この記事の目次 CONTENTS
3世代目となった新型GLS
高級感あふれる戦車?のようなデザイン
まさにラグジュアリーSUV!贅を尽くした上質な空間
最新テクノロジーを駆使し、快適性を高めた新型GLS
なんと700Nm!超大トルクを発揮する3.0Lディーゼルターボエンジン
最上級SUVに相応しいオン、オフ問わない上質な乗り心地
安全サポートも全車種標準装備
メルセデス・ベンツGLSの選び方、価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

3世代目となった新型GLS

メルセデス・ベンツは、SUVラインアップの中で、最上級車種となるGLSをフルモデルチェンジし発売を開始した。

新型メルセデス・ベンツGLSは、初代モデルが2006年に発売。
初代モデルの時代にはGLと呼ばれていたが、2013年に発売された2代目モデルが2016年にマイナーチェンジを受けたとき、車名をGLSに変更。今回のモデルでGLSは3代目となっている。

メルセデス・ベンツは、 SUVラインアップが増えていく中、車種名に統一性をもたせた。
GLはSUV系のモデルを意味し、その後に付く“E”や“S”などは、車格(クラス)を表す。
これは、セダンやコンパクト系のA、B、C、E、Sなどと同じ。GLSは、Sの車格を表していることから、SUVのフラッグシップということになる。

高級感あふれる戦車?のようなデザイン

新型メルセデス・ベンツGLSのボディサイズは、全長5,207mm×全幅1,956mm×全高1,823mm。ちょっとしたトラック並みに大きい。

この巨大な大きさに、メルセデス・ベンツのデザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」を表現。
細かなエッジやラインを減らして面を強調し、本質的に重要なものだけを残す質実剛健なデザインにした。

メルセデス・ベンツ側のデザイン論はさておき、ひと目で大きく迫力があり、とても強そうに見える。
この圧倒的な存在感は戦車的でもあり、純粋にカッコいい。

その迫力を表現しているのが、フロントフェイスだ。
地面と垂直になる8角形の大型ラジエーターグリルを始め、グリル内に配置された特徴的なデザインの2本のルーバー、クローム仕上げのアンダーガード、2本のパワードームを備えたボンネットなど、大きなボディとの合わせ技により圧倒的なパワー感を表現している。

新型GLSのリヤビューは、テールゲートからリヤコンビネーションランプにかけて、力強い筋肉のようなショルダー部が特に目を惹く。タフなSUVらしいデザインだ。

最近ではデザインも燃費向上のツールとなっていて、新型GLSのデザインは、エアロダイナミクスを大幅に改善した。
欧州仕様車のCd値は0.32。大型のラグジュアリーSUVとしては極めて優秀な空力性能を実現している。
Cd値の低減は、空気抵抗を少なくし、燃費性能に大きく貢献する。

まさにラグジュアリーSUV!贅を尽くした上質な空間

新型GLSのインテリアは、まさにラグジュアリーSUVとして相応しい仕上がりになっている。
ダッシュボードには「12.3インチワイドディスプレイ」と「12.3インチコックピットディスプレイ」を装備し、1枚のガラスカバーで融合。
斬新で近未来を感じさせるデザインとなった。

センターコンソールは、太く大きくSUVらしさを表現しながら、グラブハンドルを左右設置。また、4つに水平に並んだ四角いエアベントは、標準モデルのフロントグリルに採用されるルーバーのデザインをモチーフとした。

そして、滑らかなレザーやトリムは上質感が溢れ、最上級のソファーを設置したリビングルームのような安心感がある。
また、前席にシートベンチレーターやステアリングヒーター、温冷機能付きカップホルダーを採用。長距離移動などでの快適性を高める贅を尽くした装備を充実させている。

新型GLSの室内空間は、先代モデルに対してホイールベースが60mm延長したことにより、さらに居住性が向上。2列目シートには、電動シートバックによる前後スライド機能を採用し、最も後方にスライドさせることでレッグルームが87mm拡大する。

2人掛けの3列目シートは、全モデルに標準装備。可倒式でありながら、大きなボディを生かし、身長194cmの乗員にまで対応できる。また、フレキシブルなシートアレンジが可能で、専用のUSB充電ポートも装備した。

新型GLSの荷室は、3列目シート使用時で470Lの容量をもつ。
7名分の荷物とを載せるのはギリギリ。長期の旅行などでは、厳しいスペースだ。
ただ、3列目シートを収納すれば、広大なスペースが出現する。
3列目を収納した場合、あまりに荷室が広く、奥方向の荷物の出し入れがしにくケースがあるが、スイッチ操作によってリヤの車高を約50mm下げることができる。
この機能を使えば、よりスムーズに荷物の積み下ろすことができる。

最新テクノロジーを駆使し、快適性を高めた新型GLS

新型GLSには「エナジャイジング コンフォート」と呼ばれる機能が標準装備化されている。この機能は、各種ヒーターやパフュームアトマイザー、シート設定、照明、音楽などのシステムを統合的にコントロールし、 快適性を高めてくれる。

「リフレッシュ」や「バイタリティー」「トレーニング」の3プログラムから選択することが可能。まさに、乗員を元気づける(エナジャイジング)。

機能のひとつ「エナジャイジング コーチ」を使用すると、高度なアルゴリズムに基づき走行時間等を加味。
さらに、ガーミン製のスマートウォッチを装着した場合では、ドライバーのストレスレベルや睡眠の質などの個人データも活用し、運転手をサポートするモードを提案する先進機能もプラスされる。

また、シートクッションとバックレストのわずかな動きにより、着座姿勢の変更をサポートあする「エナジャイジングシートキネティクス」も装備した。

そして、今やお馴染みになってきたマルチメディアシステムは、自然対話式音声認識機能を備えた、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載。AIを使った学習機能が特徴で、特定ユーザーに適応する個別対応能力を備えている。

ボイスコントロールは「ハイ、メルセデス」で起動。
音声認識機能は多くのインフォテインメント機能(目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報)に加え、クライメートコントロール、各種ヒーター、照明など多様な便利機能にも対応している。
AIが学習するまで、しばらく慣れが必要だが、使い込むほど便利になる。

なんと700Nm!超大トルクを発揮する3.0Lディーゼルターボエンジン

新型GLSには、最高出力243kW(330ps)、最大トルク700N・mを誇る直列6気筒3.0Lのディーゼルエンジン「OM656」を搭載。メルセデス・ベンツの最新ディーゼル技術により、クリーンな排ガス性能をもつ。

ガソリンエンジンは、489psを発生する48Vマイルドハイブリッドを搭載したV8 4.0Lを搭載。この新型V型8気筒4.0Lの直噴ツインターボエンジン「M176」は、低負荷での走行の際に4気筒を休止する機能を備える低燃費化を図っている。

最高出力は360kW(489ps)、最大トルク700N・mを発生。エンジンとトランスミッションの間に配置された、最高出力16kW(22ps)、最大トルク250N・mを発生する電気モーターISGと、48ボルト電気システムによりエンジンをアシストし低燃費化している。

このISGによるメリットは、低燃費化だけでなく、エンジンスタートおよびアイドリングストップの際の再スタート時に、セルモーターがないので、キュルキュルといった音や振動が無いのが特徴。非常に静かで、快適性に優れている。

このパワーユニットに組み合わされているのは、9速ATの9G-TRONIC。4WD機能である新開発の4MATICを採用し、前後100-0%~0-100%の連続可変のトルク配分を行いオンロードとオフロード問わず高い走破性を備える。

また、オフロード走行も想定し、ローレンジギアを備える「Off-Roadエンジニアリングパッケージ」もオプション設定されている。

最上級SUVに相応しいオン、オフ問わない上質な乗り心地

新型GLSは、最上級SUVとしての価値を高めるため「ADS PLUS(アダプティブ・ダンピング・システム プラス)」を採用した。いわゆる高性能型のエアサスだ。
高度なセンサーシステムとアルゴリズムを用いて、減衰特性を路面の状態や走行条件に合わせリアルタイムに対応する。

オフロード機能には、脱出モードが設定。砂丘などでスタックして動けなくなった場合に、容易に抜け出せるよう支援してくれる。
サスペンションレベルを上下させる動作を自動で数回繰り返すことで、タイヤが地面に加える圧力を変化させる。トラクションを改善することでスタックからの脱出も可能だ。

また、カメラで路面を常に監視し、凹凸を検知する。そのデータを元に、凹凸の手前で即座にサスペンションが対応し、凹凸の大部分を吸収する「ロードサーフィススキャン」機能も装備されている。
こうした機能により、新型GLSはオン・オフ問わず、最高の乗り心地を提供している。

安全サポートも全車種標準装備

新型GLSには、SUV最上級モデルに相応しい最新世代の安全運転支援システムシステムが全モデルに標準装備した。
歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備などは、フラッグシップセダンであるSクラスに準じる。

機能強化として採用されたのは「アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付き)」。
この機能は、対向車線を横切って右折しようとするときに、対向車線を直進してくる車と衝突する危険がある場合、車速10km/h以内であれば一定の条件によって自動ブレーキが作動する。

また、「24時間緊急通報サービス」など安心のテレマティクスサービス「Mercedes me connect」は、最長10年間も無償で提供される。

こうしたサービスは、有償・無償があるが多く用意され、ユーザーの利便性や安全性をサポートしてくれる。詳細は以下の通り、

「安心安全サービス」
・24時間緊急通報サービス:事故検知時(エアバッグ、シートベルトテンショナー展開時)または車内にあるSOSボタン押下時に、コールセンターが消防に連絡する
・24時間故障通報サービス:ツーリングサポートが必要な際に、meボタンを 押下するとツーリングサポートセンターにつながる

「快適サービス」
・リモートドアロック&アンロック:スマートフォンの操作で車両ドアのロック、 アンロックができる
・リモート(車両)ステータス確認:車両の走行距離、燃料計、平均燃費等の 状態をアプリ等で確認できる
・駐車位置検索:駐車した車両の位置をアプリの地図上に表示する
・Send2Car: スマートフォンから、ナビゲ―ションの目的地を遠隔設定できる
・ナビゲーションサービス: 天気やガソリン価格情報を地図上に表示することや、USBオンデマンド地図更新を利用できる

「おもてなしサービス」
・メルセデス・ベンツ 24時間コンシェルジュサービス:車内から専用ボタンを 押すだけで専門のオペレーターが24時間365日対応する
・ 車載された通信モジュールを利用し、ナビゲーションの目的地を設定できる
・ レストランやホテルなどの検索や予約サポートする
・ メルセデス・ベンツ正規販売店を検索して案内する
・ 緊急時に病院を案内する

メルセデス・ベンツGLSの選び方、価格

新型メルセデス・ベンツGLSのグレードは、パワーユニットで2タイプに分類される。
ディーゼルのGLS 400 d 4MATICの価格は、12,630,000円。ガソリンのGLS 580 4MATIC スポーツは16,690,000円となる。
400万円以上の価格差となった。

約400万円の差は豪華装備と機能装備によるもの。
GLS400dは、特に不足している装備はないが、総じてシンプルな仕様だ。
対して、GLS580は至れり尽くせりといった豪華仕様。さらに、EアクティブボディコントロールやAMGスタイリングパッケージ、強化アンダーフロアパネルといった装備や機能がプラスされている。GLSのみ、さらに豪華なオプションの選択も可能。

グレードの選び方は、予算と好み次第だ。
強いて言うのであれば、両車とも燃料タンクは90L。燃費値は非公表だが、ディーゼルの方が当然燃費が良いため、航続距離が長くなる。
ロングドライブが多い人や、給油の回数を減らして時間を節約したいという人にはディーゼルがおすすめということになりそうだ。

新型メルセデス・ベンツGLS価格

・GLS 400 d 4MATIC:12,630,000円
・GLS 580 4MATIC スポーツ:16,690,000円