ホンダは、軽商用バンセグメントに、新型N-VANを投入し発売を開始した。
新型ホンダN-VANのプラットフォーム(車台)は、スーパーハイト系軽自動車であるN-BOXと同じものをベースに最適化し採用。乗用車をルーツとした軽バンだ。
- この記事の目次 CONTENTS
- 軽バン新型N-VANのコンセプトは「積む・運ぶ生活のために」
- N-BOXやエブリィよりも背が高い新型N-VAN
- FFベースによる荷室長の短さを補う方法とは?
- 大開口スペースとなる助手席ピラーレス構造を採用!
- 自分流の荷室にアレンジできる工夫も
- 趣味にも使える軽バンとしての価値もアピール
- 商用車なのに6MT? クラストップの燃費値を誇る
- ホンダセンシングを全車標準装備したN-VAN
- 新型ホンダN-VANの選び方
- ホンダN-VAN価格
軽バン新型N-VANのコンセプトは「積む・運ぶ生活のために」
新型N-VANの開発では、まず、実際に軽バンを使うユーザーの声を数多く聞くことから始まった。道具としていかに便利であるかが重視され、その結果を踏まえて、開発コンセプトを「積む・運ぶ生活のために」とした。
新型N-VAN 3つのテーマ
また、このコンセプトをベースとして、3つのテーマを決めた。
- 「積む」を思う存分にかなえる<使い切り空間>。広さをしっかりと確保したうえで、使い勝手をよくすること。
- 「運ぶ」をサポートする<スムーズな走りと低燃費>。燃費性能に優れ、荷物を積んでも安心の運動性能を有すること。
- 社会性も含めた<人へのやさしさ>。ドライバーをケアし、周囲への配慮もされていること。

こうしたシッカリとした考え方から生まれた軽バンが、新型ホンダN-VANなのだ。
N-BOXやエブリィよりも背が高い新型N-VAN
新型N-VANの特徴は、全高が高いこと。ボディサイズは、全長3395×全幅1475×全高1945㎜となった。ロールーフタイプの+STYLE COOLは、全高がやや低く、それでも1850㎜もある。スーパーハイト系の軽自動車であるN-BOXの全高が1790㎜。なんと、N-VANの全高はN-BOXより155㎜も高いのだ。

この全高の高さは、ライバル車を圧倒。ライバル車となる、スズキ エブリイより50㎜も全高が高い。新型N-VANの全高はクラストップ。当然、荷室高もクラストップになる。
FFベースによる荷室長の短さを補う方法とは?
新型N-VANが、ライバル車と大きく異なる点は駆動方式。新型N-VANは、N-BOXをベースとしていることもあり、FF(前輪駆動)となる。エンジンは、前方のボンネット下に配置される。
それに対して、ライバル車のエブリイやハイゼットなどは、フロントシート下などにエンジンを設置。後輪を駆動するFR(後輪駆動)になる。ボンネットが無い分だけ、荷室スペースは広くなる。こうしたこともあり、新型N-VANの荷室長は、ライバルより短い。これは、商用車として大きな弱点になる。
荷室長の短さを補うための策は高さの確保
しかし、新型N-VANは、こうした弱点を色々な工夫で克服している。まず、全高を高くして、クラストップの荷室高を確保。乗車系の低床プラットフォームなので、より低く使いやすい荷室を生み出した。
助手席をフルフラットにすることで積載効率をアップ

さらに、助手席と後席はダイブダウン式を採用。なんと、荷室から助手席までフラットで低床のフロアとすることができた。この機能により、通常時助手席は前後スライドさえもできない状態になるが、荷室スペース重視でかなり割り切った。助手席までフルフラットになるため、より多くの荷物が効率よく積載できるようになっている。
大開口スペースとなる助手席ピラーレス構造を採用!
新型N-VANの使い勝手の良さは、ライバル車を圧倒する。新型N-VANには、N-BOXには無い、助手席ピラーレス構造による大開口スペースが与えられた。
助手席ピラーレス構造は、ダイハツ タントのミラクオープンドアと基本的に同じ構造。この大開口スペースによる使い勝手の良さは抜群。長尺物や大きな荷物などを楽々出し入れできる。軽バン唯一の機能で、クラストップの使い勝手の良さを誇る。 助手席ピラーレス構造の採用により、ボディ各部に補強が入った。より強度の高いハイテン材を広範囲に採用するなど、シーム溶接や高粘度接着剤による連続接合も積極的に取り入れ、軽量・高剛性ボディを実現。この高剛性ボディは、しっかりとした走りにも貢献している。
ボディもより剛性に

助手席ピラーレス構造の採用により、ボディ各部に補強が入った。より強度の高いハイテン材を広範囲に採用するなど、シーム溶接や高粘度接着剤による連続接合も積極的に取り入れ、軽量・高剛性ボディを実現。この高剛性ボディは、しっかりとした走りにも貢献している。
自分流の荷室にアレンジできる工夫も
こうした使い勝手の良さに加え、荷室をより自分流にアレンジできるようにできるユーティリティーナットも装備。ユーティリティナットを使い、両サイドにバーやボードを取り付けるなどの空間カスタマイズモデルができる。積む荷物にあった荷室が自分で作ることができるようになる。

また、荷物の固定は重要。そこで、タイダウンフックを標準装備。助手席の足元や荷室の四隅など計8箇所に配置した。その他、最近では車内でPCやタブレット、スマートフォンを使い仕事をするケースも多い。そのため、充電できるUSBジャックや充電コードなどを収納できるポケットなども設置し利便性を高めている。
趣味にも使える軽バンとしての価値もアピール
新型N-VANは、仕事用に使う便利なクルマとしての価値だけでなく、優れた積載性を生かし、より便利に趣味を楽しむためのクルマとしての価値も提案している。

仕事仕様といえるグレードがGとL。その他に、仕事や趣味にも使えるグレード+STYLEが設定された。+STYLEには、FUNと呼ばれるハイルーフタイプと、ロールーフのCOOLを設定。

注目は、FUNで商用車としては贅沢なLEDヘッドライトを装備。このLEDヘッドライトは、丸型で愛嬌のある顔を生み出しており、商用車にしては、なかなか愛らしいデザインになっている。デザイン面ですべてのグレードに共通するのは、ボディサイドに入ったジュラルミンのスーツケースをモチーフにした3本のビードだ。独特の存在感を放っている
商用車なのに6MT? クラストップの燃費値を誇る
新型N-VANに搭載されるエンジンは2タイプ。GとLグレードには、660㏄自然吸気エンジンのみの設定。+STYLE(FUN / COOL)には、ターボエンジンも設定された。
新型N-VANのエンジンは、2代目N-BOXで新開発した高効率エンジンを商用ユースに最適化した。低速から高トルクを発生し、街中での乗りやすさと低燃費性能を両立。従来の軽バンは、燃費が物足りないという顧客の声に応え新型N-VANの燃費性能は、JC08モードで23.8㎞/Lを達成。ターボ車は、自然吸気に匹敵する23.6㎞/Lという低燃費となった。この燃費値はクラストップといえるものだ。
S660をベースにした6MT

出力は自然吸気エンジンが53ps&64Nm。ターボエンジンで64ps&104Nmとなった。自然吸気エンジン、ターボエンジンともに、ミッションはCVTが設定された。自然吸気エンジンには、なんとクラス唯一となる6MTが装備されている。この6MTは、スポーツカーであるS660をベースとしたもの。6速ギヤは、やや高めの変速比として、高速クルージング時の静粛性と低燃費化に貢献している。
ホンダセンシングを全車標準装備したN-VAN
新型N-VANには、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備であるホンダセンシングが全車に標準装備され、軽バンでありながら優れた安全性能を誇る。予防安全性能では、クラストップだ。ホンダセンシングには、誤発進抑制機能や車線維持支援、先行車追従クルーズコントロールなどが装備されている。
軽バンは仕事で毎日のように使われるクルマだ。仕事中に事故を起こすことなどあってはならない。それだけに、予防安全装備を標準装備化したことは高く評価できる。
残念なのは安全装備をレスオプション設定したこと

だが、ここまで予防安全装備を積極的に装備し安全をアピールしながら、なんと予防安全装備のレスオプションを設定しているのだ。
クルマは扱い方を間違うと、人を殺すことがある道具である。今ではこうしたリスクを大幅に下げることができる予防安全装備が安価で装備できる。人を殺すことがある商品を売るメーカーは、こうした装備を積極的に標準装備化し交通死亡事故を減らす社会的責任がある。自ら標準装備化しながら、レスオプションを設定するという姿勢は、交通死亡事故に対してどう向き合っているのか、企業の安全に対する本音が見え隠れする部分でもある。
しかも、ホンダは、安全思想としてセーフティ フォー エブリワンを掲げている。レスオプションという設定は、ホンダ自らが決めた安全思想に合致していない。
新型ホンダN-VANの選び方
新型ホンダN-VANの選び方。新型N-VANは、まず自らの使い方を明確にするといい。とにかく、仕事オンリーでプライベートは別、オシャレな雰囲気など必要無く機能性重視、というのであればGかLグレードになる。グレード間の価格差は、約7万円。今時、充電用USBジャックくらいは欲しい装備なので、Lをベースに考えるといいだろう。
仕事でもオシャレに見せたい、プライベートでも使いたいなら+STYLEのFUN
仕事のイメージ的にもオシャレに見せたい、また、仕事とプライベートでも使いたい、趣味で積載能力の高いクルマが必要、というのであれば、+STYLEのFUNがお勧め。
COOLという選択もあるが、クラストップの荷室高が新型N-VANの魅力のひとつ。あえて全高を低くしたCOOLは、よほどの理由が無い限り選び理由がないだろう。
FUNになると、自然吸気かターボかというエンジンの選択がある。価格差は約11万円。新型N-VANは、車重が重く自然吸気エンジンではやや非力感がある。とくに、多くの荷物を積んでロングドライブにも使いたいというのであれば、パワフルなターボ車がより。
ホンダN-VAN価格
新型N-VANの価格は以下の通り。

グレード | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|
G Honda SENSING | FF | 1,267,920円 |
G Honda SENSING | 4WD | 1,377,000円 |
L Honda SENSING | FF | 1,341,360円 |
L Honda SENSING | 4WD | 1,450,440円 |
N-VAN +STYLE
グレード | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|
FUN Honda SENSING | FF | 1,560,600円 |
FUN Honda SENSING | 4WD | 1,691,280円 |
FUN ターボHonda SENSING | FF | 1,668,600円 |
FUN ターボHonda SENSING | 4WD | 1,799,280円 |
COOL Honda SENSING | FF | 1,560,600円 |
COOL Honda SENSING | 4WD | 1,691,280円 |
COOL ターボHonda SENSING | FF | 1,668,600円 |
COOL ターボHonda SENSING | 4WD | 1,799,280円 |