名称がXVからクロストレックへと変更した。

クロストレック(XV)は、SUVブームという追い風もあり、国内販売を支える人気SUVへと成長している。今回のフルモデルチェンジで、更なる販売台数増が期待されるモデルだ。

スバル クロストレック(XV)の歴史・概要

2010年に初代スバルXVが登場した。初代XVは、インプレッサをベースとした簡易タイプのクロスオーバー車だ。最低地上高も155mmと低かった。

2012年に登場した2代目XVは、よりSUVテイストを強めた本格的なクロスオーバー車となった。2代目XV は、2.0L水平対向エンジンと4WDを組み合わせている。また、最低地上高を200mmにすることで、悪路走破性能を大幅に向上した。

先代XV(3代目)

※上図:先代XV(3代目)

2013年には3代目XVが登場した。最新クロストレックのベースとなるハイブリッド車だ。2代目と同様に、最低地上高を200mm確保し、悪路での走破性を重視している。

4WDのみ2.0Lエンジンの他に1.6Lエンジンも用意された。

クロストレック(XVの4代目新型)

※上図:クロストレック(XVの4代目新型)

そして、4代目 XVは、名称をクロストレックへと変更した。エンジンは、全車2.0Lハイブリッドのe-BOXERへ切り替えた。駆動方式は、従来の4WDのみからFF(前輪駆動)車も追加されている。

新型クロストレックでは、予防安全装備パッケージ「アイサイト」の性能が大幅に向上し、より安全なクルマへと進化した。また、検知能力も大幅に向上している。従来のステレオカメラに加えて、広角の単眼カメラがプラスされ、計3眼カメラとなった。

これにより、交差点内での右折時対向車両と自動二輪車、右左折時の歩行者と自転車にも対応できるようになった。

クロストレックとXVの外装デザイン比較

クロストレックとXVでは、デザインの目指す方向性が異なる。

アウトドア感やSUVのようなデザインを好むなら、クロストレックがよいと感じるだろう。逆に、都会的なデザインでスタイリッシュさを望むのであれば、XVという選択になる。

シャープさが増した新型クロストレック

クロストレックの外観後ろ

※上図:クロストレックの外観後ろ

新型スバル クロストレックのコンセプトは「休日が待ち遠しくなる、アウトドア・アクティビティの相棒」だ。提供価値は「FUN」として、機能・性能を磨き上げたという。

クロストレックのフロントフェイス

※上図:クロストレックのフロントフェイス

クロストレックのリヤエンド

※上図:クロストレックのリヤエンド

外観デザインは、迫力がありスポーティになった。大型のヘキサゴングリルと彫の深いフェイスは、精悍さをアピールし、張り出したフェンダーは、筋肉質で逞しさを感じさせる。

XVはスッキリ感のあるクールなデザイン

3代目XVの外観後ろ

※上図:3代目XVの外観後ろ

3代目XVのコンセプトは、「Fun Adventure」だ。外観デザインは、スバル共通のデザインフィロソフィー“DYNAMIC×SOLID”を採用した。ラギッドなSUVデザインに流麗さを融合させ、街で映えつつ自然の中にも似合うデザインとした。

都会的でクールな「スポカジスタイル」としている。

3代目XVのフロントフェイス

※上図:3代目XVのフロントフェイス

3代目XVのリヤエンド

※上図:3代目XVのリヤエンド

全体的にスッキリとしたデザインのため、SUVのタフネスさを感じさせるようなデザインテイストは控えめだ。新型クロストレックと比べても、それほど古さを感じさせない良いデザインである。

クロストレックとXVの安全装備を比較

クロストレックの「アイサイト」は、広角カメラの追加で大幅に進化を遂げた。そのため、クロストレックとXVの予防安全装備を比較すると大きな差になっている。

XVではステレオカメラが採用されていたが、クロストレックではステレオカメラが高性能化し、より遠く、広く認識できるようになった。さらに、広角の単眼カメラや前側方レーダーなどが追加され、より広い範囲を検知できるようになったのだ。

その結果、今まで対応できなかった交差点内での衝突リスクを大幅に低減した。右折時の対向車両と自動二輪車、右左折時の歩行者と自転車も検知し、衝突回避・被害軽減が可能となっている。

その他の機能を含め、クロストレックはクラストップレベルの予防安全装備を得ている。

一方、XVも以下のクラストップレベルの予防安全装備を得ている実力車だ。

  • アイサイト標準装備
  • 全車速追従式クルーズコントロール
  • 車線逸脱抑制機能
  • 歩行者エアバッグ
  • リヤビークルディテクション(オプション設定)

車両や歩行者、自転車を検知可能なアイサイトを標準装備しているので、減税でもそれほど見劣りしない。さらに、運転支援機能である全車速追従式クルーズコントロールや車線逸脱抑制機能もある。

ただ、車線変更時に後側方から接近してくる車両を検知し警報を発するリヤビークルディテクションはオプション設定。中古車の場合は、こうした装備が付いた車両がお勧めだ。クロストレックでは標準装備になっている

また、両車共にこのクラスではほとんど設定がない歩行者エアバッグが全車標準装備になっている。

クロストレックとXVの内装デザイン・使い勝手を比較

シートとコネクティッド系が大きく進化したクロストレック

クロストレックのインパネデザイン

※上図:クロストレックのインパネデザイン

スバル クロストレックのインテリアは、使い勝手の良さと居心地の良さを追求した。インパネのデザインは、水平基調で広さをアピールし、スバルらしくデザイン性というより、カッチリとした機能美といった印象を受ける。

上級グレードでは、縦型11.6インチインフォメーションディスプレイを標準装備している。画面上のアイコンなどはやや大きく設定され、使いやすさを感じさせる。

ただし、多くの人が利き手では無い左手での操作となり、揺れる走行中の操作は難しい印象だ。タッチパネル車と同様に安全面では、少々微妙である。タッチ操作しなくても操作ができる別のコントローラーが欲しいところだ。

クロストレックのメーター

※上図:クロストレックのメーター

メーターは、アナログメーターだ。デジタルメーターが主流な時代ということもあり、やや古く感じる部分だ。

クロストレックの運転席

※上図:クロストレックの運転席

フロントシートは新開発された少し大きめでゆったりとしたシートだ。腰の仙骨と呼ばれる部分を支えることで、車体の揺れが頭部に伝わらない工夫が施された。

カーブでも体をしっかりと支えてくれるので、気持ちよく走ることができる。

クロストレックの後席

※上図:クロストレックの後席

室内の広さと荷室容量は、ほとんど同じXV

代目XVのインパネデザイン

※上図:3代目XVのインパネデザイン

XVのインパネデザインはクロストレックと似たようなデザインだ。センターコンソール付近のデザインが異なるくらいで、水平基調かつ広さを感じさせるデザインである。

そういう面では、XVのインパネデザインもあまり古さを感じさせない。

3代目XVのメーター

※上図:3代目XVのメーター

ただ、シートのホールド性や11.6インチのディスプレイによるコネクティッド系の装備は、大きな差になっている。とくに、スマートフォンとの連携は差がある。これは、設計が古いので、しょうがない部分でもある。

また、車内の広さは、クロストレックとXVのプラットフォーム(車台)が共通のため、ほとんど同じレベルで十分な広さだ。クロストレックには、SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)の進化型が使われている。

3代目XVの運転席

※上図:3代目XVの運転席

3代目XVの後席

※上図:3代目XVの後席

荷室容量も同等レベルだが、クロストレックの荷室容量が315Lで、XVに比べ-25Lとなる。荷室容量は、もう少し欲しいところだ。

クロストレックの荷室

※上図:クロストレックの荷室

3代目XVの荷室

※上図:3代目XVの荷室

クロストレックの走行性能、メカニズム

スバル クロストレックのエンジン、出力、燃費は以下の通り。

(WLTCモード、4WD)

 

クロストレック

XV(後期)

XV(後期)

動力源

2.0L e-BOXER

2.0L e-BOXER

1.6Lガソリン

エンジン

145ps&188Nm

145ps&188Nm

115ps&148Nm

モーター

13.6ps&65Nm

13.6ps&65Nm

燃費

15.8km/L

15.0km/L

15.8km/L

スバル クロストレックのパワーユニットは、基本的にXVと同じものが採用されているが、細かい部分が進化し、わずかながら燃費を向上させた。

主にモーターの制御や空気抵抗の低減、CVTのフリクションを減らしている。

クロストレックのエンジンルーム

※上図:クロストレックのエンジンルーム

ただし、小さなモーターが1つしかないシンプルな構造のため、同じセグメントのトヨタ カローラクロスと比べると燃費は物足りない。クロストレックの燃費は、15.8km/Lだが、カローラクロスの燃費は24.2km/Lと圧倒的に優れている。

e-BOXERは、ガソリン車より燃費が少しよいくらいの感覚がちょうどよい。

3代目XVのエンジンルーム

※上図:3代目XVのエンジンルーム

クロストレック、XV共に低い速度域であればモーターのみで走行できる。しかし、XVと比べると、モーターだけで走れるシーンが少し増えた印象だ。

小さなモーターでも、アクセルを踏んで、エンジンの回転が上がるまでの間、モーターがフォローしてくれるので、レスポンスの良さは格別だ。気持ちよい走りが楽しめる。

ほかにもクロストレックは、下記の部分を採用、改良している。

  • インナーフレーム構造を採用
  • フロントがストラット
  • リヤがダブルウィッシュボーン
  • サスペンション取り付け部の剛性アップ
  • 構造用接着剤塗布範囲の拡大

その結果、クロストレックの乗り心地は大幅に向上した。しなやかさが増し、XVで感じたちょっとゴツゴツと伝わってきた振動もきれいに無くなった。乗り心地が向上したことで、カーブは安定感があり快適だ。

また、応答遅れのないハンドリングに進化している。電動パワーステアリングは、2ピニオン式に変更された。

クロストレックは、最低地上高が200mmもある。そんな重心高さのあるクルマとは思えない身のこなしは、とてもスポーティでSUVながらのハンドリングが楽しめる。

さらに、静粛性もクロストレックが大きく上回る。クロストレックでは、ルーフパネルとブレースの間に、高減衰マスチックと呼ばれる弾性接着剤が使われている。

これにより、ルーフの振動などが抑えられ音圧を低減し、静かな室内にすることができた。

 

4WDシステムは、クロストレックとXV共にアクティブトルクスプリットAWD(ACT-4)を採用したため、滑りやすい路面や悪路での安定感は抜群だ。AWD(ACT-4)は、安定性重視のシステムで、前60:後40のトルク配分を基本とし、走行状況に合わせて最適な前後トルク配分で走行する。

また、滑りやすい路面や悪路での安定感は抜群だ。両車共に、悪路での走破性をアップするX-MODEを装備している。

 

クロストレックでは、XVでは設定の無かったFF(前輪駆動)も用意された。4WD車と比べると、車体が少し軽くなるので軽快感がある。とはいえ、後席側に駆動用バッテリーを積んだことで、ハンドリング面では4WDが勝り、安定感は大きな差がついた。

スバル車ということもあり、4WD車がお勧めだ。

お勧めは先代XV?それともクロストレック?

価格次第でXVの中古車もあり!

クロストレックの価格が約288万円~329万円(4WD)と、なかなか高価な価格帯である。そのため、中古車で買い得感があれば、XVという選択もありだ。

しかし、クルマの総合力という点では、最新クロストレックの圧勝だ。進化幅が大きいコネクティッド系を好むであれば、クロストレックがよい。

一方、XVも基本性能は高く、走行性能面で大きな不満はない。そうなると、中古車価格が大きなカギを握る。

 

XVの中古車価格は、SUV人気の影響もあり高値を維持している。2023年3月時点の中古車相場は、2020年式で240~260万円程度だ。新車価格が約265~293万円だったので、新車価格の89~91%を維持している。

高年式とはいえ、中古車価格が新車価格の75%以上だと買い得感があるとは言いにくい。

しかし、価格差が開く場合は、XVという選択もありだろう。

例えば、XVの最上級グレード、アドバンスの中古車価格が260万円だとした場合、クロストレックの最上級グレードであるリミテッドは約329万円だ。その差は、69万円にもなる。

価格差が開くとXVの中古車に買い得感がある。

スバルXV2018年式以降の在庫を見る>

今後、多くのXVがクロストレックの下取り車として、中古車マーケットに流れてくると予想できる。一般的に、中古車流通量が増えると中古車価格が下がる傾向にある。そのため、しばらくすると、XVの中古車価格が下がるだろう。

スバル クロストレック本体価格

 

FF

AWD

クロストレックTouring

2,662,000円

2,882,000円

クロストレックLimited

3,069,000円

3,289,000円

新型スバル クロストレック燃費、ボディサイズなどスペック

代表車種

クロストレック リミテッド4WD

ボディサイズ

全長4,480mm×全幅1,800mm×全高1,575mm

ホイールベース

2,670mm

最低地上高

200mm

車両重量

1,560kg

エンジン型式

FB20

エンジンタイプ

水平対向4気筒DOHC16バルブ

総排気量

1,995cc

最高出力

107kW(145PS)/6,000rpm

最大トルク

188N・m(19.2kgf・m)/4,000rpm

モーター型式

MA1

モーター最高出力

10kW(13.6PS)/rpm

モーター最大トルク

65N・m(6.6kgf・m)

電力用主電池

リチウムイオン電池

燃費(WLTCモード)

15.8km/L

駆動方式

4輪駆動(4WD)

トランスミッション

CVT

サスペンション

前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン

タイヤ 前後

225/55R18 オールシーズンタイヤ

最小回転半径

5.4m

スバル XV(最終モデル)燃費、ボディサイズなどスペック

代表車種

XV アドバンス4WD

ボディサイズ

全長4,485mm×全幅1,800mm×全高1,550mm

ホイールベース

2,670mm

最低地上高

200mm

車両重量

1,560kg

エンジン型式

FB20

エンジンタイプ

水平対向4気筒DOHC16バルブ

総排気量

1,995cc

最高出力

107kW(145PS)/6,000rpm

最大トルク

188N・m(19.2kgf・m)/4,000rpm

モーター型式

MA1

モーター最高出力

10kW(13.6PS)

モーター最大トルク

65N・m(6.6kgf・m)

電力用主電池

リチウムイオン電池

燃費(WLTCモード)

15.0km/L

駆動方式

4輪駆動(4WD)

 

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員