トヨタ ランドクルーザー

<ラグジュアリー感を大幅にアップした内外装。そして、ようやくトヨタの自動ブレーキ セーフティセンスPが標準装備!>

トヨタランドクルーザートヨタは、トヨタブランドのフラッグシップ4WDであるランドクルーザーをマイナーチェンジし発売を開始した。

トヨタ ランドクルーザーは、一見、今時のSUV風に見えなくもないが、かなり本格派4WDだ。デビューは、2007年9月。その後、2011年に1度目のマイナーチェンジが行われ、2015年8月に2度目のマイナーチェンジが施された。

ランドクルーザーは、トヨタブランドフラッグシップ4WDということもあり、単に豪華さだけでなくデビュー当時は安全装備面でも充実していた。横滑り防止装置(VSC)、サイド&カーテンシールドエアバッグ、アクティブヘッドレストを標準装備。現在の自動ブレーキの原点ともいえるプリクラッシュセーフティシステムの設定していた。当時としては、かなり高いレベルの安全装備だったのだ。

また、本格派4WD車であるという部分も見逃せない。最近のSUV は、より乗用車志向が強くなり多くのモデルがモノコックボディを採用している。しかし、ランドクルーザーは、伝統のフルフレーム構造を継承している。世界中で過酷な環境下で使われるランドクルーザーは、どんな状況下でも生きて帰ってこられる堅牢さが要求されるからだ。

トヨタランドクルーザー今回のマイナーチェンジでは、こうした4WD車としての堅牢さや運動性能という部分ではなく、かなりマーケティング的な要素のものとなった。まず、外観のデザインが大きく変更された。グリルやヘッドライト、バンパーのデザインは変更され、かなり押し出し感のあるデザインになった。3本の極太グリルバーの上下にメッキを施すことで、ギラギラとした力強さをアピールする。このグリルの立体感をさらに強調するために、ランプ類は奥に配置され彫の深い顔になっている。また、先進性をアピールするために、ヘッドライトにはLEDが採用された。

リヤまわりは、一見それほど変わった印象がないのだが、リヤバンパー、バックドアパネル、リヤコンビネーションランプなど、多くのパーツが変更されている。また、ZXグレードには20インチアルミホイールを採用。切削・光輝処理とグレーのコンビネーションを施したラグジュアリー感のあるものとなった。

インテリアも、かなり変更されている。センターコンソールは金属を削りだしたようなヘアライン処理で重厚感のある加飾部とソフトな表皮巻を組み合わせることで、上質な室内空間を創出。センタークラスターには、スイッチや表示類を集約し、機能ごとにまとめて配置することで操作性を向上した。さらに、メーター類も変更。視認性の高いオプティトロンメーターは、ひと目でクルマの状況が把握できる機能的な6眼メーターを採用している。

こうした内外装の質感向上は、世界的に大型高級SUVの人気が高いことに対応するためのものだ。今回のマイナーチェンジで、ランドクルーザーは、トヨタのフラッグシップ4WDとしての風格を一段とアップした。

また、デビュー当時から、高い安全装備をもっていたランドクルーザーだが、マイナーチェンジでもいち早く最新の安全装備を得た。ようやくデビューしたトヨタの自動ブレーキであるトヨタ セーフティセンスPを最初に装備したモデルになる。

トヨタランドクルーザートヨタ セーフティセンスPは、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたもの。ミリ波レーダーは、赤外線に比べより遠く物体を検知できる。その結果、対車両では約10km/h~最高速の幅広い速度域で作動するのが特徴。速度が高ければ高いほど、事故時の被害は大きくなるので、なるべく高い速度から自動ブレーキが作動す方が安全と言える。

対車両だけでなく、注目したいのはトヨタ セーフティセンスPが歩行者検知機能付きであるということだ。歩行者に対しては、約10~80km/hの速度域で自動ブレーキが作動する。80㎞/hという速度が重要。対歩行者事故の場合、30㎞/h以下だと約10%の致死率が50㎞/hになると80%にもなるといわれている。歩行者の死傷事故を減らそうと思うと、最悪30㎞/h以下まで減速すれば致死率は大幅に減少することになる。今回のトヨタ セーフティセンスPは、約80㎞/hなら作動するので、対歩行者死亡事故の減少に大きく貢献することができる機能と言える。

ランドクルーザーには、このトヨタ セーフティセンスPを全車に標準装備化された。2トンを超えるクルマが、コンパクトカーなに衝突、または歩行者に衝突となれば、大きな事故になるのは確実。また、400万円以上する高級車なのだから当然と言える部分もある。ただ、トヨタの自動ブレーキに対する対応は非常に遅い。トヨタのプレミアムブランドであるレクサスなどは、ランドクルーザーの姉妹車でもあるLX570が標準装備になった以外、未だこうした装備が標準装備化されていない状況だ。より多くの車種に早く標準装備化してほしい機能だ。

このトヨタ セーフティセンスPは、こうした歩行者検知自動ブレーキ機能のほか前走車追従式のレーダークルーズコントロール、車線逸脱警報であるレーンディパーチャーアラート、自動でハイビームとロービームを切り替えるオートママチックハイビームも装備されている。自動ブレーキの他に、拡張機能としてこうした快適・便利機能にも使える。

さらに、安全思想が高いランドクルーザーは、マルチテレインモニターを設定。ランドクルーザーは、全長4,950×全幅1,980×全高1,880mmという大型のボディをもつ。それゆえに、死角も多い。このマルチてレインモニターは、車両の前後左右に搭載した4つのカメラから取り込んだ映像を継ぎ目なく合成してナビ画面に表示。シフト操作とも連動して表示するため、運転席からの目視だけでは確認しにくい車両周囲の状況を確認できる。さらに、今まで確認できなかった車両下の情報やタイヤ位置の確認が可能となったアンダーフロアビューを世界初採用。死角にいる小さな子供に気が付かないままひいてしまうなど、悲しい事故を減らすことができる。

ランドクルーザーに搭載されるエンジンは、V8 4.6Lガソリン車のみ。こうした4WD車は、クリーンディーゼルとの相性がいいだけに、すでにプラドに搭載されている2.8Lクリーンディーゼルエンジンなどのラインアップも欲しかった。

■トヨタ ランドクルーザー価格
・GX 5人乗り 6AT 4,728,437円
・AX 8人乗り 6AT 5,134,909円
・AX“Gセレクション” 8人乗り 5,854,582円
・ZX 8人乗り 6AT 6,825,600円