東京ビッグサイトにて開催された第44回東京モーターショー2015は、「きっと、あなたのココロが走り出す」(“Your heart will race.”)をテーマに、心躍る世界一の“テクノロジー・ショーケース”を目指して開かれました。

国内外の多数の自動車メーカー・ブランドが出展しましたが、来場者の注目を集めたのは、最新テクノロジーを駆使した自動運転車とエコカー(環境対応車)でした。
「自動運転」と「環境性能」は今回の東京モーターショーの2代テーマとも言えるもので、各メーカーは競うように自動運転車やエコカーを出展しました。

今回はその2つのうち、社会的にも大きな関心事である「エコ・環境」に対する各自動車メーカーの取り組みについてご紹介したいと思います。


クリーンな社会を実現するエコカーの次世代モデル

img10_6【ホンダ】

来年3月に発売予定のFCV(燃料電池自動車)・「CLARITY FUEL CELL」を世界初公開。
化石燃料の枯渇や地球温暖化といった問題の解決へ向け水素にいち早く着目したホンダは、30年ほど前からCO2や排出ガスを一切出さない究極のエコカーであるFCVの研究に取り組んできました。

今回披露したCLARITY FUEL CELLは70MPaの高圧水素貯蔵タンクを搭載し、水素燃料をフル充填した場合の航続距離は700Km以上というFCVトップクラスの数値を実現。
外部給電器との接続により、非常時には一般家庭における1日の平均消費電力量の7日分の電力を供給することができます。

このようなFCVを中心に「つくる・つかう・つながる」のコンセプトのもと、ホンダは水素エネルギー社会実現向けてチャレンジしていくといいます。

【トヨタ】

日本でクリーンディーゼルに力を入れているのがトヨタです。
約8年ぶりに復活したクリーンディーゼル搭載車『ランドクルーザー プラド』は、世界で最も厳しいとされる日本の排出ガス基準をクリアし、パワフルな動力性能でありながら、尿素SCRの採用によって最新の規制に適合する低排出ガス化を実現し、強力なパワーと環境性能を両立させました。

また、東京モーターショーで大きな注目を集めたのは、圧倒的な環境性能と使いやすさを実現したトヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」でした。
クルマ社会の明るい未来を思い、環境・安全分野を中心に研究を続けていくというトヨタの今後に大いに期待したいところです。

【日産】

環境に優しく、快適なカーライフを追求する日産は、国内メーカーでは積極的にEV(電気自動車)戦略を推し進めていますが、東京モーターショーでも走行中に一切排出ガスを出さない地球環境にやさしいEV「リーフ」や軽自動車EV「テアトロ for デイズ」を出展。

リーフはリチウムイオンの改良で、フル充電時の航続距離を280kmにまで拡大するなど、エコであることを一番に考えながらもクルマに乗る楽しさも追及しています。

【マツダ】

トヨタと並んで国内の自動車メーカーの中で特にディーゼルエンジンの可能性に着目してきたのがマツダです。
マツダは世界最高の燃費水準と環境性能を持つディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」を2012年に商品化し、「アテンザ」や「CX-5」に搭載。ゼロエミッションの実現に向けたディーゼルエンジン車の普及に大きく貢献しています。

【日野自動車】

日野自動車のブースで注目を集めたのは、水素で走る燃料電池バス。
水素タンクの水素と空気中の酸素を化学反応させて発電した電気によってモーターを動かして走る燃料電池バスは、未来の水素社会実現に貢献する運送手段。

「夢をはこぶ。夢をとどける。」をビジョンに掲げる日野自動車は、トヨタと協力して究極の低公害車である燃料電池バスの市場導入に向けて技術開発を推し進めています。


海外勢はクリーンディーゼルが熱い!

環境問題に積極的なヨーロッパでは、クリーンディーゼル車の人気が極めて高く、クルマの2台に1台はクリーンディーゼル車と言われるほどです。
ボルボ・カー・ジャパンが今後販売されるボルボ車のラインナップのほとんどをディーゼル中心にすると宣言したことは記憶に新しいところですが、東京モーターショーにおいても、プジョー、メルセデスベンツを中心に国内導入予定のクリーンディーゼル車が多数出展されました。

中でも最近特に環境性能の追及が目立つBMWが大きな注目を集めました。
BMWが持つ「ダイナミックな走り」や「高級車ブランド」というイメージに「エコなクルマ」という新たな価値が加わることで新規ユーザーを獲得する狙いがあるようです。


クルマの環境技術が一層進化している自動車業界において、いま注目されているFCV(燃料電池車)ですが、東京モーターショーでも出展しているブースはあるものの、実用化はまだ少し先のことになると思われます。
今後暫くはEV、HV、PHVあたりがエコカーの主流として活躍するでしょう。
国内外を問わず、メーカー間での次世代を見据えたエコカー競争は激しさを増す一方です。何年も経たないうちに最先端の技術を駆使した驚きのエコカーがまたすぐに登場することでしょう。