エントリグレードとなるR200tだが、RC350より価値がある!


レクサスRCレクサスは、クーペのRCに2.0L直噴ダウンサイジングターボエンジンを搭載したRC200tを新設定し発売を開始した。

レクサスRC は、2014年10月に日本デビューし、レクサスブランド唯一のクーペモデル。「エモーショナルな走り」のイメージをけん引するFRクーペとして登場した。

エクステリアは、レクサスの象徴と言えるスピンドルグリルが特徴的で、クーペらいしワイド&ローフォルムをもつ。デザインテーマは「アヴァンギャルド・クーペ」。ダイナミックでありながら流麗なシルエットとしている。

デビュー直後のRCには、V6の3.5Lエンジンを搭載したRC350、そして2.5Lハイブリッド システムを搭載したRC300hが用意された。RC300hの燃費は23.2㎞/L。このクラスのクーペでは世界トップレベルの低燃費性能を誇るモデルだ。また、同時にハイパフォーマンスモデルであり、V8 5.0Lエンジンを搭載し477psを発揮するRC Fも同時にデビューした。RC Fは、先代のIS Fに置き換わるモデルとして導入されている。

なかなか魅力的なクーペなのだが、日本国内ではあまり需要が無い。そのためRCそのものも販売台数は期待されていない。デビュー時の月間販売目標は、なんと80台! ほとんど売るつもりもないような数字だ。 国内では、ほとんど期待されていないクーペともいえる状況だ。レクサスは、グローバルな高級車ブランドであるものの、最も重要視しているのは北米マーケット。元々、北米からスタートしたブランドだけに、プロダクトも北米向けに作られている。

その典型例ともいえるのが、3.5Lのガソリンエンジンだ。このエンジンは、今でもなかなかパワフルでスムースなエンジン。しかし、ほとんど進化させることなく放置されてきたことから、燃費が悪い。北米で日本車の大きなメリットのひとつは低燃費性能だった。しかし、欧州のライバル車がドントンとダウンサイジングターボエンジンを搭載し低燃費を図る中、RC350は完全に出遅れた形になった。今時ダウンサイジングターボでなく、さらにアイドリングストップすらしない状況では、ガソリンが安いアメリカでしか売れないようなパワーユニットだ。つまり、日本だけでなく欧州でも売りにくいクルマとなっている。

レクサスRCそうしたこともあり、日本マーケットでの売れ筋は、ハイブリッドの300hとなる。こちらは、システム出力220psで燃費は23.2㎞/Lという優れた数値をアピール。燃費と走りを両立した世界でもユニークなクーペとして際立つ存在となり、RCシリーズのほとんどが300hという状況。よく、リッチ層が買うクルマなので燃費なんて関係ない、そんな風に語る人がいるが大きな間違いだ。リッチ層だからこそ、一世代前のエンジンで燃費の悪いのであれば非効率と判断する。

そうは言っても、既存のガソリン車がもつフィーリングが好きと言う顧客も多い。欧州やアメリカでは、ハイブリッド車のフィーリングが嫌いという顧客も多く、燃費の良いダウンサイジングターボの登場が望まれていた。そこで、ようやく搭載されたのが8AR-FTS型の2.0L直噴ターボエンジンだ。

このエンジンは、すでに発売済みのSUV、NX200tに搭載されていたものを縦置きにし、さらにチューニングを変更されている。エンジンのスペックは245ps/5,800rpm、350Nm/1,650~4,400rpm。NX200tのスペックが238ps/4,800~5,600rpm、350Nm/1,650~4,000rpmと若干異なるスペックになっている。RC専用にチューニングされているのが分かる。スペックは、すでに搭載済みのセダンであるIS200tと同じだ。クラウン用は、ややパワーが下がり、若干異なるチューニングが施されている。

レクサスRC200tの燃費は、2.0Lターボエンジンの搭載で13.0㎞/Lになった。この燃費により、RC200tはエコカー減税対象車となった。RC350はエコカー減税に対応していない。今時、エコカー減税に対応していないクルマは選びにくい。

このRC200tは、走行性能への期待値が高いクルマだ。そのため、レクサスの走りの象徴ともいえるグレード“F SPORT”には、後輪左右の駆動トルクを適切に配分し、高い走破性と優れた操縦安定性を実現するトルセンLSDならびに“F SPORT”専用オレンジブレーキキャリパー(フロント・リヤ/フロントLEXUSロゴ)がオプション設定されている。

安全装備面では、自動ブレーキ関連の安全装備がまったく用意されていない状況。これは、欧州のライバルに対しても負けている。この部分では、軽自動車より遅れている。RCの買い時は自動ブレーキ関連の安全装備が用意されてからだろう。

そして、価格面。レクサスRC200tの価格は5,210,000円からとなっている。RCのグレード中、最も廉価なグレードだ。RC350の価格が5,960,000円なので、価格差は75万円。最大トルク値の差は30NmでRC350が勝る。燃費値の差は3.0㎞/L、RC200tが勝る。古いエンジンの方が高いという価格設定に少々驚くがものの、RC350と同等以上のパフォーマンスをもつRC200tの買い得感が際立っていることは確かだ。また、ハイブリッドの300hと比べると44万円安い。この価格帯のクルマで、この価格差なら、ほとんどどちらが好きかで選ぶといいだろう。

リセールバリュー面では、やはりハイブリッドのRC300hが優位になる。グレード的には、やはりスポーティなF SPORTを選択したほうがいいだろう。

レクサスRC200t価格


・RC200t 5,210,000円
・RC200t version L 5,850,000円
・RC200t F SPORT 5,830,000円