フィアット500は、デビューから9年の超ロングライフ車! その魅力は?


フィアット500フィアット は、コンパクトカー の500(チンクエチェント) に、限定車「フィアット500 MareBlu(マーレブル)」を設定し、計100台の限定として発売を開始した。

フィアット500の歴史


フィアット500は、2008年に登場しすでに9年が経過したモデルだ。先代の500は、今でも世界中に多くの愛好者がいる。現行の500は、その先代500をモチーフにしてデビュー。先代500のデビューから約50年後に合わせ登場した。日本において、先代500はアニメのルパン3世が愛車として使っていたこともあり、車名こそ知らないものの多くの人に馴染み深いモデルでもある。

古臭く見えず、愛され続けるデザイン


デザインは、先代500をオマージュし現代風にアレンジされている。共通するのは、鉄の塊であるクルマが、まるで生き物であるかのように、さらに愛くるしさを感じさせるデザインであることだ。こうしたデザイン力は、フィアットならではのもの。現行500は、すでにデビューから9年が経過。普通なら古臭く見えるはずだ。しかし、先代500もそうだったように、現行500も長い時間が経過しても古臭く見えない。愛され続けるデザインは、劣化しないのだろう。

フィアット500さらに、500にはルーフのソフトトップが開閉できる500Cも用意されている。このモデルは、500のデザインに加え爽快感もプラスしたモデル。500の魅力をより引き出した個性派だ。

可愛いだけじゃない、マニアのハートをつかむ走り


デザイン力だけではない。走ることが好きなクルマ好きのマインドも、しっかりと刺激する。2011年には、世界的にも例をみない875㏄直列2気筒ターボというエンジンを搭載したツインエアと呼ばれるグレードを投入。

このエンジンは、ユニークという言葉だけでは表現できないくらいだ。そのフィーリングは、今時のクルマとは思えないくらいの強烈な振動を伴う。アクセルを踏んでいくと、やや振動は減るものの力強く加速する。快適性とは無縁だが、フィアットのコンパクトカーらしい元気の良さを十分に感じさせてくれる。このいかにも走っている感があるフィーリングに多くのクルマ好きに評価されている。ある意味、マニアに支持されているのだが、こうしたマニアのハートも射抜いているのが現行500の魅力でもある。恐らく、このエンジンは、500との組み合わせでないと成立しないくらいイレギュラーなクルマといえるだろう。

販売面でも色々な工夫が施されている。いつでも新鮮に見えるように、そして話題喚起を図るため季節などに応じて定期的に特別仕様車や限定車が出る。こうした活動もフィアット500のロングライフを支えている。また、500にはハイパフォーマンスモデルであるアバルトも存在。より高い走りの質を求める顧客に対応。よりブランド力も強化された。
 

ポップな500ではなく、大人ラグジュアリーな限定車で500の魅力を訴求


フィアット500今回投入された限定車「フィアット500マーレブル」は、現在、カタログモデルでは設定していない「1.2ラウンジ」をベースとした。。この1.2ラウンジは、以前設定されていたグレードで1.2POPよりも上級グレードとして設定されていたものだ。

外装・ボディカラー


車名となった「マーレブル」とは、イタリア語で「青い海」を意味している。これは、ボディに設定した新色(限定車専用色)のエピックブルー(ダークブルー)のイメージを連想させるものだ。インパネの塗装色もボディ同色としコーディネートされた。500は女性に人気の高いコンパクトカー。女性の多くは、ボディカラーにこだわるケースが多い。そのため、魅力的なボディカラーの設定はとても重要だ。また、外観では15インチのアロイホイールなどの特別装備された。

インテリアのレザーシートはイタリアのラグジュアリー家具ブランド


そして、注目はやはりインテリア。女性ユーザーのハートを刺激する装備がブラウンのレザーシートだ。イタリアのラグジュアリー家具ブランド「ポルトローナ・フラウ」のレザーを使用。上質なレザーを使うことで、ソファのような座り心地を提供。

500は、どちらかというと、ポップでカジュアルな印象が強い特別仕様車が多かった。こうした仕様は、500のキャラクターととても合っていた。だが、
今回投入された限定車マーレブルは、シックでラグジュアリー感ある大人のコンパクトカーといった仕上がりで、ちょっと落ち着いた大人の女性に似合いそうな仕様となっている。

燃費と実用性はフィアット500に求めるなかれ


限定車フィアット500マーレブルの価格は2,386,800円。Bセグメントの国産コンパクトと比べると、超低燃費のハイブリッド車が買える価格帯となる。500の燃費性能は19.4km/Lと、もはや一世代前のクルマといえる燃費値だ。その上、ハイオクガソリン使用。自動ブレーキなどの先進予防安全装備も用意されていない。500は、最新のコンパクトカーに求められているクルマとしての基本性能とは大きくかけ離れた状態だ。その上、価格も高い。

実用面という視点で見ると、500は購入リストに入ることのできないクルマであることは確実だ。ただ、クルマ選びは、何も性能ばかりがすべてではない。他のコンパクトカーとは一線を画す内外装は、非常に魅力的で捨てがたいものだ。クルマを生活の足とした考え方ではなく、好きなものと日々の暮らし、生活に潤いを与えたいと考える人に向くのが、このフィアット500といえるだろう。ただし、500は機能面での進化が止まっているのは事実。フィアットは、機能面でも進化させる必要はある。

フィアット500マーレブル価格

フィアット500マーレブル 価格:2,386,800円
ボディカラー:エピックブルー(新色、限定車専用)

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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