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「みんなの街のはたらくくるま」第11回 スバル サンバートラック(KT1型)軽トラック


わたしたちの生活を支えている「はたらくくるま」にスポットを当ててイラストとともにご紹介するこのコーナー。第11回は、大都会でも山奥でも離島でも、日本全国の隅から隅までお仕事で走りぬく「軽トラック」スバル サンバートラック(KT1型)お送りいたします。


◆日本の自動車社会を支える「軽」


戦後1949年に、経済成長を進めるために安価なクルマを手軽に普及させるべく成立した「軽自動車」という規格は日本車特有のカテゴリーであることはみなさんご存知の通りです。

税制上では金額面で優遇されている一方で排気量と車体サイズに制限が設けられていますが、排気量の小ささは燃費の良さにつながり、低価格を実現させるための少ない部品数や合理的設計による構造のシンプルさは故障の少なさを生むことが可能となりました。

高度成長期のみならず、現在でも軽自動車は日本の自動車社会に大きな役割を示す、重要なクルマであり続けています。

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1950年代~1970年代の高度成長期ではまだまだマイカーを持つ人も少なく、クルマの販売の主力は商用車でした。軽自動車もその限りではなく、商用車である軽バン・軽トラックは各メーカーともにラインナップし、販売していました。

戦後の軽三輪トラック(オート三輪)から四輪となって社会生活に必要な様々な物資を運んで来た軽商用車は、コンパクトな車体のメリット活かして道路が狭い街などでもどんどん入って行けました。

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とくに軽トラックは、農業が盛んな我が国ではとても重要な役割を果たしました。家から畑、田んぼまで道具や稲、苗、収穫物などを運ぶために最適な乗り物なのです。それは、2016年になった現在でも変わることはありません。いまなお、農業に軽トラックはなくてはならない大切なアイテムのひとつなのです。


◆スバル独自設計のRR軽トラ


copyright_izuru_endo_2017_w011_subaru_sambar_1280_1012(クリックで拡大)その代表として、1961年にスバル360をベースに登場した軽商用車「サンバー」をイラストにすることにしました。リアエンジン・リアドライブ(RR)だったスバル360と同じく、サンバーもリアにエンジンを備えていました。サンバーは現在ダイハツ・ハイゼットのOEM車となりましたが、それまでスバルが独自設計・生産していたサンバーはすべてこのRRレイアウトだったのです。

レガシィやインプレッサが有名なスバルですが、かたくなにRRレイアウトを守り続けたサンバーもまた、スバルらしい車種といえます。

その中から、2気筒エンジン最後の世代だった4代目の「営農(えいのう)サンバー4WD(初期形)」を絵の題材に選んでみました。営農サンバーは農協(現JA)専売車でした。軽トラックと農業との強い関わりを感じさせますよね。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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