スズキワゴンRスズキは、主力軽自動車であるワゴンR/ワゴンRスティングレーをフルモデルチェンジし発売を開始した。






  1. 目次
  2. ■ スズキワゴンRはどんな車?
  3. ■ 新型ワゴンRの外装・内装
  4. ■ 新型ワゴンRの性能
  5. ■ 新型スズキ ワゴンRの選び方。お勧めは?
  6. ■ スズキ ワゴンR価格
  7. ■ スズキ ワゴンRスティングレー価格


スズキ ワゴンRはどんな車?


ワゴンRは、今回のモデルチェンジで6代目。スズキにとって、歴史あるモデルだ。先代5代目スズキ ワゴンRは、2012年にデビューした。この5代目ワゴンRとライバルであるダイハツ ムーヴは、熾烈な燃費戦争を繰り広げた。デビュー時から、ムーヴと競い合いながら徐々に燃費を向上。0.2㎞/Lと微妙な燃費アップを何度も繰り広げていく。

■ワゴンRの歴史

そして、ワゴンRは2014年のマイナーチェンジで、軽自動車初となるマイルドハイブリッドシステムを搭載した。マイルドハイブリッドシステムの搭載により、燃費は32.4㎞/Lと飛躍的に向上した。ライバルのムーヴは、価格優先としハイブリッドモデルを投入しなかった。これで、ワゴンR VS ムーヴの燃費戦争は、スズキの勝利となった。しかし、スズキは燃費向上を続け、最終的に33.0㎞/Lまで燃費を向上させたのだ。

■予定より、大幅に遅れたフルモデルチェンジ! その理由とは、あの事件?

そんなワゴンRだったが、フルモデルチェンジが大きく遅れ、6代目ワゴンRの登場は2017年2月となる。従来通りなら、2016年の9月頃にはフルモデルチェンジしている予定だったのだ。約5ヶ月も遅れて登場したのは、訳がある。それは、2016年に三菱と同様にスズキにも燃費不正問題が発覚したからだ。こうした事件を起こしてしまったことから、国交省の影響もあり約5ヶ月後れのフルモデルチェンジになり、2017年1~3月の繁忙期に遅れて登場することとなった。


新型ワゴンRの外装・内装

スズキワゴンR新型ワゴンRのデザインは、なんと3つの顔が用意された。

■新型ワゴンRは、個性的な3つの顔をラインアップ!

まず、新型ワゴンR FA、HYBRID FXは、先代ワゴンRの面影を若干残しており、女性でも乗れるやや優しい顔をしている。四角をモチーフとしたデザインを採用。ヘッドライトやグリル、バンパー下の開口部などが四角いデザインとされているのが特徴だ。

上級グレードとなるHYBRID FZは、標準車とは異なるデザインで差別化された。先代のFZは、やや高価でありながら、デザイン的にも差別化されておらず販売面で苦戦を強いられたことに対する対応とみられる。デザインは、かなり強面迫力系になった。トヨタ ヴェルファイアのようなデザインと共通性を感じさせる。ヘッドライトは、贅沢なLEDヘッドランプが採用され、夜でもひと目でワゴンRと分かる。

ワゴンRスティングレーは、縦型のヘッドライトに大きなグリルの組み合わせた個性的なデザインとなった。こうしたデザインは、アメリカの高級車キャデラック系のデザインによく似ている。ボディー後方に向かって延びるLEDヘッドランプ、大きな開口部が特徴的な専用フロントバンパーが採用された。どこかで見たようなデザインとはいえ、なかなかスタイリッシュにまとめられている。破綻した迫力系デザインが多い中、よくまとまっているデザインと言えるだろう。

■なぜ、3つも顔を用意したのか?

スズキワゴンR従来のワゴンRは、標準車とスティングレーの2タイプだったが、なぜ新型ワゴンRは3つもの顔をラインアップしたのだろうか。これは、ダイハツの動向が大きく影響している。ダイハツは、ムーヴ系が5タイプ、ムーヴをベースとしたキャストが3タイプとこのクラスに計8タイプの車種をラインアップしている。新型ワゴンRが3タイプ用意されたとはいえ、ハスラーを入れて4タイプにしかないのが現状だ。ダイハツは、趣向を変えたより多くの車種で顧客ニーズの多様化に対応。それぞれのクルマが食い合いすることは十分に理解しており、たとえ食い合いしても総台数が多くなればいいという方向性を示している。そうした流れの中では、ワゴンR系の選択肢は少ないといえ、販売面では苦戦することは必至だろう。

また、先代ワゴンRは、デザインがおとなし過ぎて、販売面で厳しかったようだ。最近では、ハスラーのようにデザイン性を重視する顧客層と、デザイン性よりとにかく強面迫力系デザインを好む顧客層とで大きく方向性が分かれている。デザインで振り切った方向性が示されなければ、クルマが売れないという状況だ。新型ワゴンRが、強面迫力系デザインを重視したのは、こうしたマーケットの傾向に対応したともいえる。

ただ、新型ワゴンRのデザインは、まだ上品さを捨てきれていない印象がある。もう少し、下品に見えるくらいがちょうどいいのかもしれない。今後、販売面で注目したいポイントだ。

■内装はワンパターンのデザイン展開

3つの顔が用意された新型ワゴンRだが、インテリアのデザインは基本的に1種類となった。各モデルで細かな部分を変更し、外観デザインと合わせている。インパネデザインは、センターメーターを採用。水平基調のデザインとした。

 

新型ワゴンRの性能

スズキワゴンR

ワゴンRの属するハイト系ワゴンは、室内の広さや使い勝手、燃費、価格といった総合性能が問われる。そのため、先代ワゴンRの室内の広さや使い勝手は、なかなか優れていた。

■新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」採用で、さらに広くなった室内

今回のフルモデルチェンジでは、新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」が採用され、ホイールベースが2,460mm(先代モデル+35mm)となった。ホイールベースの長さは、室内の広さに生かされ、室内長は2,450mmとなり、このクラスでトップとなる室内空間を実現している。

使い勝手面では、乗降性を向上。前席のヒップポイントの高さを見直して、よりスムーズに乗り降りできるようにしている。軽自動車は、高齢者などが乗るケースも多いので、より扱いやすいクルマとなった。

もはや、ここまで便利にするのか! と思わせるような装備が追加された。軽自動車初となる後席ドア両側の内側にアンブレラホルダーを採用。傘についた雨水を車外に排出できるため、濡れたままでも傘を収納できる。こうした装備は、もはや高級車をも凌ぐものだ。

また、カーコネクティッド機能も強化された。スマートフォンと連携したサービスが利用可能なApple CarPlayやAndoroid AutoTM、より高精度の渋滞回避案内等が可能となるVICS WIDEに対応している。

 

■アイドリングストップ機能無しグレードも! 問われるスズキの環境問題への取り組み

スズキワゴンR新型ワゴンRには、3つのエンジンが用意された。メインとなるのは、660㏄直3エンジンとマイルドハイブリッドシステムが加えられたもの。燃費は33.4㎞/Lを達成。ムーヴが31.0㎞/Lなので、大きな差を付けクラストップの燃費性能となった。さらに、スティングレーには、このエンジンにターボを搭載したモデルが用意され、こちらは28.4㎞/Lという燃費値となり、ライバル車であるムーヴカスタムRSの27.4㎞/Lを上回る。

こうした優れた燃費値を誇る新型ワゴンRだが、大きな問題点もある。価格設定が安価なFA、Lグレード車には、マイルドハイブリッドシステムが搭載されないだけでなく、なんとアイドリングストップ機能さえない。全世界的にCO2排出量減は、先進国が重視しなくてはならない重要な課題だ。このした設定は、スズキの環境問題に対する企業の本音が明確に出てしまった。販売台数がアップすれば、環境問題など関係ない。低燃費性能を追求するのは儲けるためだけ。と、いった印象が非常に強いメッセージとして残ってしまった。こうした仕様は、スズキに対するマイナスのイメージを醸成するだけだ。メインで売れるのは、マイルドハイブリッドシステム搭載車だから大きな問題ではないという意見もある。しかし、こうしたグレードがいずれ大量に自社登録され、未使用車となり大量に流通するのだから大きな問題だ。

 

■安全装備に関しては、さらに進化したものの物足りない仕様も

スズキワゴンR安全装備も大幅に進化した。従来の対車両のみ低速域だけの自動ブレーキから、スズキの軽自動車に初採用となる歩行者検知式自動ブレーキであるデュアルセンサーブレーキサポートが用意された。この自動ブレーキは、単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減システム。誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能と、ヘッドランプのハイビーム/ロービームを自動で切り替えるハイビームアシスト機能(スズキ軽自動車初)がある。

スズキだけの問題ではないが、多機能で交通死亡事故減に貢献できる高い安全装備ながら、ほぼオプション設定になっている上に、エントリーグレードであるFAには装備することもできないという状況。こうした仕様を用意することで、スズキは安全装備に関して積極的ではない会社というイメージが強くなる。軽自動車は、高齢者や初心者などが多く使うカテゴリーだけに、こうした安全装備は標準装備化を進めていくべきだ。

さらに、困ったことにスズキは安全装備では儲からないと考えているようで、新型ワゴンRになっても、サイドエアバックやカーテンエアバッグは設定もほぼされていない状態だ。対して、ライバルのムーヴには、グレードによってオプション装着が可能になっている。

 

新型スズキ ワゴンRの選び方。お勧めはワゴンRスティングレーHYBRID T!


スズキワゴンR新型ワゴンRのグレード選びは難しい。それは、外観デザインで選ぶとグレードが決まるからだ。まず、標準車のデザインを選ぶとHYBRID FXかFAしか選べない。まず、FAはアイドリングストップも自動ブレーキも無いので、購入リストから外れる。実質、標準車はHYBRID FXのみしか選べない。価格は1,177,200円と、なかなかリーズナブル。これに自動ブレーキなどがセットになったセーフティパッケージ(96,120円)を装備すれば、十分な仕様となる。価格優先なら、このモデルだろう。

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そして、強面迫力系デザインとなったHYBRID FZは、マイルドハイブリッド機能を搭載したモデル1グレードのみ。これに、セーフティパッケージ(59,400円)を装備したい。こちらは、標準車の顔では満足できない人向け。主に男性向けとなるだろう。

新型ワゴンRスティングレーになると、3つのグレードが用意される。しかし、Lグレードはアイドリングストップも自動ブレーキも無いので、選ぶべきグレードではない。そうなると、実質ターボ車かハイブリッド車の2択になる。両車とも装備は比較的充実している。安全装備や力強い走りと低燃費という総合性能が高いのが、ターボモデルのHYBRID Tだ。デュアルセンサーブレーキサポートやサイドエアバッグ、カーテンエアバッグまで標準装備化され高く評価できるグレードになっている。価格は1,658,880円とやや高価だが、価値ある1台といえるだろう。予算が許せば、このモデルがお勧めだ。

ワゴンRスティングレーの自然吸気エンジンを搭載したHYBRID X(1,488,240円)は、デュアルセンサーブレーキサポートは標準装備化されているもののサイドエアバッグ、カーテンエアバッグは設定がされていない。せめて、オプション装着できる設定であってほしいところだ。

スティングレーは、他社のカスタム系と同じで、ワゴンRのグレードの中ではリセールバリューも高い傾向にある。5年以内に乗り換える可能性が高いのであれば、リセールバリューも高いので多少高価でもスティングレーを選んでおいた方が満足度は高い。

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スズキ ワゴンR価格


・FA 2WD 1,078,920円/4WD 1,202,040円
・HYBRID FX 2WD 1,177,200円/4WD 1,298,160円
・HYBRID FZ 2WD 1,350,000円/4WD 1,470,960円

スズキ ワゴンRスティングレー価格


・L 2WD 1,293,840円/4WD 1,414,800円
・HYBRID X 2WD 1,488,240円/4WD 1,609,200円
・HYBRID T 2WD 1,658,880円/4WD 1,779,840円