- この記事の目次 CONTENTS
- コンパウンドとは?傷が消える仕組み
- コンパウンドの種類と選び方
- 【実践】コンパウンドの使い方と手順を解説!
- 【整備士厳選】使いやすいコンパウンドおすすめ3選
- コンパウンド使用で注意したいこと
- コンパウンドで消えない傷はどうする?
- コンパウンドについてのまとめ
コンパウンドは、車のボディについた傷を消すために使用される研磨剤のことです。
車に傷がついてしまった時に、業者に依頼するのか自分で修理にチャレンジしてみるのか、迷っている人も多いのではないでしょうか?
この記事ではコンパウンドの選び方と、基本的な使い方を解説しています。
コンパウンドとは?傷が消える仕組み
コンパウンドとは一般的に、液体やペースト状の研磨剤のことを指します。
程度によりますが、この研磨剤を傷のある部分に塗り込むことで、傷によってできたボディの塗装表面にある凸凹をならします。
そうすることで傷の凸凹が目立たなくなるのが、傷が消える仕組みです。
どの程度の傷であればコンパウンドで消せるの?
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コンパウンドはどんな傷でも消せるわけではありません。
コンパウンドで消すことができるのは、クリア層にできた傷までです。
車のボディの塗装は、下から順に「ボディの地金→下地塗装→カラー塗装→クリア層」となっています。
また、たとえば車のボディをぶつけた、もしくはぶつけられた時に、クリア層の表面に相手側の塗料等が付着した(擦れた痕がある)場合の傷も、コンパウンドで消すことができます。
カラー塗装にまで及んだ傷を消すことはできないので、注意しましょう。
補足として、傷を消すことができるかできないかを簡易的に判断する方法があります。
傷のある部分に水をかけてみて、傷が目立たなくなるようであれば、クリア層の傷である可能性が高いです。
コンパウンドの種類と選び方
研磨剤であるコンパウンドには、さまざまな種類があります。
コンパウンドであれば何でもよいわけではなく、それぞれに特徴があります。
以下の3つの種類について、それぞれの選び方を解説します。
- 目の荒さの違い
- ペーストタイプとリキッド(液体)タイプ
- 水性と油性
目の粗さで選ぶ
コンパウンドは、商品によって目の粗さが異なります。
目の粗さの表現の仕方はさまざまですが、以下のようなわかりやすい分け方のものがあります
左から右にかけて、目が細かくなります
- キズ消し用→仕上げ用→鏡面仕上げ用
- 目消し・肌調整用・中目→細目→極微細・超微粒子→ツヤ出し
- 800〜1000→1200〜1500→2000〜3000→6000〜15000(数字の場合、大きくなるほど粒子が細かくなる)
傷が深い場合にはまず、目の粗いタイプを使います。
傷が深いのに目の細かい仕上げ用のコンパウンドでいくら磨いても、十分に研磨できずに傷を消すのにかなりの労力を要します。
深い傷を消す場合、目の粗いコンパウンドでしっかりと傷跡をならしてから、順に目の細かいコンパウンドにかえていき、ボディの表面を綺麗にしていきましょう。
一方で、洗車傷といった浅い傷の場合は、粗いものを使うと余計な磨き傷をつけてしまう恐れもあります。
そのため、目の細かいのコンパウンドから順に使い傷が消えるかどうかを確認しつつ、さらに粗いコンパウンドを使うのかどうか、種類を見極めるとよいでしょう。
ペーストタイプとリキッドタイプで選ぶ
コンパウンドには、ペーストタイプとリキッドタイプがあります。
- ペーストタイプ:のり・クリーム状のもの
- リキッドタイプ:粘度のある液体
それぞれにメリットデメリットがあるので解説します。
分類 | メリット | デメリット |
ペーストタイプ | 使用時に垂れたり飛び散ったりしにくい | 乾燥して固形化するので、一度開封した後の長期保管に向かない |
磨きたい部分に狙いを定めて施工しやすい | 均一にムラなく磨くのが難しい | |
比較的、安価 | ー | |
リキッドタイプ | 商品ラインナップが豊富 | ペーストタイプと比較して、ポリッシャー使用に向かない |
ムラなく塗り伸ばせる | 乾燥が早いので素早い作業が必要 | |
少量でも使いやすい | ー |
近年は、リキッドタイプが主流です。
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、ご自身の用途にあったものを選ぶようにしましょう。
水性と油性で選ぶ
コンパウンドには、水性と油性があります。
油性は素早く手軽に磨きたい場合、またはピンポイントで狭い範囲を磨く場合におすすめです。
水性はしっかり時間をかけて丁寧に磨き上げて傷を消したい場合におすすめです。
水性は界面活性剤の働きにより、水分に油分が分散しているイメージです。
水性の特徴をいくつかピックアップしたものは、以下のとおりです。
- 油性のものより研磨力がある
- 主成分である水分の蒸発により、長期保存に向かない
- 使用後、洗い流しやすい
一方で油性コンパウンドの特徴は以下のとおりです。
- 磨いてる時に粉っぽくなりづらいので、磨きやすい
- ボディに付着したコンパウンドが落ちづらい
- 磨ききれていない傷でも油分で埋まって、目立ちにくくなる
また、磨いた後にボディコーティング施工を考えている場合は、水性で磨くのがおすすめです。理由は、油性の場合、コーティング剤との相性で溶剤がボディにしっかり密着しない恐れがあるためです。
プロの板金塗装屋さんは水性を使うことが多いようです。
【実践】コンパウンドの使い方と手順を解説!
コンパウンドはどのような手順で使用していくのか解説します。
わたしがおすすめするのは、市販品の場合は粗目から仕上げまで3種類くらいがセットになった、リキッドタイプの水性(ノンシリコン含む)コンパウンドです。
Step1. まずは洗車
まずは車をきれいに洗車します。
洗車をする理由は2つあります。
1つ目は、磨く対象である傷を確認しやすくするためです。
2つ目は、ホコリや汚れなどがボディに付着した状態でコンパウンドを使用すると、余計な傷をつける可能性があるからです。
柔らかいスポンジを使い、たっぷりな水で洗い流しながら車を綺麗にします。
Step2. コンパウンドで塗装面を磨く
ボディがきれいになれば、いよいよコンパウンドで磨きます。
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無駄な磨きすぎを防ぐために、目の細かいコンパウンドで軽く磨いてみて、傷が消えるかチェックします。
それでダメなら、次に粗い目のコンパウンドを使います。
ここで傷が消える見込みがあるようであれば磨いていき、その後改めて目の細かいコンパウンドを使って仕上げていきます。
コンパウンドはボディに直接つけても、スポンジまたは布などにつけても構いません。
磨きやすくするコツはスポンジ・布等にほんの少しだけ水を含ませてあげることです。
また、コンパウンドの種類によってスポンジ・布は使い分けるようにします。
傷が目立たなくなってきたことを確認できたら、徐々にコンパウンドの目を細かくしていき、塗装面がより均一になるように仕上げていきます。
暗い場所よりも明るい場所でやるほうが、塗装面の傷を確認しやすいです。
どうしても暗い場所での作業となる場合は、ライトを使用するとよいでしょう。
また、特に粗めのコンパウンド使用時に局部的に力を入れて磨きすぎるのは要注意です。
その箇所だけクリア層が極端に薄くなってしまったり、場合によってはカラー塗装層まで到達してしまうと、取り返しがつかなくなります。
広範囲を磨く場合はポリッシャーを使うと、ムラなく施工しやすいです。
Step3. 周りとの馴染み具合いを明るい場所で最終確認
最終的に、目の細かい仕上げ用のコンパウンドで磨き上げたあとは、明るい場所で仕上がり状態を確認します。
磨くときもそうですが、暗い場所では十分に傷の状態を確認できません。
晴れた日中であれば屋外の明るいところ、屋内であれば明るい照明の下かつ、ハンディライトがあるとベストです。
新しく、柔らかくて綺麗な布(マイクロファイバー)で、残ったコンパウンドを拭きあげることで、塗装面の状態を確実に把握できます。
もし磨き足りないところがあれば、必要に応じて作業をおこないましょう。
【整備士厳選】使いやすいコンパウンドおすすめ3選
ここで、一般ユーザーにとっても使いやすいコンパウンドを3つ紹介します。
カー用品店やネット通販でも購入可能なものですので、ぜひご検討ください。
SOFT99 液体コンパウンド トライアルセット
自動車用ケミカル用品大手であり、歴史のある国産メーカー「SOFT99」の商品は、誰もが一度はカー用品店で目にしたことがあるのではないでしょうか。
そういった背景もあり商品の信頼性も十分なものです。
- キズ消し用
- 仕上げ用
- 超鏡面用
以上の3つのコンパウンドとスポンジがセットになっています。
油性のリキッドタイプです。
キズ消し用のコンパウンドの番手(目の粗さ)が3000番ということで、ある程度深さがあるような目立つ傷よりは、光を当てたら浮かび上がる、洗車傷のような浅い傷を手軽にサッと消すのに適してる商品です。
エンジェルワックス スパシャン エンジェルワックス ヘビーカットコンパウンド
世界各国で人気を誇る、エンジェルワックス社製の最高級ブランドコンパウンドです。
水性でありながら、伸びがよいので少量の使用でも効果を発揮できますし、研磨後はボディをサッと拭きあげればそれでOKです。
1500番相当の目の荒いコンパウンドとして使用できるので、深い傷を消すのに適しています。
それでいて、白やシルバー色のボディカラーであれば、これ1本で仕上げまですることが可能です。
プロも絶賛する商品で、ポリッシャーを使った磨きを推奨しています。
値段は決して安くはありませんが、おすすめ度の高い商品です。
また、メタリックカラーや、白・シルバー系以外のボディカラーを磨く場合は、「ミディアムコンパウンド」「フィニッシュコンパウンド」も合わせて使用して仕上げていきます。
3M 小分けキット
プロの板金塗装業者や、車屋でも使われている3M(スリーエム)ジャパンの商品で、液体/水性タイプのコンパウンドです。
80mlもしくは150mlの小分けセットが販売されています。
- 極細目
- 超微粒子
- 仕上げ用
以上の3つがセットになっており、仕上げ用は濃色車のオーロラマーク(バフ掛け後の磨き傷)の除去にも効果を発揮します。
高品位塗料対応で、超微粒子目でも優れた切削性が体感できるコンパウンドです。
作業性も良いので、ユーザーからプロの業者まで幅広く使われているのが3Mのコンパウンドです。
コンパウンド使用で注意したいこと
コンパウンドを使用して磨くときの注意点を、最後に3つ解説します。
コンパウンドをやりすぎない
ボディの塗装面を削って、傷による段付きを平たくすることが、コンパウンドの使用で傷が消える仕組みです。
つまり、コンパウンドで磨きすぎると、磨いた箇所の塗装の厚みは薄くなります。
そのため、コンパウンドのやりすぎは塗装面に負担をかけることにつながります。
また、磨き続けてカラー層にまで到達してしまうと、傷を消すという本来の目的を達成するのが難しいどころか、取り返しのつかない状態になりかねません。コンパウンドを使用するときはやりすぎないように注意しましょう。
適切な種類のコンパウンドを選ぶ
コンパウンドをやりすぎて失敗しないためにも、適切な種類のコンパウンド選びは大切です。いきなりはじめから目の粗いコンパウンドを使用することは、必要以上に磨きすぎてしまい、仕上げの磨きにも時間を要することになります。
白やシルバー系のボディカラーであれば、傷そのものが目立ちにくい(=細かい仕上がりまで確認することが、そもそも困難)なので、そこまで神経質にならなくても良いですが、濃色系の場合は特に磨き傷が目立ちやすいので、なるべく目の細かいコンパウンドから順に、様子を見ていくことを心掛けましょう。
コンパウンドの種類に合ったバフ・スポンジを使用する
研磨能力の高い羊毛(ウール)バフは、粗目のコンパウンドを使って磨くときに使います。
研磨能力の低いスポンジバフは、細目〜仕上げ用のコンパウンドを使うときに使います。
スポンジのなかでも研磨能力に違いがあり、硬いと目が粗く柔らかいと目が細かいです。
コンパウンドの種類にあったスポンジ・バフを使うことで、余計なトラブルを防ぎ、コンパウンドによる傷を消す効果も最大限発揮できます。
コンパウンドで消えない傷はどうする?
深い傷や広範囲の傷、ヘコみともなればコンパウンドで消すことは困難です。
そういった場合は、パテ埋めや再塗装、部品そのものの交換が必要になる可能性もあります。
無理にご自身でやろうとせずに、プロの板金塗装業者に相談・依頼することをおすすめします。
修理よりも部品そのものを新品に交換するほうが、費用が安く済む場合もあります。
コンパウンドについてのまとめ
コンパウンドで消える傷は、ボディのクリア層についた洗車傷や浅い擦り傷、ボディをぶつけたことでついた相手側の塗料などです。
ご自身で磨く場合は、範囲の狭い部分的なものに留めておくのが良いでしょう。
また、コンパウンドを購入する際は容量の少ないものでも十分な量があるので、目の粗いものから細かいものまでセットになった商品を選ぶことをおすすめします。